タイトルどうしよっかってなったときに、サビとかの各要所要所の歌詞の前に「あのね」ってつく感覚だった。語りかける、みたいな感じ
――で、“あのね”というタイトル。すっごいタイトルなんだけども。いつ、これをつけたの?「最後ですね。タイトルどうしよっかってなったときに、“あのね”って。急に言ったのかな? “あのね”どうですか? ああ、いいと思うって。わりとフワッと思いついたんですけど、サビとかの各要所要所の歌詞の前に『あのね』ってつく感覚だったんですよね。語りかける、みたいな感じが、自分の中のイメージであったので、“あのね”っていう。あと、トットちゃんはおしゃべりじゃないですか。で、私の生まれた地域には、『あのね帳』っていうのがあるんですよ。知らないですか?」
――え、知らない。
「お!? マジで全国区かと思ってたんですけど。小学校のときに『あのね帳』っていうのが配られて、絶対に『先生、あのね』って書きだしで、その日あった出来事を書く日記みたいなのがあって。で、トットちゃんが、あのねあのねって、先生に話しているイメージがありましたし、子どもたちが誰かに向けて言う『あのね』、自分が『あのね帳』を書いていたのもあったんですけど、そういうところから“あのね”になりました」
――歌詞を紡いでいきながら、その頭に「あのね」が入っているイメージだったんだね。
「あ、歌詞を書いているときはまったくなかったです。できあがってから、なんとなく。トットちゃんから泰明ちゃんに語りかけるイメージで。『あのね、《寝癖がある君の方が/何だか生きているって感じる》』って言っている感じでした。でも、超ざっくりです。このタイトルにしようって思っていたわけじゃないです、全然。もう“窓ぎわのトットちゃん”でもいいんかなって思っていましたし。でも、“あのね”って出てきたので“あのね”にしようって感じでした」
――でも、実際、“あのね”というタイトルで聴くこの曲と、違うタイトルで聴くこの曲は、僕たちの聴き方はまったく違うと思うんだよね。
「そうですよね。“窓ぎわのトットちゃん”だったら、そのまんまになっちゃいますもんね。タイトル、難しいですね。ここでは子どもらしさを、って感じですね。曲では年齢層を上げていますけど、タイトルは子どもらしさ、丸っこさが残っているのかなって思います」
――タイトルって、楽曲に最初にかけることができる魔法でもあるし、最後にかけることができる魔法でもあるよね。
「ほんとにそうですね。言い方悪いですけど、いいようにできる(笑)。後づけっていう魔法がかけられるので。タイトルが決まって、ようやく曲が締まったりしますし、タイトルが決まってから書きはじめていい曲になる場合もありますし。それはほんと、その曲次第ですね。今回は悩みましたけどね。私、曲タイトル長くしがちなので。“愛の花”とか短かったですけど、なんとかなんとかって長くしちゃうので。短いと不安になるんですよ。でも、迷ったけど、今回はこれ以外ないかって」
まだまだ7周年ですけど、自分の体についてとか、知らないことも多いですし。やってみないとわからないことも多いので。精進、勉強(笑)
――今年は最長のツアーも経験し、素晴らしい締めくくりになって。来年のあいみょんは、どうなっていくのかな。
「来年も、今年みたいな感じがいいです(笑)。同じような年にしたいっていうことじゃなくって、同じように進めたらいい。このペースでツアーやって。新曲も、“ノット・オーケー”も入れて3曲出せたのは、自分にとって楽しくていいペースでしたし。その中に朝ドラだったりもありつつ。でも、そう思うと、今年なんだかんだデカいのありすぎて、心臓忙しかったですね。ジブリ(映画『君たちはどう生きるか』で声優を務めた)もありましたし、ギャー!ってなっていましたけど(笑)」
――そうだよね(笑)。
「ツアーがドカーンとできて、みんなに会いに行きつつ、新曲も作って、自分の生活もきちんとして、っていうのが、すごいいいかなって思いますね」
――そういう意味では、今年は、無理せず過ごしながら、かつ大充実だった1年、という感じだったのかな。
「そうです。楽しかったです、すごく。今年はツアーが自分にとっては大きかったです。3月からリハーサルやって、1年間ツアーしていたので。ホール規模で、ファンクラブのお客さんが多かったですし、めちゃ安心感がありました。あ、続けられるかも! ホールで毎年とかできるかな?とか。これがずっとできたら、いいかなー、多くはもう望みません、みたいな感じです。いやあー、もう、いい意味で自分の限界も知れた1年だったんですよ」
――あ、そうなんだ。何かあった?
「40本って初めてやって。体調面はみんな大丈夫だったんですけど、喉は、ちょっとここまで来るとこうなるんやって知れたんですよ。ちょっと自分の限界、ギリギリ手前みたいな。できなくはないんですけど。そこが、知れたのはよかった。だから、これ以上は無理せず、これぐらいのペースでやればいいんやって知ることも、すごく大事。まだまだ7周年ですけど、自分の体についてとか、知らないことも多いですし。やってみないとわからないことも多いので。精進、勉強(笑)」
――今年も、フェスに雑誌に、大変お世話になりました。
「お世話になりました! ほんっとに。ありがとうございました」
――来年も、よき1年を過ごしてほしいな。
「そうですよね、『よいお年を』ですね」
スタイリング=服部昌孝 ヘア&メイク=菅谷征起(GÁRA) 衣装協力=Andersson Bell(ヌビアン渋谷 ☎︎03-6455-1076) 撮影協力=PROPS NOW
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