男女平等

ライ『ウーマン』
2013年07月10日発売
ALBUM
ライ ウーマン
暗闇の中で愛と孤独を歌うライ。ロサンゼルスにベースを置くカナダ人とデンマーク人によるふたり組だが、ちょっと前までは、性別すらわからないほどのミステリーに包まれていて、いまだにライヴなどでも顔を明かさない。しかし、そんなライが、女性の背中やウェストがプリントされた思わせぶりなイメージとともに、オンラインで公開したシングルはたちまち話題に。フェミニンでソウルフルなヴォーカル、そして静かに躍動するベースラインを基調に、ピアノやホーン、ストリングスを絶妙にブレンドさせたソフト・ポップスは、作っている者の得体が知れないのに、エモーショナルかつパーソナルに響き、その物悲しげな調べは全世界に中毒者を生んだのだ。

アルバムのリリースにより彼らの正体がよりクリアになるわけではなく、むしろライのアンドロジナスな傾向は増幅している。話題になるのはシャーデーそっくりのヴォーカルの声だが、それより歌詞が興味深い。内容は愛を焦がれるものが多いのだが、いちいちそれが受動的なのだ。「おまえが欲しい」ではなく、「ぼくのことを愛して欲しい」。男によるこの感性、自分は大歓迎だ。 (内田亮)
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