理想的なメジャー化

ザ・ウィークエンド『キッスランド』
ザ・ウィークエンド キッスランド
前作『トリロジー』がミックステープのコンピレーション、ネットで無料配布されていた音源を便宜上アルバムとして1枚に纏めた作品だったことを思えば、この『キッスランド』こそがウィークエンドがいちから作り上げた初のオリジナル・アルバムということになる。『トリロジー』収録曲の制作当時(2011年前後)、アンダーグラウンドで爆発一歩手前まで来ていたチルウェイヴ、ダークウェイヴの気運を象徴するように、ウィークエンドことエイベル・テスファイはシーンに「押し出される」ように登場した才能だったが、あれから2年が経ち、彼が自身のサウンドの元ネタとしてピックアップしてきたR&B、インディ・ロック自体がチルウェイヴやダークウェイヴと呼ばれる表現と歩み寄りつつある今、ウィークエンドの音楽はもはや画期性や先鋭性のみで語るべきものではないし、むしろ非常にメジャー感のあるソウル、R&Bとして本作を整えてきた彼のバランス感覚を評価したい。インディ・メディアの寵児からビルボードの土壌で戦いうるアーティストへ。ウィークエンドのその立ち位置の変化自体がまた今っぽいとも言えるけれど。(粉川しの)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on