在日ファンク

「(ピエール)瀧さんみたいになればいいのかなあ?」ってマネージャーに言ったら、「でも瀧さん売れてますからね、音楽で」って言われて……よし! 売れよう!って

──でも “笑うな”が若手女優へのやっかみの曲だとは思ってなかったです(笑)。

「あはは(笑)。でも全然何も言ってないですね、その女優については」

──でも表層的な笑いっていう部分でそのバラエティの話とつながってますよね。

「ああ、そうそう……いいな、いいな、そうです。ドラマの現場でスッゲーかわいい子と共演すると……俺、大根(仁)監督に『女優枠』って言われたことがあって、それちょっとわかる気がするというか。かわいいし、絶対女優に対抗できるわけないのに、なんかこう嫉妬するんですよね(笑)」

──ライバルに思っちゃうんですか?

「ライバルみたいな気持ちになっちゃうんですよ、俺。女優より目立ちたくなっちゃうみたいな……あ、ごめんなさい、全然つながんない話して……でも女優枠なんですよ、俺」

──結構、脇役然としてるのかと思ったら違うんですね。

「なんかこう、嫌なんですよ。現場だと脇役の人が主役を結構立てようとするんですけど、『あなたすごいよ』みたいな……それがスゲー嫌で」

──でもそれがチームってものじゃないんですか?

「そうなんですよ(笑)。いや、でも演技ではちゃんと立てますね。主役がちゃんとフォーカスされるように演技をやるっていうのは、カメラ回ってないところで主役を立てることと全然違うというか……過剰に立てすぎな気もするし……まあでもわかんないですね、テレビはやっぱり主役がとんでもなく背負ってますよね、視聴率とかもね。ビックリしましたけどね」

──実際どうなんですか? 俳優として出演作を積み重ねて、竹中(直人)さんの作品で舞台にも初めて出たわけですけど、たとえば星野さんはそもそも最初から二足の草鞋だったわけですけど、ハマケンさんは完全に後から役者業がついてきて。

「そうっすね、星野くんを見てるから、『二足の草鞋っていうのはやってもいいんだ、がんばればできるんじゃないか』って思ってたんですけど、やっぱ星野くんみたいにはかっこよくできないですね、なんか仕事が分裂しちゃってるっていうか。俺がミュージシャンをやってるっていうのを知らない現場も多かったりして……最近、在日ファンク好きですっていう人たちが誘ってくれるようにはなって、だんだん報われてき始めたんですけど」

──最初の作品は映画の『ハチクロ』ですよね。

「僕の中では『婚前特急』なんです」

──僕の中では?

「いや、宮崎吐夢さんと『ハチクロ』で共演して、試写会も吐夢さんと行って……俺スッゲーおもしろいことやったと思って、それで現場盛り上がってたんですけど、『俺あんまおもしろくなかったっすかね?』みたいな相談したら、『ハマケン、映画は寄りだよ』って言われて。『ハチクロ』は俺の寄りが全然なくて……そりゃ学生Cの寄り、撮らねえなと思って。だからあれじゃないんですよ、俺」

──(笑)じゃあ『婚前特急』から始まって。

「そうですね。俺の中では『婚前特急』から始まって、『モテキ』のあの気持ち悪い先生をやって、みたいな」

──オム先生ですね。実際声がかかって、どうだったんですか?

「いやだから、それまでは演技なんてできないし、真面目な人のやるもんだし……目立てばいいんでしょ?みたいなのがあって……バラエティ番組とかは楽しいけど、ドラマとかやんなくていいんじゃない?ぐらいの感じだったんですけど、『婚前特急』の台本を読んだらめちゃくちゃおもしろかったんですよ。べつにギャグをやってるわけじゃないのに、キャラが浮き出てきて一挙手一投足がおもしろい……で、監督と、『たぶん主人公のこいつはこういうことやるんでしょうね』みたいにキャラがひとり歩きしてるんですよ。それすばらしいなと思って。つまりは、すばらしい脚本に出会ったんですよね。そこで、もう基本中の基本なんですけど、『あ、台本って最後まで読まないといけないんだ』って思ったんです。自分の出るところだけじゃなくて、最後まで読むことで、この人がここで何をやるか?っていうのが特定されてくるんだって思ったときに、『あ、楽譜と同じだ』って思ったんですよ。そこで俺は、音楽とそういうお芝居がつながったというか」

──ユースケ(・サンタマリア)さんとか、(ピエール)瀧さんとか、ミュージシャンの後から役者業をやり始めた先輩っていうのがいると思うんですけど、そのことについて考えたりするんですか?

「考えます。でもね、ユースケさんに、『ユースケさんみたいに俺スゲーしゃべれるようになりたいっすよ』みたいなこと言ったら、『こっち来んの?』みたいな、『こっち来たいんだったら教えてあげるけど、ハマケンはそうじゃないほうがいいよ』って言われて」

──正しい気がする(笑)。

「間にいたほうがいいよ、音楽やってたほうがいいって言われて……じゃあ俺、やっぱ瀧さんみたいな……音楽もやってておしゃれじゃないですか。それでいてしっかりしたお芝居もできて……瀧さんみたいになればいいのかなあ?みたいなことを(事務所の)カクバリズムのマネージャーに言ったら、『でも瀧さん売れてますからね、音楽で』って言われて……『よし! 売れよう!』と思って(笑)」

──横浜アリーナとかやってますからね。

「横浜アリーナとかやってるんですか?」

──やってますよ。あと“Shangri-La”は何十万枚も売れてますよ。

「それは無理だな」

──実際これからも俳優業はやっていくんですか?

「そうっすね、一応在日ファンクのみんなには、『今、俺は在日ファンクを感じられる仕事だけやってる』みたいなことを言ってるんですけど(笑)。『俺は選んでるぞ』と。在日ファンクのあいつがやってて、『ああ、いいね』って思えるのだけをやってる。『BORDER』とか、ちょっと世界観とか暗い猟奇的な感じだし、脚本の金城一紀さんも結構在日ファンク好きだって言ってくれてて。なんかね、だんだんそういうのが多くなってきたんですよ。『在日ファンクのあれ好きです』みたいな人が誘ってくれてるんで、まあ言っちゃえば、だからちょっとゲスい感じがあったり、暗かったりする感じがあるのかな?とか思ったりするんですけど」

──メンバーには応援してもらってる感じですか。

「そうですね、こないだ『服を買うときも在日ファンクかどうか?っていう基準で選んでる』みたいなことを言ったりしたら、飲み会のときに(村上)啓太に、『あれおまえほんとなの?』って問いただされて、ちょっと声がふるえながら、『ほんとだよ』って言ったっていう(笑)」

──ははは。

「なんかそういうのってあるじゃないですか。たとえばSAKEROCKのハマケンっぽい服も似合うんだけど、そういうのはこれからはちょっとそぎ落として。だからツモリチサト……昔、源くんが着てて、超いいなと思って、こないだやっと行けたんですけど、これ在日ファンクじゃねえと思って」

──SAKEROCKのときはポロシャツとか着てましたよね。

「そう、ホルスタイン柄とか」

──やっぱパリッとしたシャツなんですね、在日ファンクは。

「そうです、そぎ落として」

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