多彩な「ロック」を表現したキム・ヒョンジュンのフルアルバム『月と太陽と君の歌』

研究もしていますね、自分の中にどんな声があるんだろう?って


――アルバム全体の流れは考えましたか?

「僕がバンドサウンドをやっていることを伝えたかったし、ブリティッシュ的なところも入れつつ、最後は“月と太陽と君の歌”でしっかり締め括ろうと思いました」

――バンドサウンドを打ち出したいという意思は、2曲目の“I’m a Million”、3曲目の”BEYOND CRAZY“の流れで、かなり伝わってきます。

「僕、いろんなロックを作っていますけど、“I’m a Million”と“BEYOND CRAZY”は、僕に合っていると思っています」

――バラードでは柔らかな歌声を聴かせてくれますけど、こういったハードな曲ではエモーショナルな歌声になっているじゃないですか。そのあたりの歌い分けは、どう考えていらっしゃいますか?

「バラードは、力を抜いて楽に歌おうと思っているんですね。聴き手にも楽に聴いてほしいし。ただ、ハードな曲はパワーを伝えたいので、力を込めて歌います。研究もしていますね、自分の中にどんな声があるんだろう?って。そこは、試しながら歌っています」

――今作では、いろんな声を試せた実感はありますか?

「今作に収録されている最初の曲ができたのが2年半ぐらい前だったんですが、それ以来、ずっと歌唱法を研究しているんです。最近の楽曲の中では“Take my hand”や“Wait for me”で、だんだん完成形に近づけていると思うようになりました。でも、これからも研究を重ねて、自分の歌を発展させていきたいです」

――すごく納得したんですけど、“Take my hand”の歌は、特に印象的でした。

「“Take my hand”は、辛い状況の人を見て作った楽曲なんです。僕たちは生きていく中で、たくさんの挫折を経験しますよね。悲しいこと、寂しいこと、辛いこと、いろいろありますけど、その時には手を取るから一緒に立ち上がろうというメッセージを込めています。これを聴いて元気が出たというファンの方もいらっしゃって、よかったなあと思っています」

――歌唱法の研究の賜物というところもあると思いますが、アルバムの収録曲はバラエティーに富んでいますよね。だから、どれがヒョンジュンさんの素なのかな?とも思うんですが、どれも素なんでしょうか?

「そうですね。遡ること2年半前から今に至るまでの、自分の感情の変化がここに込められていると思います」

――じゃあ、ご自身でもこの中の楽曲を歌ったり聴いたりすることで、過去の感情を思い出したりしますか?

「はい。あの時は気分がよかった、この時は悲しかった、この時は怒りを感じていた……いろいろと思い出します」

――なかでも、サウンド的なこだわりを聴いて欲しい楽曲というと、どれになりますか?

「サウンド的には“THIS IS LOVE”の完成度が高いと思います。これは、僕が宇宙から感じたインスピレーションがかなり入っていますし、神秘的なところも込めることができました。太陽や月や海や自然があるのは、すべて君のためなんだよっていうメッセージを伝えたかったんです」

びっくりしているうちに、風が吹き荒れるように終わるライブにしたい


――最後に、これから挑戦してみたいことがあれば、教えてください。

「いろいろなことを試してみたいと思っています。すでに(今作に収録されていない新曲も)4曲ぐらいできているんです。ファンの方が聴いたら、型破りすぎるんじゃない?って思うようなこともトライしていきたいんですよね。僕は既存のスタイルに固執したくはないし、いろいろなジャンルを研究して、新しいものを作っていきたいんです」

――その「既存のスタイルに固執しない」という考え方そのものがロックですよね。

「はい、ロックは多様な表現ができるジャンルだと思います」

――ちなみに、気の早い話ですが、できあがっている新曲は、どんな楽曲なんですか?

「クラシックと結びつけた楽曲や、ブリティッシュな楽曲、あとコードがぶつかっているような楽曲もあるんです。聴いた時に気分が優れなくなるような曲も作りたいと思って(笑)」

――これからも期待しています!

「(日本語で)ありがとうございます!」

――2020年は、ホール7都市9公演の「月TOUR」、ライブハウス10都市12公演の「太陽TOUR」も行われますね。

「感動的なストーリーよりも重厚さを見せたいんです。会場に着いて、びっくりしているうちに、風が吹き荒れるように終わるライブにしたいと思っています」

――きっと、音源とライブでは、違った魅力が感じられますよね。

「確かに僕は、ライブの方が好きな人間です。歌ってくれたり泣いてくれたり……その場でフィードバックもきますから。もちろん制作も好きなんですが、ライブの方が10倍くらい好きですね。これを読んでくださった方にも足を運んでいただきたいです。何かインスピレーションを感じて帰っていただけると思います」

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