その歌は、忘れ去られる前に染み渡る

踊ってばかりの国『踊ってばかりの国』
2014年01月22日発売
ALBUM
踊ってばかりの国 踊ってばかりの国
ロックがどんなに辛辣なことも残酷なことも歌うことが出来るのは、音楽は音楽であるという理由だけで充分過ぎるほど優しいからだ。音楽の無い言葉で何かを伝えようとする者にとっては、歌という優れたメディアにどうやって立ち向かうか、という問題は生涯のテーマになり得る。さておき、甘い言葉を更に優しい音楽でシュガーコーティングしてしまったような歌は、まあお好きな方だけどうぞ、ということである。新ベーシストが加わって活動再開後、初となるアルバム。セルフタイトルにも意気込みが窺えるだろう。言葉が率直な思いを捉え、音楽が世界にその思いを染み渡らせる。傑作ロックアルバムである。
《ロックバンドはもう古いとか/クラブシーンが今はただ熱いとか/息一つするたびに/セシウム溜めて生きるだけさ》《踊ってはいけない 言葉より先に生まれたのに/踊ってはいけない そんな国がほらあるよ》。歌詞だけを抜き出してもその浸透力の半分も伝わらないだろうが、彼らはドブの色を見据えながら目眩のするような恋に落ち、“正直な唄”であなたに真っすぐ問いかける。(小池宏和)
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