在日ファンク

選挙行くたびに無力さを感じるんだけど、根に持つことってすごい重要だと思ってるんです。根に持たないでやってると、どんどんダメな世の中になってくぞって

──アルバムのラストに入っている“百年”とか、怒りもあるんですけど、シニカルさとか、冷めた視点を感じるんですね。「百年経っても変わってんの?」みたいな。

「思ってんのは、 “百年”もそうですけど……俺30代に入ってから、選挙行くたびに無力さを感じるというか。でも選挙でうーん?って思ってると、あとから『あのときの』ってちゃんと記憶が蘇るというか。だからそこで、俺は一票しか投じられないんだけど、根に持つことってスゲー重要だと思ってんですよね」

──“根にもってます”という曲もありますね。

「その気持ちで作ってるんですよ。日本人って結構、水に流そうとか言うじゃないですか、それって人柄的にはいいのかもしれないけど、大人としては根に持たないといけないんじゃないか?って俺思ってて。だから、根に持たないでやってると、どんどんダメな世の中になってくぞっていうのはあるんですよね」

──だからさっきも話に出ましたけど、やっぱり在日ファンクの根底にあるのは怒りですよね。

「怒りですよ、怒りです、ほんと」

──自分の怒りがあんまり伝わってない、そのジレンマってあります?

「ありますよ。いや、それをどうしたらいいのかな?って思ってたんです。それで、“一揆”っていう曲も出したけど全然伝わんなくて……やっぱりそれを伝えようって思っちゃダメなんですよね。そこは曲として昇華しないと……最近ライヴでやってる“ちっちゃい”って曲、俺めちゃくちゃ怒ってる曲なんですけど。これはアメリカに怒ってるんですね。僕ほんと、最近洋服のブランドでHENTSCH MANっていうのが好きでね。海外の通販とかOPENING CEREMONYで買えるんですけど。でも全然合うサイズがないんですよ。なんで日本のサイズ出さないんだ?って思って……この靴も最悪ですよ」

──これはどこのなんですか?

「ルイ・ヴィトンなんですけど、見てください。二重に靴底入れてるんですよ、一番ちっちゃいサイズの。それを俺履いてるんですよ」

──サイズ何センチですか?

「俺は、24.5とか25とか」

──24.5でメンズってなかなかないんじゃないですか。それは責められない気もしますけど。

「日本のブランドはあるんです。だから迎合しつつ怒ってんですよ。まあでも……怒ってるわけだから、笑いをべつに狙ってないというか……だから笑いたい人にとってはたぶん中途半端なはずなんですけど、それなのにおもしろいって言ってくれるってことはたぶん何かがあるんだと思うんですよね、って俺は受け取ってるんですよね」

──うん、そう思います。アルバムではその怒りの切れ味が鋭くなってますよね。音の迫力もあるし。

「あ、そうそうそう。だからね、気持ちいいんですよ」

──ハマケンさんの怒りとサウンドっていうのが、すごく合致しているというか。

「そう……っていうか、そうじゃなきゃいけなかったんですよね。あたりまえですけどね、ミュージシャンだから(笑)。それしなきゃいけなかったんだなと思って……だからなんかこう、ガーンっていう何かがあるから、ちゃんと伝わってんのかな?ってどっかで思うんですよね」

──ハマケンさんのその怒りの源ってどこから来てるんだと思います? そもそも在日ファンクっていうバンド名なわけですけど。

「日本ってなんなんだろう?みたいなことってずっと考えてて。でもそういうやつってキモいじゃないですか(笑)。それで中学で嫌われた経験があって(笑)。社会おたくとか言われて……でも結局あのときの気持ちって正しかったなあと思って。そこで俺ちょっと迎合してそういう話するのやめて彼女とかできるようになったんですよ」

在日ファンク

──めんどくさい話嫌いな女の子多いですよね。

「そうそう……めんどくさい話だし、理屈っぽいし……でもそれって考えてないといけないし、それがめんどくさいとか、うざったいっていうことに――そうなってることがむしろ異常なんじゃないの?って最近思ってるというか……それを突き詰められれば絶対おもしろい話なのに、その前に芸人が入ってきて、茶化すみたいなのがスゲー嫌だったりしたな。」

──その「日本って何なんだろう?」っていう疑問が湧いてきたのはどうしてなんですかね?

「何なんですかね?……たぶん語るのが好きだったんだと思うんですよね。日本人としてのアイデンティティもほしかったし……やたら日本っぽいものが好きだったから、戦国時代とか。まあでも日本ってすばらしいなってほんとの意味で思いたいっていうのはありますよね」

──「在日」で「ファンク」なわけですからね。

「そうですね。だから、ファンク好きだけど、そのままのファンク……ご当地ファンクをリスペクトし過ぎてやると、やっぱりもうなんか属国ファンクみたいになると思うんですよね、俺。それをこう、『こっから先は日本だからおまえらいらない!』っていう意味も込めて“在日ファンク”だと思うんですけど。アメリカを、リスペクトもしてるけどムカついてもいます……みたいな」

提供:日本コロムビア

企画・制作:RO69編集部

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