唯一の公式ライブ盤『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』リリース! 最強のライブ・バンドとしてのザ・ビートルズの魅力を、GLIM SPANKYが語る

ザ・ビートルズ

来日50周年となる今年、ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK ‐ The Touring Years』公開とともに、ぜひ体験したいのがライブ・バンドとしてのビートルズのすごさをリアルに詰め込んだ唯一の公式ライブ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』だ。彼らがライブ・バンドとして絶頂を迎えていた1964-1965年、ロサンゼルスのハリウッド・ボウルで行われた3公演をドキュメントした本作が、1977年にアナログ盤で発売された全13曲(邦題『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』)に、未発表音源4曲を加え、最新リミックス&リマスターでリリースされる。リバプールやハンブルクでクラブ巡業を重ね、百戦錬磨のライブ・バンドとなったビートルズのエネルギッシュな姿を体感できる貴重なドキュメントだ。またファンの歓声でほぼ演奏が聴こえなかったというアナログ盤と比べ、4人の演奏がきちんと堪能でき、新しい発見もたくさんある。

音響システムが整った今とは状況がまったく違う衝撃のライブ音源を、当時のビートルズと同じ20代のロック・リスナーや現役ミュージシャン達はどのように感じるのか? 本作から見えてくるビートルズの新たな魅力について、GLIM SPANKYが解説する。(井上貴子)

GLIM SPANKY

このライブ音源が絶対的な価値観として存在していいんじゃない? って思った。
これを“超すごいロックンロール”として20代のミュージシャンは認識していていいんじゃないの、ってね。

GLIM SPANKYを知ったのは、クリームの『カラフル・クリーム』のジャケットをもじったファースト・シングル“褒めろよ”だった。早速聴いてみたら、ジャケットのイメージに違わない、60~70年代の洋楽好きにはたまらない音作りだった。松尾レミのヴォーカルと亀本寛貴のギターが織りなすGLIM SPANKYの音色には、古くて新しい独特な存在感がある。セカンド・アルバム『Next One』を発表したばかりのGLIM SPANKYの2人に、ビートルズのライブ・ドキュメンタリー映画のサウンドトラック盤として発売される『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』の聴きどころについて訊いた。

文・インタビュー=藤本国彦

松尾「若い世代にとってすごく刺激的で新しい夢を見させてくれる音源」

──まず、聴き終えてみていかがでしたか?

亀本「クリームやレッド・ツェッペリンのような60年代後期以降のロックをよく聴いていたので、ビートルズは初期より後期のほうが好きだったんです。だから初期のライブをちゃんと聴いたのはこれが初めてでしたが、単純にすごくかっこいいロックンロールだなと思いました。大学生の頃はビートルズはギターが歪んでないからロックじゃないと思っていたけど、“これはすごいロックだ”と思える26歳の自分がいる。それがうれしいです」

松尾「目をつむるとステージにビートルズがいて、熱狂している女の子たちがいる。そういう絵が浮かぶ作品ですね。私が歌を歌おうと思ったのは、中学2年の時に“Help!”のジョン・レノンのがさついた声に共感を覚えたからなんですよ。それでビートルズが好きになったので、“Help!”を聴くと、その時の感情を思い出します。自分の想いと憧れと当時の空気が重なるすごいライブ音源だなあと思いながら楽しみました」

亀本「LP(アナログ盤)の音に対するリスペクトも感じられる。バランスがよくて聴きやすくなってるのに、オリジナルの雰囲気や良さがそのまま残ってますね」

“Twist & Shout”

松尾「音だけなのに、メンバーの動きも感じられるなんてすごい」
亀本「あ、いま誰かがステージの前に出たから歓声が上がったんだな、とかね」

──まず、聴き終えてみていかがでしたか?

松尾「演奏と歓声が大きくなる部分の抑揚もすごい。音だけなのに、メンバーの動きも感じられるなんて」

亀本「あ、いま誰かがステージの前に出たから歓声が上がったんだな、とかね」

松尾「それにみんな、めちゃくちゃ歌がうまい」

亀本「あの環境下でこのパフォーマンスができるっていうのは、それだけ場数を踏んでた証拠ですよね」

松尾「ファンの金切り声もすごい」

亀本「僕らぐらいの20代のミュージシャンがこれを聴いたらどう思うのかな? このビートルズのライブ音源が絶対的な価値観として存在していいんじゃない? って聴いてて思った。これを“超すごいロックンロール”として20代のミュージシャンは認識していていいんじゃないの、ってね」

──メンバーの演奏についてはいかがですか。

松尾「ジョンの歌が際立ってる。ロケンローだなって思いました」

亀本「あとリンゴのドラム。これまでは意識して聴いたことはなかったけど、すごく独特で面白い」

松尾「曲の入り方もすごい。いきなりヴォーカルから始まる“Help!”とか、どうやってみんなで合わせて曲に入っているの? って思うぐらい。曲に入るまでの間がほとんどないぐらい一瞬のうちに入り、それでもみんなの息が合いすぎているのがすごい。もう百戦錬磨。あっという間の45分でした」

亀本「全く飽きないっていうのもすごい」

The Beatles perform at Hollywood Bowl in Los Angeles,California on 23August1964.©Getty Images

松尾「私、ロック・バンドこそポップであると思っているんですよ。その元祖がビートルズ。最強の先輩」

──ビートルズからの影響については?

松尾「私は60年代のファッションが好きなので、音楽だけじゃなく、アルバム・ジャケットやファッションも含めて、それはもう多大な影響を受けています。曲を作る時は、鍵盤の絵とポールの美しいメロディ・ラインを頭に思い浮かべて作るんですよ。視覚的にも感覚的にもビートルズを思い浮かべながら曲を作ることも多いんです」

亀本「“Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band”をライブでカバーしているし、ファズが効いたサイケなギターや、当時のメロトロンのサウンドをシンセでやったり、サウンド面の影響は当たり前のようにありますね」

松尾「『サージェント・ペパーズ~』の、たとえばヘンなところでニワトリの声が入ってくる部分とか、そういう実験的なサウンドをすごく意識しながら新しい曲を作ったり、ビートルズやボンゾ・ドッグ・バンドをイメージしながら曲を作ったりするので、ビートルズへの憧れは常にありますね」

──私の周りの“ロック親父”にもGLIM SPANKYのファンがたくさんいます。声も楽器の音色もメロディもリフもいいし、覚えやすいので。

松尾「それはうれしいです」

亀本「パッと聴いたときに一発でKOしたいし、曲を聴いたらフレーズもリフもすぐに覚えてほしいといつも思っているので」

松尾「それってビートルズやストーンズに教えてもらったことなんです。私、ロック・バンドこそポップであると思っているんですよ。その元祖がビートルズ」

亀本「このビートルズのライブ盤でも9曲目の“A Hard Day’s Night”から12曲目の“She Loves You”までかなり有名曲が続くけど、曲はメロディアスでポップなのに、ロックンロールな印象しかない」

松尾「いろいろな雑誌でも言い続けているんです。『ロック・スターはポップ・スターだ』と。それこそビートルズがその土台を作ってくれたから、私たちも自分たちのロックができるんだと」

亀本「ほんとにそうだね」

松尾「ポップなことをやったらロックじゃない。ひねくれた、わかりにくいのがロックだっていう人もいるけど、じゃあビートルズを見てみろ!って(笑)。ビートルズは最強のポップ・バンドでロック・バンド。聴きやすいリフやメロディやキャッチーな音で“どうだ、これがロックだろ”っていうふうに私たちはやっている。そのお手本がビートルズなんですよ。最強の先輩」

──今回の作品で、改めてビートルズのロック・バンドとしての底力を感じたと。

松尾「中学時代に初めてビートルズを聴いたときは、うまいとは思えなかったんですよ。加工された音、耳に張り付くきれいな音に耳が慣れすぎていたので、ビートルズは生々しすぎたんです。でも今聴いたら、めちゃくちゃうまいなって思えた。最初に亀本も言っていたけど、13歳のころには思えなかったことが今はすごいと思えるのは大きな発見だし、驚きでした」

亀本「ライブに臨むときの心構えや気持ちとか、演奏に注ぐ情熱やニュアンスとかが、間違ってなかったんだなとこのライブを聴いて思えて、それもよかったです」

松尾「若い世代にとってすごく刺激的で新しい夢を見させてくれる音源なんだと思いました。こういう音源を聴いて、ビートルズが好きな同世代がもっと増えて、5年後、10年後の日本のロックの引き出しや土壌が広くなって、世界基準に少しでも近づくような音楽界になればいいなと。そんな希望が見えました」

“Can’t Buy Me Love”

提供:ユニバーサル ミュージック

企画・制作:RO69編集部

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