音楽として、そして、誇りと生き方として、「バンド」を選んだ新鋭3ピース・板歯目(ばんしもく)、インタビュー!

音楽として、そして、誇りと生き方として、「バンド」を選んだ新鋭3ピース・板歯目(ばんしもく)、インタビュー! - photo by テディ/クマタマサアキphoto by テディ/クマタマサアキ

これ以上楽しいことは人生でないから、大好きな人たちと一緒にバンドをやっている感じです(千乂)

――ご自分たちのことを「爬虫類系ロックバンド」と名乗っているし、“コモドドラゴン”という曲もあったりしますが、爬虫類への愛着は、どういったところから生まれているんですか?

千乂詞音(Vo・G) 爬虫類って、ありえないくらいかわいくて(笑)。でも、神秘的すぎて、あまり触れてはいけない領域っていう感じもするんです、私にとっては。“コモドドラゴン”は、「誰かに殺されるくらいならコモドドラゴンに食われて死にたい」っていう曲で(笑)。コモドオオトカゲって、獲物を噛んで毒をつけてから、追い回して追い回して、死ぬまで追い回して、食べるんです。誰かに殺されるくらいなら、コモドオオトカゲに噛まれて死んだほうがいいなと思って、書きました。

――なるほど(笑)。もう既にアルバム2枚をリリースし、配信シングルも出しまくりと、とにかく曲を世に出している状態ですけど、曲作りは早いですか?

庵原大和(Dr) とにかく新しいフレーズや音を鳴らすのが好きなので、アイデアが出てきたら合わせたくなっちゃうんですよね。僕や千乂さんがひとりで作る曲もあるけど、誰かが作ったフレーズを弾いていると、「それいいじゃん」って、そこからセッションが始まることも多くて。スタジオで練習していて「一旦休もう」って休憩に入っても、誰かがフレーズを弾き出すんですよね。

千乂 私がトイレに行っている間に、ふたりが曲を作り始めていたり(笑)。かと思ったら、大和がとんでもなく難しい曲を持ってきたり、ゆーへーが歌詞を書いてきたり。

――そもそも、どのようにして始まったバンドなんですか?

千乂 私が高校1年生の頃に軽音部で女の子ふたりとバンドを組んでいたんです。バンド名は、その頃から板歯目で。ドラムの子がやめちゃった時に、同じ軽音部にいた大和に「ドラムを叩いてほしい」ってお願いしました。それから軽音部を引退する時にベースの子もやめちゃったんですけど、小学校1年生から幼馴染だったゆーへーがベースを弾けることを思い出して、「一緒にやろう」と声をかけて。それで、この3人になりました。

――千乂さん的には、どういったポイントで庵原さんとゆーへーさんと一緒にバンドをやりたいと思ったんですか?

千乂 ふたりとも、いい意味で音楽への熱意「だけ」がすごいんですよね(笑)。3人とも学校嫌いだし、他の面で適していることはあまりないけど、音楽だけはすごく好きっていう。そこが大好きです。

――千乂さんの「バンドをやりたい」という欲求は、どういう感覚に根差しているものなんだと思いますか?

千乂 元々、ピアノやフルートをやっていたんですけど、どっちも続かなくて。でも、ギターだけは続いたんですよね。あと、高校1年生の時の軽音部の夏合宿で「曲を作ってください」と言われて、初めて曲を書いたんです。“フリーダムスタンダード”っていう曲のリフは、その時の曲のリフなんですけど。曲を作ってみた時に、初めての感覚というか、「書いてみたらスッキリするな」っていう感情があって。大和の書く曲を歌うのも楽しいし、「私、これ以上にやりたいことはこの先出てこない気がする」と思って。それで「バンドを続けていきたい」となったんだと思います。これ以上楽しいことは人生でないから、大好きな人たちと一緒にバンドをやっている感じです。

ライブだと急に大きい声を出しても誰にも迷惑かけないので、これはいいなって(笑)(庵原)

――庵原さんとゆーへーさんは、どんな気持ちでバンド活動に向き合っていますか?

庵原 板歯目でライブしている時は爆発できるんですよね。僕は、勉強もスポーツもできないし、そもそも、友達もいないし。でも、普段生きている中で溜まっているものはあって。そういうものをいちばん爆発させられるのが音楽であり、バンドで。逆に、他のことはあまり好きじゃないんです。バンド以外ではダメ人間というか、バンド以外のことは得意じゃない。

――自分の中に何か溜まっているものがあるというのは、ずっと感じていたんですか?

庵原 そうですね……急に大きい声を出したくなることってないですか?(笑) 急に運動したくなるとか、急に食べ物をめっちゃ食べたくなるとか。僕の場合、それが曲を作ったりライブをすることで発散されるんです。ライブだと急に大きい声を出しても誰にも迷惑かけないので、これはいいなって(笑)。

――ゆーへーさんはどうですか?

ゆーへー 元々、ステージに立つことが好きだったし、楽器を持った時から「これでステージに立ちたい」という気持ちはあって。そもそもLUNA SEAが大好きだったんですけど、「LUNATIC FEST.」に行った時に、40メートルくらい離れた場所でDIR EN GREYが演奏しているのを観たことがあって。「なんだ、これは!?」と思ったんですよね。Toshiya(B)さんを見て、「王子様がいる」って本当に思ったんですよ。それがものすごく大きな体験で。

――ステージの上ではスター性のある存在でありたいという気持ちがある?

ゆーへー ありますね。音楽への入りはゲスの極み乙女で、どっちかというとポップス系だったんですけど、段々とDIR EN GREYのスター性に憧れて、魅了されていって。

――庵原さんと千乂さんはどんな音楽がルーツにあるんですか?

庵原 僕は、バンドだとUNISON SQUARE GARDENさんが好きなんですけど、他にも星野源さんとかもすごく好きで。メロディがきれいな音楽が好きなんだと思います。

千乂 私は、ニルヴァーナレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)……それに、スリップノットもすごく好きです。あとはデフトーンズとかも。父と母が、私が小さい頃からずっと家でかけていたバンドにどうしても戻っていきますね。自分で出会ったバンドでは、Teenager Kick Assというバンドがすごく好きなんです。もう解散しちゃったんですけど、私が生きてこられたのは、そのバンドの音楽があったからだなと思います。私がいちばん好きなギターの音を出しているのがTeenager Kick Assのボーカルの方(オオ=スカ)なんです。初めてライブを観た時に光って見えたんですよ。小6からずっと、その人が好きです。リフがすごく好きになったのは、その人の影響ですね。

次のページ周りにいろいろ言われすぎて頭が混乱した時でも、バンドでいれば「そっちの意見は聞かずに、この3人でいればいいや」と思える(千乂)
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