
プロテストソングって、意外に具体的なことは言ってないじゃないですか。じゃあいいんじゃん、俺のやってたことは間違えてないやんと思って
── 9曲目“HESO”は、「臍」でいいんですね?
「この辺のタイトルは、実を言うと、アルファベットのタイトルが増えてきてたんで、じゃあこれも無理やりアルファベットにしてしまえと」
── “HESO”“UNOMI”“TOKAKU”と3曲続いてます。
「無理やりそっちに寄せてるだけで。“HESO”は、かなり編集でプリプロを作ってたんですよ。Beckっぽい曲をやってて、これじゃつまらんからと言って、録れた素材を――これをこっちに貼って、これをイントロに持ってきてとか編集を繰り返して、この構成でいこうというのを、もう1回演奏するみたいな。それで、ワングルーヴ感というか、同じことが繰り返されて」
── 曲の流れも陳腐でないから歌詞も面白いものに?
「こっちの方が個人的にはストーリーを作りやすいですね。行間を作りやすいですし。いつも言いますけど、歌詞だけでモノを語るわけじゃなく、楽曲を含めての展開でシーンを見せてるつもりなので、こういうものの方が面白いと思いますけどね」
── 歌い出しの《カルーセル》って?
「カルーセルって、メリーゴーラウンドのこと言うじゃないですか。だからループしてる感じを出したかったんです」
── 中盤のシャウトが効いてますね。
「これ作ってる時に、ディレクターの柴田くんが、こんなん好きでしたかーってReefをかけだしたんですよ。非常に90年代らしい。懐かしいなあって、こんなんどうですかーみたいなこと言ってたから、このサビはReefみたいなことやってみようと(笑)。だからBeck的なものを作ろうとしてたんですけどサビだけReefに(笑)」
── それで“Place Your Hands”(Reefの代表曲)じゃなくて、手はお臍に? 欧米で子供が悪戯しそうになると手はお臍って言いますよね。
「(笑)数え歌でありますからね。押しちゃいけないボタンを押しそうになったら、手はお臍って」
── なんのボタンでしょうか?
「ねえ?」
── 10曲目“UNOMI”は、シングルの際にもお話し頂きましたが、再度お願いします。
「今回唯一に近いぐらいゆっくりした歌モノですね。ただ、普通だと面白くないのでっていろいろやってたんですけど、高野寛さんがギターをこすったり叩いたりしてくれて。ちょっと不思議な間奏ですね」
── 最後に“TOKAKU”。
「これも、ジャムって作ったんですけど、特別特殊なものを作らず、構成上はわりと軽く明るい曲を作ろうってジャムってましたね。ウイルコみたいな方向になると世界観としていいなあ、みたいなことを想像してましたね、みんなで」
── 歌詞にはボブ・ディランが引用されてますけど?
「まさにそうです。《How does it feel》使っちゃってますからね。まあ“BABEL”然り“HESO”みたいなもの然り、ちょっとね、社会的なモノをテーマに扱った曲も多かったんで。これね、最後の方に歌詞書いてたんです。なので、じゃあ一体プロテストソングとはなんだったんだろうな、みたいなことを思い出して、今一度ボブ・ディランとか聴いてたんですけど。意外にそんな具体的なこと言ってないじゃないですか、あの人たち。じゃあいいんじゃん、と思って。俺のやってること間違ってないなと」

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