2002年生まれの4人組バンド、chilldspotが鳴らすチルでジャンルレスなサウンドとは? その根源を語る

2002年生まれの4人組バンド、chilldspotが鳴らすチルでジャンルレスなサウンドとは? その根源を語る

私がイメージしてなかったようなアイデアをメンバーがバンバン出してくれる(比喩根)

――初めて作ったという“夜の探検”は、どうしようもない不安を感じながらも自分で自分を落ち着かせるような心情が描かれていますが、これはどういう時に作ったんでしょう?

比喩根 高1の時に作りました。今は(曲を)少しずつ人に聴いてもらえるようになったので、いろんなことを考えながら作ることもあるんですけど、これはだれに聴かせるでもなく自分のために作った曲ですね。前に住んでいた家のベランダの感じをそのまま歌詞にしてたり。素直に、比喩もあまり使わずに書いてます。

――希望につなげようとするアプローチは、今の比喩根さんの歌詞に通じていますよね。

比喩根 たぶん、自分で曲の中では前向きになろうとしてるんでしょうね(笑)。

――その“夜の探検”も収録された初のアルバム『ingredients』はこれまでのchilldspotの集大成的な印象もありますが、アルバムのイメージは具体的にあったんですか?

比喩根 最初に『the youth night』っていうEPを出したんですけど、あれは「時間の流れ」をコンセプトに作ったんですね。今回は、自分たちが作りたい曲を作ってたら、いつの間にかこれだけの曲ができて、アルバムが作れた!ってくらいになっていて。いわばベストアルバムじゃないけど、そういうふうに自分たちのいい曲を出していったという感じで、一つひとつ本当にこだわって。タイトルも後付けなんですよ。たぶん10代最後のアルバムですし、自分たちがやりたいことを好きに詰め込んだアルバムになりました。

――曲のアプローチは様々ですが、歌を際立たせる隙間の多いアレンジや、時折入ってくるギターソロがとても印象的で。

玲山 確かに、ギターソロに入ったタイミングで曲調がガラッと変わる曲もいくつかあるので、そういう面白さもあると思いますね。ジャスティンがよく、「ここのギターソロはこういうアレンジにしたらどう?」って提案してくれるんですよ。“未定”っていう曲の、ディスコアレンジのアイデアを出したのもジャスティンなんですけど。

比喩根 アイデアメーカーなんです。

ジャスティン みんなでやってます(笑)。

玲山 ディスコのアプローチを取り入れたことによって、歌詞の内容もすごく伝わりやすくなったと思います。

比喩根 みんな、私がイメージしてなかったようなアレンジのアイデアをバンバン出してくれるんです。それによって何倍も何十倍も曲をよくしてくれる。だから、いろんなアイデアをとりあえず一回は試してみるんです。

――民主主義なんですね。

玲山 民主主義ですね(笑)。

比喩根 ケンカしたことないもんね。たぶん仲いいと思います(笑)。私はどんな意見でも一旦キャッチして、咀嚼してからメンバーに投げる感じで。メンバーを選ぶ時、ツンツンしてない人を選んだのも、今のバンドの雰囲気にとって大きいと思います(笑)。

歌の中だけでも自分を励ましたい(比喩根)

――先行配信された“未定”は、「人と比べず、焦らずに自分らしくいればいい」という応援歌になっています。ここで描かれているコンプレックスは比喩根さんの中に強くあるものですか?

比喩根 やっぱり、人間だれしもひとつくらいコンプレックスってある気がしてるんですけど、私は性格上、いろんな人と比較したり、劣等感が強かったり、コンプレックスがすごく多かったりして落ち込むことが多いんですよね。なので、歌の中だけでも自分を励ます、じゃないけど(笑)、曲を聴いてくれた人が共感して、少しでも「まあ、いっか」って前向きな気持ちになってくれたなら、自分のために作った曲ではあるけど、より曲を作った意味が生まれるなと思ってますね。まだオリジナル曲を作っていなかった中学生の時に、通っていたボイストレーニングの発表会があって。そこでカバー曲を歌ったんですが、ひとり泣いてくれた人がいたんです。その時に初めて、自分じゃないとできないことを見つけたというか、人に伝えられた感覚があって。そのあと“夜の探検”を作って、学校で弾き語りのライブをやった時も、「めっちゃいい」とか「録って聴いてる」って言ってくれる人がいて。「曲作るとこんなに認めてもらえるんだ! 楽しい」って思ったのも、自分の中では大きかったんですよね。

――最後に、今後のビジョンを教えてください。

比喩根 ライブをまだ全然やったことがないので、ライブをどんどんやっていって、フェスにも出ていきたいですね。「chilldspotって、音源もいいけどライブがいいよね」って言われたいです。

ジャスティン 音源に関しては、バンド名にもある通り「子供」の心や好奇心を忘れずに、自分たちがいいと思ったものをどんどん取り入れていきたいですね。いい意味での貪欲さを忘れずにいたいです。

小﨑 僕らって、いい意味でいろんな人たちに向けての曲を作ってると思うので、さらに幅を広くして、よりいろんな層の人に聴いてもらえるバンドになりたいですね。

玲山 ライブでは目の前にお客さんがいるので、歌詞とかがより深く伝わると思うんです。そういうことで「すごいなあ」ってやっぱり思われたいし、「このバンドに一生ついていこう」って思わせられたらいいですよね。

chilldspotにインタビューしました
9月15日(水)に1stアルバム『ingredients』をリリースするchilldspotに、JAPAN初インタビューをしました。 今作についてはもちろん、それぞれの音楽的なルーツや、歌詞に隠された想いなど、メンバー4人全員に語っていただきました。 このインタビューは現在発売中の…
chilldspotにインタビューしました

次のページMV・リリース情報・ライブ情報
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする