マグマまで凍らせるヘヴィネス

アリス・イン・チェインズ『ザ・デヴィル・プット・ダイナソーズ・ヒア』
2013年06月19日発売
ALBUM
アリス・イン・チェインズ ザ・デヴィル・プット・ダイナソーズ・ヒア
時間すら止まりそうなヘヴィなグルーヴ感が徹頭徹尾アルバムを支配する、戦慄のアンサンブル。涙すら出ないほどのメランコリアをメロディとフレーズのタペストリーへと編み上げた、妖しく美しい音世界……レイン・ステイリーの死後、後任ヴォーカル=ウィリアム・デュヴァールとともにまったく新しいアリス・イン・チェインズサウンドの金字塔を築いた前作『ブラック・トゥ・ブルー』を経て、4年ぶりに生み出された新作で彼らは、アリス・イン・チェインズサウンドのエッジ感とダイナミズムを「世界と対決する武器」ではなく「世界丸ごと重力崩壊させるための波動」へとリ・フォーメーションさせてみせた。「恐竜の骨は(創造神話を否定するために)悪魔が置いたものだ」という過激派右翼クリスチャンへのアリス・イン・チェインズなりの激辛ペーソスを盛り込んだタイトル曲〝ザ・デヴィル・プット・ダイナソーズ・ヒア〞の音は同時に、ロック・シーンの恐竜=巨大な遺物としてではなく、常に衝撃的な存在として「今」を生きようとする彼らの闘争心をも指し示している。〝ストーン〞〝ハロウ〞といったシングル曲の、冷徹なマグマのような音像も、不穏なまでにスリリングに響く。(高橋智樹)
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