【インタビュー】WANIMAの傑作? いや、ロックアルバムの大傑作になった4年ぶりのアルバム『Catch Up』。全20曲、生まれ変わったWANIMAの「今」をまるごと聴け!

【インタビュー】WANIMAの傑作? いや、ロックアルバムの大傑作になった4年ぶりのアルバム『Catch Up』。全20曲、生まれ変わったWANIMAの「今」をまるごと聴け!

苦しんどる仲間たちにポッとLINEするぐらいの気持ちで、でも、想いは純度100で伝えたくって。そういうときに、今の俺やったら茶化しは使わんやろうなっていう

――このアルバムは本当に、すべての面で変わったと思うので、一つひとつについて聞きたくて。まず、サウンドが変わった。今まではいろんな音楽のバリエーションを盛り込んで活かしていくやり方だったけど、今回は、わりとロックに絞り込んでいるというか、幹が太くなっている感じがして。それによって、それぞれの曲の良さがすごく前面に出るようになった。そこには、どういう経緯があったんですか。

KENTA「いろんな制作をしていく中で、自分たちが育ったジャンルへのリスペクトを込めるっていうのがまず第一にあって。で、それぞれの得意、不得意なことを明確にして。以前は、ライブで歌をお客さんに任せていたところがあったけど、コロナ禍でお客さんが歌えなくなって、自分で責任を持とうってなって。歌も強化していった中で、自分が歌いやすいキーとか、本来の自分のキーに気づけたところがありましたね。そういうところでも、もともとこうやったよなWANIMAって、WANIMAの良さってここよなっていう……そこは、多少お客さんの認識と俺らの認識のズレみたいなものがあったのかもしれないですね。でも『Catch Up TOUR( -1 Time 1 Chance-)』で、過去の曲もキーを下げて、2023年バージョンで歌ったりして、うまーくグラデーションにしながらやれたから。ライブに来ている子たちは違和感なく、『いいわこの感じ!』って受け取ってくれると思う。WANIMA知らない人からしても、あ、こんなかっこいいロックサウンドで、日本語でやるんだって気づいてもらえるんじゃないかなって」

――中盤以降に何曲か出てくる、ミディアムな太いロックビートで、メロディもすごくロックスピリットのある感じが、このアルバムの中心になっているイメージはあるけど。こういうのは、今までなかったに等しいよね。

FUJI「作るときにKENTAから一曲一曲の色味をしっかり伝えてもらっていたので、制作スタイルはかなり変わったんですけど、そこへの戸惑いはなく、曲にしっかりビートを乗せられましたね。今山崎さんも言ってくれましたけど、骨太なロックなビートが多かったので、ビート感も大事にしつつ、いちばん気にしたところは鳴り方だったり。今までそこを、ないがしろにはしていないんですけど、突き詰めてはいなかったので。自分たちでできることが増えた分、気づきも多くて。こういう鳴らし方をしたらこういうノリ方をするんだっていうところ、一個一個を確かめながら作っていけました。間違いないゴールとしてちゃんと見えていたので。20曲できて、やっぱりいいアルバムになったなあと思いましたし、すごい骨太なものになったなと思います」

KO-SHIN「僕、WANIMAでやりたいのは、ギター、ベース、ドラムが鳴っている音楽で。それに満足できずに、いろんなバンドが、いろんな機械の音だったりを入れていくと思うんですけど、その中で僕らは、最低限の音でどれだけ表現できるか。いろんな機械の音が入っている音楽に対して、どう勝負を挑んでいくか。そこを踏まえてギターの音を作りました。自分で録る段階で、この曲はこのギターの音にしたら負けないっていうのを、すごくイメージできるようになったので。どのバンドもテーマにしていると思うんですけど、どれだけ曲がよく聴こえるか、歌詞がよく聴こえるか、メロディがよく聴こえるかっていうのを、よりいっそう意識して作れたかな」

――そして、歌詞も変わったと思っていて。これまではいろんなモチーフを使って、それこそエロからシリアスなメッセージまで歌ってきたんだけど。今回はストレートなメッセージ、生きるっていうテーマの真ん中にグッと寄っている感じが非常にしたんですね。

KENTA「誰の人生なんやろう、みたいなことを考え始めて。俺の人生やん、人生一度きりなんや、自分で決めな、自分でやらな、誰もやってくれん。アドバイスはくれるけど、自分がどうしたいか、自分が一歩踏み出さんことには、っていうことを考えとる時期が長かったので。長かった分、性格的に、人間的に、動き出したときには止まらんやろうなっていう。今まであったことへのリスペクトを忘れずに引き連れてこっから先進めたら、もう少し頭が柔らかくなって、未来ではもうちょっと、いい意味で自然に生きていけるんじゃないかなっていうふうに思い始めたタイミングかもしれないですね、このアルバムの歌詞作っとったとき」

――WANIMAって、エロの歌に限らず、普通のメッセージソングでも、AメロBメロでガーッと言いたいことを全部言ったあと、あえてサビでは意味不明な言葉で言う技というか、そういうのもあったじゃない。今回は、それもあまりない。ちゃんと、最初から最後まで伝えることを一曲で伝える、みたいな。

KENTA「そうですね。成長したんかな。ほんと昼夜問わず、ずっとやっていたので。ライブもしながらですけど。そういう日々を過ごしていた中で、俺らは吐き出す場所があるんですけど、聴いとる人は吐き出す場所が少ないと思うんですよ。やけん、声を持たん日々に声を与えるような瞬間を作りたいし、そこに余計なものはいらないんじゃないかなって。苦しんどる仲間たちにポッとLINEするぐらいの気持ちで、でも、想いは純度100で伝えたくって。そういうときに、今の俺やったら茶化しは使わんやろうなっていう。WANIMAの今の立ち位置では、WANIMAのKENTAとしては、薄めずに伝えたいなっていうのがあったので。キャッチしてくれたらいいんやけどな、ちょっと暑苦しいかな、いや、でもここは熱くいこうっていう感じでした」

自分たちで風を起こす。いろんな人たちを巻き込みながら、ちゃんと地に足つけて、血の通った活動ができれば、もっともっとWANIMAっていう存在の意味をみんなにわかってもらえるんじゃないかな


――ここまで歌詞だのサウンドだの分解してきたけど、そんなことよりも、曲がレベルアップしているっていうのがやっぱりいちばん大きいですよね。このレベルのロックソングを書く才能を今までどこに隠していたんだって言いたいぐらい。

KENTA「なかったんやと思いますよ。いや、わかんない。あったんかもしれないですけど、それを引き出す能力を、20代の俺は持ち合わせてなかったですね。ただ、支えてくれた人たちが諦めずに僕のことをフックアップし続けてくれて。30を越えてやっと、あのとき言っとった言葉の意味とか、もしかしたらこういうことを俺に伝えたかったんじゃないかとか、別れ際、こういうことを俺に伝えたかったんじゃないかなとか考えられるようになったからこそ、このアルバムはできたと思います」

――才能は種としてあっただけなのかもしれないね。いろんなものを吸収して、きっかけがあって発芽したっていう。活動自体は、今後、どうなんですか。このアルバムのようにスケールアップしていくつもりですか。

KENTA「ライブハウスで、僕らが育ったジャンルにリスペクトを忘れずやりながら、ホールでもやりながら、アリーナでもやりながら。あとは、熊本の『ワンチャンフェス(1CHANCE FESTIVAL 2023)』もやりながら、変わらずライブはしていきたいなって思うんですけど。今まで以上にベーシックなこともやりながら、ド派手なこともやれたらいいのかなって」

――デカくなるってイメージはあるんだ。

KENTA「はい。デカくなるっていうか、僕らの気持ちに賛同してくれる人たちが増えたらいいなっていう。自分たちで風を起こす。いろんな人たちを巻き込みながらやっていけたらいいかなって。ちゃんと地に足つけて、血の通った活動ができれば、もっともっとWANIMAっていう存在の意味をみんなにわかってもらえるんじゃないかな」

――今作は、WANIMAの傑作っていうだけじゃなく、ロックアルバムの傑作って言っていいアルバムだと思います。非常に嬉しいです。

KENTA「いや、嬉しいです。いろんな座組みみたいなんもあると思うんですけど、うん、ちゃんと、このアルバムを日本で推せないようじゃ終わってるなって思いますけどね、ははははは!」

――それは俺に言ってんの?(笑)。

KENTA「いえいえいえ! 山崎さんには言っていないですけど。まあ、そう聞こえるなら、そうなんじゃないですか? ははははは!」



このインタビュー&撮り下ろし写真の全貌は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』11月号に掲載!
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