一足早く、代官山にロックの夏がやってきた! 天井知らずに上がるヴォルテージとテンション、そしてフロアに充満した熱気と爆音……6月6日(土)に開催されたライヴイベント「JAPAN’S NEXT vol.9」の模様を全ライヴレポとスペシャルフォトギャラリーで振り返ります。出演はTHE ORAL CIGARETTES、THREE LIGHTS DOWN KINGS、ドラマチックアラスカ、KNOCK OUT MONKEY、魔法少女になり隊の5組!
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新世代アーティストの活躍をリアルタイムで追うROCKIN'ON JAPANのライヴイベント「JAPAN'S NEXT」。6月6日=「ロックロックの日」に集結したのは、ジャンルは違えど「挑戦を絶やさない」という共通項のある5組だ。第9回目の開催となった今回はGYAO!MUSIC LIVEにて生配信も敢行。ROCKIN'ON JAPANの小川智宏が出演者を紹介したあと、トップバッター・魔法少女になり隊が登場!
魔法少女になり隊
「どこに行っても異彩を放つ」と紹介されたRO69JACK 2014優勝アーティスト・魔法少女になり隊は、療養中のあだるとゆうくん(B)に代わりサポートメンバーを迎えた編成。“Call me from hell”でいきなりぶち上げると、某RPG風の画面がスクリーンに表示され、“冒険の書1”へ。ドラムレスでも十分ゴツいバンドの音と、動きも奇抜なgari(VJ)による電子音、キュートにコーディングされた火寺バジル(Vo)の歌声が容赦なくぶつかり合っていく。“狂騒曲ザラキ”ではgariがデスヴォイスを炸裂させヘドバン続出。さらに「魔女が大切にとっておいたシャケのおにぎりを食べてしまったため、火寺は喋れなくなる呪いをかけられた」というバンドのストーリーをアニメで説明した後は、アニソンのヘビメタ風カヴァーあり、堤太鼓や琴の音色を取り入れた和テイストあり、ユーロビート(野菜人間みたいな生物がパラパラを踊る映像がシュール)あり……とジャンル不問の全7曲。濁流のような狂騒でみんなを巻き込むしたたかさと、全力で楽しませる/楽しむことへの貪欲さに痺れた。
- 01. Call me from hell
- 02. 冒険の書1
- 03. 狂騒曲ザラキ
- 04. おジャ魔女カーニバル
- 05. ぱるぷんてBA・BA・BAばけ~しょん
- 06. ヒメサマスピリッツ
- 07. RE-BI-TE-TO
THREE LIGHTS DOWN KINGS
「JAPAN'S NEXT、俺たちとどんだけ遊べるか勝負してみようか!」。名古屋発のTHREE LIGHTS DOWN KINGSは登場するなり煽りまくる。エレクトロ/EDMと骨太のバンドサウンドを融合させた音で早速会場をハイにし、ダメ押しのテンポアップ。かと思えばピアノの同期音をバックに流麗なパートに突入し、低音をドカドカ鳴らしまくってフィニッシュ……という“REASON”1曲だけでもてんこ盛り。多展開の曲調でフロアを引っ掻き回していく。激しくとも決して勢いに流されないサウンドの中心にあるのはGlielmo Ko-ichi(Vo)の歌であり、フロアの顔ひとつひとつをしっかり見て歌う彼の声がクリアに浮かび上がった。「嫌なことがあったりアクシデントにぶつかったときこそ、しっかり前を見てその先を描いていきましょう」と“NEVER SAY NEVER”では一際大きな歓声が。苦しみや悲しみに寄り添いながら聴き手を鼓舞するアンセムが、これから先も広く愛されていくことを予感させられた。
- 01. REASON
- 02. BoomOVER
- 03. NEVER SAY NEVER
- 04. Everybody!! Up to You
- 05. BRAINWASH
ドラマチックアラスカ
3組目に登場したのは、爆弾ジョニーからロマンチック☆安田改めドラマチック☆安田(G)が仮メンバーとして参加中のドラマチックアラスカ。JAPAN’S NEXTオフィシャルTシャツを着て気合い十分なヒジカタナオト(Vo・G)による冒頭の弾き語りと、4人が一斉に鳴らすキメの対比が鮮やかだった“リダイヤル”、続けて、ベースのリフがバンドをドライヴさせていく“エキセントリック アルカホリック”。今年1月から新体制になった彼らだが、新たな一歩を踏み出すその意志を表すかのように、バンドのサウンドはタイトに磨き上げられ、ヒジカタの歌も一段と逞しく、しなやかになった。安田がラジカセから雅楽を流し始め、不思議な空気に包まれたMCを経て、“世界の始まり”が次章へと向かっていくバンドの姿を映し出したあと、「この舞台に我々を選んでもらえたということは、新世代を担わせられたということなんだと思っている!」とヒジカタ。ラスト“無理無理無理”、語気を強めながら切実な想いを歌に込める姿が胸に焼きついた。
- 01. リダイヤル
- 02. エキセントリック アルカホリック
- 03. 東京ワンダー
- 04. 打ち上げ花火
- 05. 世界の始まり
- 06. 無理無理無理
KNOCK OUT MONKEY
ドラマチックアラスカに続き、同じく神戸発のバンドであるKNOCK OUT MONKEY。“RIOT”冒頭、w-shun(Vo・G)のシャウトで自ら火蓋を切っていく感じがたまらない! 前傾姿勢でフロアを覗き込むdEnkA(G)/亜太(B)。大きく振りかぶりながらドラムを叩くのはナオミチ(Dr)。「代官山、ロックは好きですかー!?」とw-shunが叫ぶと、それに応えるかのようにフロアの床が大きく揺れる。“Greed”が夏の開放感を一足先に運んだ頃には、オーディエンスの熱気で場内はかなり蒸し暑くなっていた。それでも「君らに休憩を与える暇はない」と笑いながら、疾走感溢れる新曲“Bite”を間髪入れず投下する……というイタズラっぷりも何だか憎めない。“Paint it Out!!!!”では「申し遅れました、魔法少年になり隊です」と冗談を挟みつつ、「俺らもJAPAN’S NEXTで燃え尽きて帰ります!」と宣言してラストスパートへ。有言実行、全7曲をノンストップで駆け抜けてフィニッシュ!
- 01. RIOT
- 02. How long?
- 03. JET
- 04. Greed
- 05. Bite
- 06. Paint it Out!!!!
- 07. Wonderful Life
THE ORAL CIGARETTES
さて、トリはTHE ORAL CIGARETTES。昨年9月、vol.4出演時に思うようなライヴができずに悔しい思いをしたという彼ら。真っ赤な照明が印象的だった1曲目“mist...”から音のひとつひとつが鋭利で、それらの内側で煮えたぎるのは闘志。挑発的にフロアをじっくり見渡す姿もとてもサマになっている。「俺たち、次世代次世代って言ってられないんですわ! 今の時代を取りにいくのがオーラルなんです!」「お前らも次世代じゃなくて今のお客さん!」と語るのは山中拓也(Vo・G)。「同じ時間を共有しあう仲間として、自分たちのものだと誇りたくなる時代を創ろう」というバンドの気概が演奏から溢れ出しているし、そんな体力どこに持ち合わせていたの?と不思議に思えるほど、オーディエンスも大きく腕を上げながらステージへ歓声を投げかけていく。大合唱を巻き起こした“大魔王参上”を経て、本編ラストは高速手拍子も起こった“起死回生STORY”。山中のギターが鳴らなくなるトラブルもありながら、それも乗り越えアンコールではミラーボールも回った“N.I.R.A”で代官山UNITをダンスフロアに変えてみせたのだった。
- 01. mist...
- 02. モンスターエフェクト
- 03. STARGET
- 04. 大魔王参上
- 05. Mr.ファントム
- 06. 起死回生STORY
- (encore)
- 07.N.I.R.A
終演後フロアの外へ出ようとすると、湿気で靴の裏が床に張りつく。その感覚こそが5組の熱演をよく表していた。なお、この日の出演者は5組ともROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015にも出演。夏空の下でのアツいライヴも期待したいところ。(蜂須賀ちなみ)