10月15日、今年5月31日に幕張メッセで行われた単独公演の模様を収録した映像作品『狼大全集Ⅲ』をリリースするMAN WITH A MISSION。今回はその発売を記念して、豪華3本立て特集をお届けします。
まずジャン・ケン・ジョニーのコメント映像。続いて、今発売中のROCKIN’ON JAPAN11月号に掲載しているMWAM特集ページ撮影風景の「裏側」を集めた5匹集合のオフショットギャラリー。さらにジャン・ケン・ジョニーが語る「北米横断ツアー、幕張メッセ、そして新たなる野望」インタヴューまで。あと、「なんでMWAMは映像特典の小ネタに対し、あんなに頑張るのか」という素朴な疑問にも答えてくれてます。相変わらずジャン・ケン・ジョニーは誠実に話してくれます。冴えてます。おもろいです。必読です。ROCKIN’ON JAPAN11月号には、このインタヴューのフルサイズ版を掲載していますので、そちらもぜひ読んでもらいたいです。
あ、ちなみに本テキストは例によりまして、編集部にて日本語翻訳しております。
では、MWAM『狼大全集Ⅲ』発売記念3本立て特集、楽しんでください。
(インタヴュー=小栁大輔、撮影=YAMA Takehiko Yamazoe(mili)、オフショット撮影=塚原彩弓)
──アメリカツアーが終わり、最近はどう過ごしてるんですか?
「ライヴの本数ということではそんなに忙しくはないんですけれども、制作であったり、自分たちの楽曲のベーシックな部分を作るのにあれこれ時間割いてますね、はい。前回のアルバムを作って、自分たちの楽曲の可能性といいますか、まだまだやりたいことがあるなというのがありまして。あの作品がいい刺激になって、新しい楽曲の種がいっぱいできている状態ですかね」
──アメリカツアーの話に入っていきたいんですが。有り体にどうでした?
「もう単純に楽しかったといいますかね。知らない土地で知らない方々の反応を見るというのは、ねえ? 字面だけ見るとちょっと怖い気もしがちですけど、どちらかというとそういうものを楽しみたいチームですし、それが楽しいと思える狼たちですのでね。そういった意味では、もう楽しい以外の何ものでもなかったです。実際の環境は、なかなかね――」
──はははは。
「まだ土壌が固まっていないというところもありましたしね(笑)。ただ、先ほど申し上げたような、個人としてもチームとしても、焦点を絞らなければいけないポイントがすごい明確になったという。それが何事にも代えがたい、アメリカで獲得したものなのかなあとは思いますけどね」
──ただ、すごくタフでしたよね。
「なかなかタフなスケジュールでしたね。アメリカ……ちょっと広すぎますね、あの国(笑)。はい」
──車でアメリカを横断したんですか?
「そうです、バス一本で行きましたね」
──その間、どんなことが起こるんでしょう?
「とりあえずアメリカ中部ですか? あのあたりは気が狂いそうになるくらい何もない(笑)。現地の方々にちょっとお手伝いしていただきまして。12人乗りのバスを改造した、いわゆるツアーバンみたいな車をお借りして、すごく良い環境で移動したんですけれども、車を運転してもらった方は現地の方なんですね。その人が、中部あたりを走ってる時に、そろそろ発狂していいか?って言い出したので(笑)」
──はははははは。
「それぐらい何もないんですよ」
──ライヴ一本一本のリアクションは土地によって全然違いますか?
「ええと、大きい意味ではそこまで違わないですね。お客さんの雰囲気というのは違ったりはしますけれども。西に行けば行くほどゆるくはなってまいります(笑)。ただ、一番思ったのは、アメリカの真ん中あたりの人というのは、ド王道のロックに非常に反応しやすいといいますか、反応速度が半端じゃないですね。我々の楽曲なんか特にバラエティーに富んでるので、それが顕著に表れますね。どの楽曲は好き、どの楽曲はわからない、みたいなことが顕著に表れますね。きっかけになる曲があったりするのも事実なんですけれども、面白いぐらいに楽曲単位で変わるなというのはありますね。たとえば日本のお客さんだったら、なんか1曲、これ!ってなると、終始ずっと『おお、いいじゃねえか』ってなると思うんですけど、この曲でものすごく盛り上がったのに、それが終わった瞬間になんかスンとするぐらいの」
──はははははは。
「その代わり、そのテの曲をやるとまたノる、みたいな。好みがはっきりしていて、反応も速度が半端じゃないんだなと。本当に自分たちに準じてるんだなというのは思いましたね」
──その後、メンバー間ではどんなやり取りをしながら楽曲制作をしているんですか? その会話は変わりました?
「そこにもし生まれているものがあるとしたら、飢餓感や危機感のほうが大きいと思いますね。『ああ、なんか良さげじゃん』の中に、今までにはない飢餓感と危機感がちりばめられてるなっていうのは思いますね。まあどの作品においてもそうなんですけれども、こんなことを皆様に言うのはどうかと思いますけど、私自身は確信というのを持ったことが一度もないので。あくまでも自分の好きな部分というものを色濃く出して、これは自分自身が認めるものだという最低限のラインを超えた時に初めて作品を生みだせるタイプの制作の仕方をするんですけれども。特にカミカゼ(・ボーイ/B)なんかは何か確証がない限り、絶対に前に進めない狼なんですよね。そういった意味でしばらく確証がなかったみたいなのでそこに危機感を感じましたね」
──なるほど。
「まあそれは毎回起きてることなんですけど」
──ただ、アメリカツアーを経て――。
「うん、そうですね。それこそ、ほんとに今回のツアーが大きくのしかかっていたんじゃないかなと思いますね。我々が変わったかどうかはわからないですけれども、飢餓感、危機感を体験できるに充分なツアーにもなったと思いますし、前作がその危機感というのを与えるに充分な作品でしたし、我々としても良いものを作ったと思いましたので。まあ、いうなればすごく健康的な飢餓感だと思いますね」
──ちなみにライヴDVDが出ますよね。幕張のライヴを収録したものなんですけど、改めてご覧になりました?
「はい。なんか、すげえことをやったな、みたいな」
──ははははは。
「子どもも出てくるし、なんかいろいろ光るし。2万3千人の方々がね、共有してくれてすげえよかったなっていうのは安心感がありましたね」
──ああ、なるほど。
「ステージ上で、2万3千人の熱気とパワーはもちろん十二分に感じてるんですけれども、かといってそこまで客観的には見れてはいないので。それこそ『Tales of Purefly』という作品にはある意味『おお、マジか』っていうぐらいの変化が味わう人にとってはあったと思うんですけれども、ただ、ああいった空間でああいうライヴをして、2万3千人の方々がね、共有してくださっているのを目の当たりにすると、やっぱり作ってよかったなと。本当に理解してくれている、この作品を楽しんでくれて本当にありがたいなっていうことは思いましたね」
──本当にいろんなことをやったじゃないですか。
「そうですね、はい」
──子どもは出てくるわ。
「ステージは動くわ」
──作りこまれたアニメーションが流れるわ、いろんなことやって。あれを健全な気持ちでエンターテインメントとしてやれる/やれないっていうこともやはり大事だと思うんですよ。
「そうですね、はい(笑)。我々、そこは間違えないですね」
──そうですよね。
「ちょっと間違えればね、これ何なんだろう?っていう感じになる可能性もありますからね」
──ただ、MAN WITH A MISSIONの場合は、お客さんが楽しめるかどうか、そしてそれは俺たちがやりたいことなのかどうか。そのふたつの基準を徹底して貫いているということを、あの幕張のライヴを観た時に改めて思ったわけなんですよ。で、そのふたつの軸がガンガン広がっているということを示す、素晴らしい一夜だったなあという。
「そうですね。まあ演出的には、いわゆる物語に準じたかなり構築された世界観を作らせてもらいまして。その構築の密度が濃いというか、これでもかっていうぐらい物語に皆様を引き込むような演出というのは自分たちも初めての試みでしたので。それができたというのは、しかもおっしゃっていただいたように、楽しみながら皆様を巻き込めたというのは、すごく大きな意味があったんじゃないかなというのはありますね」
──作品化に当たって、今回も特典というか、これまたいろいろやられているんですよね?
「イエスイエス。昔からやってる茶番に、より一層の拍車がかかってるものもあれば、ドキュメントタッチのものもありますしね。イエス、いろいろと楽しめる一枚にはなっております」
──それはやっぱり、そこまでやらなきゃならないんですか?(笑)。
「いや、どうなんでしょう?(笑)。やんなきゃいけないんだよって言われた瞬間に、『いやあ、それはやらなくていいんじゃねえか』って言っちゃいますけど(笑)」
──あははははは。
「まあ、正直言うとね(笑)。やらなきゃいけないと思ってやっちゃったらおしまいだと思うので、はい。楽しみながらやってますよ、ああいったものは」
──そこが大事ですよね。
「まあそうなんですよ。ああいったおまけをノルマのようにやっちゃうとね、それほどつまらないものはないと思いますので。ちょっと新しいことを織り交ぜながら、でも相変わらず昔みたいに茶番やってるな、みたいな見え方でもいいと思いますし。単純に我々がああいうのが好きなだけです、はい。喜んでくださる方がいらっしゃれば、嬉しいですけどね。たまに聞こえてきますからね、『あれ要らねえんじゃねえか』っていう声が(笑)」
──はははは。
「『いやあ、そんなこと言わないでくださいよ』って感じなんですけどね」
──特典にしてもやりたいからやると。アメリカツアーも、こういうしんどいツアーをやりたいからやるんだよと。デカいところでやる。それはそれだけの人が楽しんでくれるからやるんだよ、と。考え方が健全ですよね。
「あ、そうですね。そこって誤魔化すところじゃないと思うのでね。音楽に携わっていく中で、いつしか『そういうピュアなものが見えないほうがいい』とか、ずいぶんと稚拙なことを言うなあという人たちも増えましたけども。でも、だからって何なの?っていうところでもありますしね。やっぱりそこに貪欲でいるべきだと思いますし、逆に自分たちが何かを味わえる状況であることをありがたいと思わなきゃいけないと思いますね」
──正しい考え方をしているバンドがちゃんと成功していくという。それはとても夢があることだなあと思ってるんですよね。
「恐縮です。ちょっとね、その夢を叶えてあげたいじゃないですけど、それは我々自身の夢でもありますのでね。それが叶うように、引き続き狼たちも走っていきたいと思いますのでね」
リリース情報
『狼大全集Ⅲ』
2014.10.15発売
RDV-0018
[初回生産限定盤] 2DVD SRBL-1633~34 ¥4,380+tax
[通常盤] 1DVD SRBL-1635 ¥3,780+tax
[Blu-ray] SRXL-58 ¥4,780+tax
ツアー情報
「PLAY WHAT U WANT TOUR」
10月22日(水)名古屋 日本ガイシホール
11月2日(日)兵 庫 神戸ワールド記念ホール
11月18日(火)宮 城 仙台Rensa
11月21日(金)愛 媛 松山市総合コミュニティセンター
12月20日(土)埼 玉 さいたまスーパーアリーナ