【インタビュー】ヤユヨ、再スタートを切った3人で明るい未来を切り開く3つの新曲“Stand By Me”、“YOUTH OF EDGE”、“チョコミンツ”を語る

【インタビュー】ヤユヨ、再スタートを切った3人で明るい未来を切り開く3つの新曲“Stand By Me”、“YOUTH OF EDGE”、“チョコミンツ”を語る

バンド始めてから去年一昨年ぐらいまでの作品には恋愛詞が割合的に多かったんですけど、大学を卒業してから書かなくなってきた(ぺっぺ)

――今回の新曲3曲から、その前向きな気持ちはすごく伝わってきました。具体的に曲について訊いていきたいのですが、 ミニアルバム『SPIRAL』からシンセのアレンジにもチャレンジしていて、もうすっかり馴染んできた感じがするんですけれども、ヤユヨのひとつの武器としてバンドに取り入れていってるという感覚ですか?

ぺっぺ「『SPIRAL』以降は、誰が聴いてもわかる通りキーボードも増えたし、実際ライブでもキーボードや機材が増えたし。 ずっと、ギター、ベース、ドラムっていうシンプルなバンドスタイルでやってきてはいたけど、それに固執していたわけではなかったので、それは逆にキーボードとかシンセ系を入れ始めてからも、別にシンセに固執してるわけではなくて、あくまで1曲1曲、この歌がいちばん最善の形になる、いちばん自分がいいと思うしっくりくるものにするために、今回はシンセを入れるべきなのか、ギター1本で表現するのかとか、あくまでそこに私は重点を置いているので。これから先もずっとシンセとかを入れ続けるってことではないし、ヤユヨっていうイメージを作り上げるもののひとつとして、もっと自分の技術を磨いていけたらいいなと思っています」

――『SPIRAL』はその変化を新鮮に感じましたが、今作ではあくまで楽器のパートのひとつとして音に溶け込んでいると感じました。“Stand By Me”は社会人になったからこそ生まれた歌詞なのかなと思いましたが、逆に社会人になって書けなくなったテーマはありますか?

ぺっぺ「私的には恋愛詞っていうモードでは今ないかもしれないです。バンド始めてから去年一昨年ぐらいまでの作品には恋愛詞が割合的に多かったんですけど。でも、大学を卒業してから書かなくなってきました」

――社会人ならではの経験を書きたい思いが強くなったのか、それとも恋愛をモチーフにすることと距離ができたのでしょうか?

ぺっぺ「距離ができたっていうのが近いかなと思ってて。学生時代って、嫌でも人と会うことが多かったし、友達とそこまで仲良くなくても世間話したりして、大体そういう話題って恋愛やったり、バイト先でもそういう話とか普通にあったし、耳にする機会が多かった。私は恋愛詞を書くときは想像で書くタイプだったんで、そういう話を基に書いたりしてたんですけど。社会人になると、私友達いないんで(笑)、人とあまり会わないんですよね。恋愛の話を耳にすることがまずなくなったっていうのも大きいし、音楽1本になったので、音楽をしている自分と向き合う時間が増えましたね」

――リコさんは歌詞を書くうえで変化はありましたか?

リコ「私は恋愛詞も全然書き続けていたなとは思うんですけど、一方的な自分の思いっていうよりかは、もうちょっとスケールを大きく、視野を広く見たいなって思っていて。自分の一方通行な思いや、ただ恋っていうだけじゃなくって、もうちょっとスケールの大きい愛っていう部分に着目したいって気持ちになっています。恋っていうのはよく知ってるんですけど、愛ってなんなんだろうみたいな、おまえは一体なんなんだってぐるぐる考えていた時期もありました。でも今年に入ってからは、やっぱり自分たちの音楽をやる環境が変わったし、メンバーの脱退もあったりして、そこで何か曲を作ろうって思ったときに、恋愛の歌を書こうっていう気持ちには正直ならなかったので、“チョコミンツ”に関しては、恋愛のモードっていうよりかは、今の自分自身を見つめ直して、今の自分で音楽とどう向き合っていくかというか、『自分対何か』っていうテーマになりました」

ほかの人の自分は持ってないところを見て、すごくいいなって思ったときに、自分に取り入れようっていうよりかは、そういう相手と一緒にいたいなって思う(リコ)

――これまでのお話を聞くと、“Stand By Me”や、“YOUTH OF EDGE”のような応援歌が生まれたのは自然な流れだったのだなと思います。“YOUTH OF EDGE”のようなメッセージソングを歌うときと、恋愛ソングを歌うときで、意図的に変えている部分や意識していることはありますか?

リコ「恋愛ソングと応援歌っていうよりかは、その曲ごとに変えるように心がけてはいて。“YOUTH OF EDGE”のレコーディングのときは、青春のはつらつとした明るい感じと壮大なイメージだったり、ロックな感じもあるけど王道なJ-POP感もある曲だったので、どうしたらいいんだろうって考えてて。こういう楽曲で思い出されるアーティストさんって、いきものがかりさんとか、緑黄色社会さんだったりとかかなと思って、お二方みたいな、上手で、芯があって、抑揚もあって、きれいに歌い上げるみたいな感じで最初は歌っていたんですけど。ぺっぺと話し合う中で、そういうイメージっていうよりかは、『YOUTH』ってタイトルがついてるし、この曲自体が高校生のダンスの大会の応援曲でもあったし、若者目線の楽曲だからもっと若さっていうのを出していってもいいんじゃないかって。若者が持っている無敵感みたいなものをイメージしながら歌おうっていうことになって。ちょっとアイドルっぽいというか、それくらい大袈裟に今までの歌い方とガラッと変えて、若者感を出すことをすごく意識しながら歌いましたね。だから、レコーディングし終わったあとの音源を聴いたときに、自分の声じゃないみたいというか。自分の声ではあるけど、 語尾のはめ方だったりとか、抑揚のつけ方とかがやっぱいつもとは違うなって思いました。でも、曲の壮大さとのギャップが逆にいいなと思って、いい挑戦ができたなっていう感触はありました」

――この曲に限らずですが、ヤユヨからは「自分と他人は比べない」というような芯の強さを感じていて。特にリコさんのフロントマンとしての立ち振る舞いからかっこいい女性像みたいなものを個人的に感じてるんですけど、元からそういうタイプの人なんですか?

リコ「えー、比べてるのかな? いや、比べてないかもしれないです。ほかの人の自分は持ってないところを見て、すごくいいなって思ったときに、自分に取り入れようっていうよりかは、そういう相手と一緒にいたいなって思う。そういう自分になろうっていうよりかは、そういう相手をすごいなって思いながら、一緒にいさせてもらいたいって気持ちで過ごしてきたかもしれないですね。友達とか恋愛とかでも、そこで自分を変えようとか、比べようっていうよりかは、それはそれ、これはこれみたいなのが意識として結構強いかもしれないです。でもやっぱ社会人になって、それじゃいけないときもあるなって。それはそれ、これはこれで行くっていうよりかは、自分に足りないものを相手から盗むことで、より自分をよくしていくことも大切なんだなって思ったので、そこはもうちょっと頑張らないとなって思いますね」

――めちゃめちゃいいマインドだと思います。人のいいところを素直に捉えているのが素敵だなと。最後に、会場限定盤の『SALTY』についても訊きたいのですが、なぜ会場限定盤を出そうと思ったのでしょうか?

リコ「やったことないことをしてみようっていうのもひとつありますけど、コロナ禍が明けて、ライブの大切さや、自分たちのライブに来てくれるお客さんに対するありがたみが、ライブをやるごとに増してきて。だから、自分たちのツアーに来てくれるお客さんに対する特別感じゃないですけど、そういうのを感じてもらいたいなって思いました。あと今の時代、サブスクとかSNSで音楽を取り入れる方が多いと思うんですけど、そこをあえてCDっていう形で、手に取って聴いていただくのも面白いんじゃないかなっていうのもあります。でもやっぱりいちばんは、ライブに来てくれたお客さんへの感謝だったりとか、特別感っていうのを持って帰ってもらいたいなっていう思いです。新曲をその場で披露して販売させてもらっている感じです」

――ライブでの限定販売だと、確かに特別感がありますね。『SALTY』というタイトルにはどういった意味が込められているんですか?

リコ「夏の終わりにリリースするので、『夏の終わり』っていうテーマからいろいろなアイデアを出していて、ふと、ぺっぺが『SALTY』はどう?って言ってくれたときに、夏ってすごい汗かいたりとかするじゃないですか? しょっぱい涙とか汗って、経験だったりとか、頑張ったり我慢したからこそ出てくるものだから、そういう時間があったからこそ今の自分があるっていうのが、今の自分たちの状況ともリンクするし、“Stand By Me”で歌ってるような、自分の毎日に対して、平凡だなとか、こういうふうにやっとけばよかったな、というような気持ちで生きている人たちが、共感できるような作品になればいいなっていう思いで決定しました」

――“チョコミンツ”の歌詞は、細野晴臣さんを意識していますよね?

リコ「あー! そういうのもあります。さっきも言った『夏の終わり』っていうのをひとつのテーマとして自分の中においていて。で、自分の過ごしてきた環境と、今暮らしている都会の東京っていうのを比べたときに、細野さんだったりとか、はっぴいえんどの曲が頭に思い浮かんできて、それがちょっと出てるかもしれないですね。この曲作ってるときにマネージャーさんから電話がかかってきて、いろいろこの曲について話したんですけど、『私は今はっぴいえんどモードです!』って言いました(笑)」

――「夏の終わり」っていうテーマから細野さんに派生していったんですね。

リコ「そうですね。東京ってちょっとネオなイメージがあるかもしれないんですけど、私は逆に、東京の中にも絶対懐かしさがある風景はあると感じてて。都心だけじゃなくって、東京のいろんな場所に行ってみると、あ、意外と別にネオでもないんだっていう。自分たちが住んできた街と変わらないような場所もたくさんあるんだなって思うと、すごく親しみやすい街にも感じてきて。ちょっと東京に対して、緊張感だったりとか、人が多くて苦手だなとか思ってた自分がいなくなった感じがして。それでそういう音楽を聴きたくなったのかもしれないです」

10月30日(月)発売の『ROCKIN'ON JAPAN』12月号にもヤユヨのインタビューを掲載!

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