過剰な言葉数の多さで作り出す独特の詩世界、そのオリジナリティは圧倒的だ。寂しさと喜び、戦争と平和、嘘と真実、孤独と繋がり、非現実と現実、そういう両極の出来事を変幻自在のアコースティックギターにのせて歌うパンパンの塔は、昨年行われた「RO69 JACK 11/12」の優勝バンドで、昨年のカウントダウン・ジャパンにも出演を果たした。本作は初の全国流通アルバムとなる。居場所を見つけにくい窮屈な現代社会を雨の日の陰鬱に重ねた“パレード”、軽快なメロディで言葉が踊り出す寓話“まんまるお月様”、音楽が鳴り終わった先にある何かをテーマにした“音楽は止まった”、バンド名のきっかけにもなった7分超のサスペンス風味な長編“骨”など、1曲ごとに描くモチーフはバラバラ。それを束ねるのが唯一無二のパンパンの塔サウンドなのだ。どこかノスタルジックな響きを持ったメロディにヒップホップ、パンクの要素も取り込んだ、それは21世紀型フォークソング。あらゆる音楽表現が出尽くしたように見える現代の音楽シーンに、こうして独自の音楽性で果敢に勝負を挑むバンドがいることが嬉しい。(秦理絵)