キム・ヒョンジュンがニューアルバム『月と太陽と君の歌』を2月5日にリリースする。フルアルバムとしては約5年ぶり、兵役を終えて活動を再開してからは約2年半。これまでリリースしてきたシングル曲から、最新のモードを書き下ろした楽曲まで、全15曲が収録されている。アグレッシブなロックから、甘く切ないバラードまで。その、しなやかな表現の源にあるものとは? 宇宙にロマンを感じ、様々なロックを掘り下げ、「既存のスタイルに固執しない」と熱く語る、彼の素顔が表れたインタビューになった。
インタビュー=高橋美穂
宇宙には無限の可能性と無限の期待感を抱かせてくれる、神秘的なところがある
――(取材日の)昨日と今日はファンミーティングなんですよね。昨日はいかがでしたか?
「単独でのファンミーティングは、初めてなんです。ファンのみなさんの前で話したりするので、なかなか不器用なところはあるんですが、たくさん準備をして臨みました。コンサートとは違って、音楽的なところを届けるというよりは、人間的なところに親しみやすさを感じてもらえるものになっているので、ファンのみなさんには喜んでいただけたかと思います。今日は、恐らく昨日よりはうまくできると思います(笑)」
――不器用っておっしゃっていましたけど、音楽でご自分のことを伝える方が得意ですか?
「僕としては、そちらの方が楽ですね。音楽では、歌詞も書いていますし、プロデュースもしていて、自分の楽曲に対する理解度は100%ありますので、自分のことを音楽を通して伝えることができますから。ファンミーティングにはゲームなどがあって、親しんでもらえるとは思うんですが、まだちょっと恥ずかしい気持ちがあります」
――では、さっそく5年ぶりのニューアルバム『月と太陽と君の歌』についてうかがっていきます。今(インタビュー段階)はまだ完成していない状況なんですが、どんなアルバムになりそうですか?
「5年ぶりのフルアルバムという実感は、なかなかないんです。こんなに長い間フルアルバムを出してこなかったんだ、って。その間、(シングルなどの)リリースはしていましたし。ただ、やっとフルアルバムが出るんだなと思うと、ファンのみなさんに申し訳ない気持ちがあります。僕の5年間が詰まったアルバムになりましたね。タイトルの『月と太陽と君の歌』に関しては、文字通り寒さと熱さが共存しているということ、そして『君』にはファンのみなさんに捧げるという意味が込められています」
――「月」と「太陽」は、ヒョンジュンさんの楽曲の象徴、ということでしょうか?
「僕は曲を表現するときに、宇宙からインスピレーションを受けているんです。オーロラ、海、月、太陽……このアルバムにも、そういった影響が見られると思います。例えば”Paradise“は、星座がモチーフになっています」
――宇宙、好きなんですか?
「(日本語で)好きです」
――宇宙のどういうところに惹かれますか?
「宇宙って広いですよね。そこには、僕たちだけがいるのではないと思っているんです。宇宙には無限の可能性と無限の期待感を抱かせてくれる、神秘的なところがあるんですよね」
――宇宙から受けたインスピレーションを、どのように歌詞や曲に落とし込んでいくんでしょうか?
「例えば、星座もたくさんありますよね。僕はふたご座なんですが、なぜふたご座なんだろう?って考えたり。あと星って、すごくきれいなんですけど、一方では寂しげにも見えるんです。その日の気持ちによって、同じ星座を見ても感じ方が違う。また、星座は動かずにその場にいますよね。地球がまわっていて、時間が変わるので、見るたびに違った感じがする。動かないものを見て、自分の考えが変わるというのも面白いと思っています」
――表題曲“月と太陽と君の歌”には、特にいろいろ詰め込めた実感はありますか?
「月は夜見えていて、太陽は朝見えているものですよね。同じ場にいて、僕たちを生かしてくれる、唯一の原動力だと思うんです。僕たちは月と太陽がないと生きていけない――つまり、君にとって僕は月であり太陽で、すべてをあげるよという意味をこの曲には込めています。君が辛い時、疲れた時、愛する時には、必ず僕が隣にいるということを忘れないでほしい、ということです」
僕の楽曲は、すべてロックだと思って作っているんです
――また、すでに韓国ではリリースされている“Life Without You”が、古内東子さんによる日本語詞をあてた“Life Without You -セピア色の時-”となって収録されますね。
「“Life Without You”は、韓国語では別れた男性の立場で書いたんですが、女性の立場で歌ってみたいと思ったんです。古内さんの “誰より好きなのに”は、歌詞が注目されて、大ヒットして、多くの人に歌われてきましたよね。だから、この曲の作詞もお願いしてみたら、ありがたいことに書いてくださって。読んでみて、女性というのは、こんなに繊細な表現力があるんだなと思いました。僕には表現できない、悲しみが書かれています。男って、《セピア色》がよくわからないんですよ」
――自分ではない人が書いた歌詞を歌うことに関しては、どうですか?
「歌においては、歌詞は本当に重要ですよね。自分で書いた歌詞は、すべて理解していますが、他の方が書いてくださった歌詞は、まず理解するために努力をします。あとは、書いてくださった方の感情にどっぷり浸って、自然と自分の口から出てくるように歌うのがいいと思っています」
――この曲はラブソングですけど、ヒョンジュンさんはロックが好きなんですよね。
「僕の楽曲は、すべてロックだと思って作っているんです。アコースティックギターから作り始めますし。そこから作業していくうちに、アレンジがバラードになったり、歌詞で変化していったりするんです」
――ご自身の好きな音楽があれば教えてください。
「オアシスやコールドプレイが大好きです。ブリティッシュの感性が好きですね」
――日本のバンドはいかがですか?
「BUMP OF CHICKEN! あとONE OK ROCKも、いろいろと新しいトライをしているところが印象深いです。それから、Mr.Childrenの“くるみ”のMVは、胸にジーンと響くものがありましたね」
――いろいろな音楽を、ご自身の音楽にフィードバックしているんですね。
「はい。いろいろ学べるところが多いです。もしかしたら、日本の方はあまり感じていないかもしれないですが、J-POPやJ-ROCKって聴けば明らかにわかりますから」
――J-ROCKのレジェンドといえる森重(樹一・ZIGGY)さんとのコラボレーション曲“BEYOND CRAZY”も、今作には収録されていますね。
「“BEYOND CRAZY”の原曲はラフな状態だったんですけど、それを生かして、明るく盛り上がれる曲にするにはどうすればいいか考えて、疾走感がある仕上がりになりました。森重さん特有のシャウトも生かしています」