エモーショナルなサウンド、キャッチーなメロディ、斬新なエッセンスを融合させ、独自の世界を生み出してきたBURNOUT SYNDROMESが、最新シングル『花一匁』でも大いに存在感を示している。タイトル曲“花一匁”は、TVアニメ『銀魂』のエンディングテーマ。誰もが知っている童謡の一節を効果的に盛り込み、壮大な展開を遂げるこの曲は、あらゆるリスナーの胸に鮮烈な印象を残すはずだ。アルバム『孔雀』のリリースも間近に控え、ますますオリジナリティを深めている様子のこのバンドに、今作についてじっくり語ってもらった。
インタビュー=田中大
アルバムは「実験」で、シングルは「レポート」(熊谷)
――“花一匁”は、『銀魂』のエンディングテーマとして書き下ろしたんですか?
熊谷和海(G・Vo) そうです。もともと「このバンドに和のテイストってないな」って感じていましたし、アルバムを作っていて「今までになかったベクトルにどんどん挑戦しよう」って思っていたので、その一環で「和」というものにチャレンジしたいなと。
――前面に「和」を打ち出してはいませんでしたが、「自ずと滲み出る和」みたいなものは、もともとありましたよね?
熊谷 そうですね。僕の声が高くないというのも、そういう雰囲気に繋がっていた理由なのかもしれないです。声が高いと洋楽っぽいものになっていくイメージがあるので。だからこういうものは、我々と相性が良かったのかもしれないです。歌詞に関しても古風な雰囲気を出したかったので、大正や明治っぽさも出しつつ、箇所によっては鎌倉時代、平安時代くらいまで遡らせた感じがあります。
廣瀬拓哉(Dr・Cho) 僕はもともと熊谷の作る曲に「和」なものを感じてましたけど、“花一匁”は「ここまで振り切るんだ!」って驚きました。
石川大裕(B・Cho) サビの《努努放すな》とか、古文の勉強で学んだような言葉ですし、すごくいい表現だなと思いました。古文や百人一首がわりと好きだったんです(笑)。
熊谷 日本語を正しく使えば使うほど「和」になっていくのかなとも思います。受け手に解釈の幅をそこまで持たせたくないというポリシーがあるので、「言葉をちゃんと使わないと」とは気をつけています。「これ、どういうことを言ってるんだろうね?」っていうところにとどまるのではなく、「このメッセージで私たちをどうしたいんだろう?」って思ってほしいんですよ。僕、真面目なんでしょうね(笑)。
廣瀬 まあ、普段の熊谷は結構ふざけてますけど。ホテルで宿泊する時にどっきりを仕掛けられたりしてます。
熊谷 空白を埋めたいのかな?
石川 そうかも(笑)。「何かしたい」っていうのが根本にあるんだと思います。
――真面目さと茶目っ気が入り混じった気質は、少なからずこのバンドの音楽の独特な佇まいの源になっている気がします。
熊谷 もともと我々はスタートした頃から「~っぽい」って言われなかったですからね。やりたいことを追求すると、それが自然とオリジナリティになっているのかもしれないです。そういうのをどんどん深めていきたい、そしてそのためにはサウンド面が不可欠であると最近は考えるようになってきていて。サウンドを深めることによって歌詞も伸びて、そのことによってサウンドも伸びて……っていうのが、正しいバンドのあり方なのかなと。どちらも大事なんですけど、今はサウンド面を伸ばすタームかなと思ってます。
石川 各々、求められるものを積極的に出して、やったことがない奏法だったりもいろいろやるようになってます。僕もレコーディングの時にベースを何本も試しましたし。
廣瀬 ドラムに関しても、音の鳴りは、昔からずっと研究しているんです。フレーズは熊谷が打ち込みで作るデモに沿うことが多いんですけど、その分、僕は音色、深み、タッチをいろいろ考えていて、それが上手くハマるようになってます。
――そういう追求を重ねた中で、今回のシングルも生まれたわけですね。
熊谷 はい。制作って「実験」と「レポート」の両面があると思うんですけど、僕の中でアルバムは「実験」で、シングルは「レポート」。アルバムで実験をたくさんして、良かった部分をシングルに反映する感覚があります。
変わらない芯の部分はありつつ、成長していくための研究をし続けている(廣瀬)
――“花一匁”を作るにあたっては、まず、どういうことを考えました?
熊谷 「とにかくかっこいいサビ頭だよね」っていう話が出ていたので、最初のワードを探した末に、《花一匁》というのが浮かびました。そして、これはタイアップのお話を頂いた時にいつも考えることなんですけど、「僕なりのラストシーンを描きたい」というのもありました。『銀魂』に関して思い浮かべたのは、「最終的には敵も味方も手を繋いで終わってほしいな」というものでしたね。『銀魂』から感じる「ふざけているけど一所懸命」っていう雰囲気は、「はないちもんめ」という遊びにも通ずるところがあるのかなと。
――BURNOUT SYNDROMESは、独特なモチーフを核に据えて表現することを大事にしていますよね。
熊谷 そうですね。モチーフが面白くないと、僕は曲が書けないんです。よくあるモチーフだと先人が作った曲の存在感が大きくて、好き勝手できないので。だから「はないちもんめ」というモチーフが出てきて良かったです。『銀魂』のお話を頂かなかったら出てこなかったモチーフだと思います。
廣瀬 熊谷がインプットするものの量も増えているんだろうなと、僕は感じてます。変わらない芯の部分はありつつ、成長していくための研究をし続けているんですよね。
熊谷 学ぶのが好きなんです。あと、今とか1年後にあまり興味がないというのもあります。一時的に広がって消えるのではなく、同じペースで動いて、吸収して、成長し続けることがしたいんです。そういう活動をしていくとどうなるのかが気になるんですよ。進んだ分は失われるのではなくて、ずっと残っていくでしょうし、吸収するごとにどんどん面白くなっていくんだと思ってます。
――建築物のイメージで言うと、どんどん建て増ししていくような感じですかね?
熊谷 はい。バルセロナのサグラダ・ファミリアみたいな感じです(笑)。時々、その時点での形を世に出しますけど、「いつ完成すんの? この先、どこに行くんだろう?」みたいなのが好きなんです。
――音楽の世界には、建築基準法みたいなものはないですし、信じられないところから煙突が付き出している建物みたいな曲もありですよね。
熊谷 はい。とにかくグチャグチャにやってやりたいです(笑)。“花一匁”も、今までの曲で培ってきたいいところを抽出しつつ、新しいことをやれました。僕らは、あんまりロックロックしてるつもりもないから、不自然なことをやってるつもりはないんです。“花一匁”も、このタイトルでやる以上、童謡のメロディを入れ込むのは絶対だなと思ってたので、そういう要素を入れたりしました。