道を絶やさない強さ

アヴェンジド・セヴンフォールド『ヘイル・トゥ・ザ・キング』
2013年08月28日発売
ALBUM
アヴェンジド・セヴンフォールド ヘイル・トゥ・ザ・キング
アヴェンジド・セヴンフォールドの通算6枚目となる新作は、09年にドラマーのザ・レヴが他界した後、初めて彼が参加していないアルバムになる。前作『ナイトメア』にはザ・レヴが手掛けた曲やデモ音源が使われていて、彼の存在が強く感じられるアルバムだった。そして今回、新ドラマーを迎えた彼らはアヴェンジド・セヴンフォールドとして新たな一歩を踏み出すことに挑み、見事に道を見出したのだ。鐘の音が鳴り響く荘厳な幕開けからストレートなヘヴィネスで攻めてくるサウンドは、より正統派のメタルに近付いた印象だが、そこにドラマチックな要素を加える彼らの持ち味は今作でも存分に活かされている。ザ・レヴの奇才ぶりが発揮された奇抜な曲がないという意味では彼の不在を感じさせるが、速弾きギター・ソロが炸裂する前半から〝レクイエム〞を境にじわじわと感動が押し寄せてくる後半への流れは圧巻で、壮大なラスト曲の余韻まで含めてアルバム全体がアヴェンジド・セヴンフォールドの揺るぎない個性をひとつの形にしている。称えられるべきキングとは、アヴェンジド・セヴンフォールドというレガシーを遺したザ・レヴであり、悪夢を乗り越えて前に進むバンドのメンバーひとりひとりでもあるのだ。 (網田有紀子)
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