J-POPと互角に戦える曲っていうのもいいものだと。そこで、こういう曲をやろうと思ったんですよ

――そして最も驚かされたのが、歌詞も曲もさらりと聴けば、スタンダードなラブバラードな“SNOW LOVE”。

GONGON　この曲は、メンバーで会話していた時に、たまたまTANAMANが言った言葉がキッカケでできたんです。

TANAMAN　俺？（笑）。

GONGON　正確には覚えていないんですけど、J-POPっていうジャンルがあるじゃないですか。「J-POPっていうステージで戦えるっていうことはいいことだ」っていうようなことをTANAMANが言っていたんですよ。要は、J-POPっていう戦場に出た時に、その中で戦えるスタイルの曲だと、ロックの中だと否定的に受け取られることが多いじゃないですか。そうじゃなくて、ポジティヴに受け止めようっていう、その新しい感じを出したかったんですよね。

――TANAMANさん、言ったことを覚えています？

TANAMAN　おぼろげに（笑）。

GONGON　そんな堅い話じゃなかったんですけど、たまたまTANAMANが言った言葉に、僕が感銘を受けたというか。アンチJ-POPじゃなく、J-POPと互角に戦える曲っていうのもいいものだと。そこで、こういう曲をやろうと思ったんですよ。

――じゃあ、“SNOW LOVE”は、B-DASHなりのJ-POP？

GONGON　でも、その時点では歌詞がなかったんで、“GET POW”みたいになっていたかもしれないんですよ。こんな爽やかな歌なのに、わけわかんないことが歌詞になっていた可能性はありますね。

ARASE　“LOVE POW”にはならなかったんだ（笑）。

――（笑）TANAMANさんは、J-POPの中で勝負したい気持ちがあるんですか？

TANAMAN　勝負したいですね。初めて買ったシングルは（米米CLUBの）“浪漫飛行”だったんで。

――歌詞も、珍しく全編で意味が繋がっている、まっとうなラブソングに聴こえますが。

GONGON　これも歌詞の作り方は一緒なんですけど、《製氷機》じゃないところでやっただけなんですよ。

――思いついた文章を切り貼りして、繋がっているように見せたっていう。

GONGON　ですよね。でも、それぞれのフレーズにまったく違うエピソードがあるんですけど（笑）。例えば《君を愛せる気がしてる》っていうところは、これ、インタヴューに載せると、曲のイメージが崩れちゃうと思うんですけど……（以下自主規制）。

――美しいラブソングが台無しです（笑）。蓋を開けるといつも通りのGONGONさんですね！　

GONGON　（笑）僕も“SNOW LOVE”を改めて聴くと、このサビは二度と戻らない女性のことを歌っているようにしか思えないですね。

――言葉って面白いですねえ。捉え方と曲調によって、全然聴こえ方が違う。

GONGON　ですねえ。で、これもオフレコかもしれないんですけど。

――まだあるんですか（笑）。

GONGON　最近結婚したので、そのリアリティを出したいので、この曲では、暗に元カノとヨリを戻して結婚したよ、的なことを匂わせているんですよ。そういう勘違いをさせてやろうと思っていて（笑）。

――え、実際は？

GONGON　そんなことないです。

――嘘はいけません（笑）。楽しんで作りましたねえ。

GONGON　それがこのジャケットにも出ているかもしれないですね。ARASEだけがびっくりしているんですよ。バン！っていう爆発に、僕もTANAMANもトニオちゃんも載っているんですけど、ARASEだけがうわ！って顔をしていて。

ARASE　爆発が予想外の大きさだったのかな？（笑）。

――ずっとB-DASHと共に歩んできたキャラクター、トニオちゃんも健在ですね。

GONGON　トニオちゃんがいると、今までのB-DASH感が出ていいですよね。

――GONGONさんが最初のほうでパンクについて話していましたが、今作にはGONGONさんなりのパンク観も出ているということですかね。

GONGON　出ていると思いますよ。

――変革を起こしつつ、軸足はつけてっていう。

GONGON　そうですね。“BEAT BACK”がリード曲なんですけど、これだけ聴くとイマドキなんですよね。まさに時代の流れにがっつり乗っているように聴こえると思うんですけど、1曲目の“GIVE UP”を聴くと、まさにブルーハーツを聴いて育ったところが出ていると思うので、そこがいいと思いますね。

――いろんなバンドが出てきて、音楽シーンが更新されている中で、自分たちの中では「僕パンクロックが好きだ」っていう思いがあると。

GONGON　これを作って、“GIVE UP”みたいなパンクロックは一生やっていいんだなって思いましたね。前回やったから今回はやらない、みたいなものではないんだなって。

――いやあ、8小節を集めて作ったアルバムを出していたら、これから全然違うバンドになっていったでしょうね。

GONGON　でしょうね。危険なのは、僕自身が微妙だったんです。これは、僕自身が好きなので。自分が気に入れるっていうのがいいですよね。

――ここから始まるところもあるし、20周年に向けて楽しみですね。

GONGON　まずは、これが発売されることが嬉しいですよね。アルバムに入っている曲を、今ライヴでやると誰も知らないんですけど、みんな知っている状態でやったら楽しそうだなって思います。