インタビュー=ヤコウリュウジ
──メジャーデビューで何が変わるのか、ドキドキとワクワクがあると言っていましたけど、実際に過ごしてきてどうですか?以前は「急な変化はお客さんを置いていっちゃうかなって」気にしてたけど、「今ならなんでもイケるでしょ」って(ハヤト)
けんた(G) やっと実感が湧いてきてますね。僕ら、高校生バンドのイメージが強かったので、そこからひと皮むけたいな、というところで新しく動き始めてることも多いし、また違ったステップに進めてるなと思えてます。
ハヤト(Dr) 曲作りにかける時間も増えましたね。クオリティの高いモノを出していこう、という空気感があって。以前だったら「急な変化はお客さんを置いていっちゃうかな」みたいなことを気にして、見定めつつやっていたところも、今ならなんでもイケるでしょ、みたいな。“キセキ”は引き算だったけど、そこを足し算にしてもやれるよね、って。
かず(B) メジャーデビューを機にそうやって変えた部分に慣れてきた感じはあって。半年ぐらい続けてみて、こっちのほうが性に合ってるなと思ってます。
──そうなると、曲の発端を作る柳澤さんとしても考え方が変わったり?
柳澤律希(Vo・G) でも、意外と根本は変わってないかもしれないです。みんなでアレンジしていく中で目線が変わったというか。前よりも柔軟になって「アレンジャーさんを入れてみよう」とか「ストリングスやピアノがあってもいいんじゃないか」とか、視野を広げたアプローチが増えただけで。
──“キセキ”は振り切った曲だったじゃないですか。あそこまでやったからなんでもできる、みたいな感覚もあったと思いますけど、そこから“ずっと前から君に恋してる”へはスムーズに辿り着いたんですか?
ハヤト それで言うと、曲の大元は以前からあったんですよ。
柳澤 “キセキ”が去年の3月か4月ぐらいにできて、9月にリリースすることが決まったあと、年内にもう1曲出したいという話がチーム内であって、作ったのは夏ぐらいですかね。“キセキ”ありきの曲作りだったので、最初はバンドだけでやってみたんですけど、どうせなら他の楽器も入れたいと思うようになって。
──けんたさんは以前からストリングスを入れてみたい、とおっしゃってましたよね。
けんた 華やかな感じもケプラに似合うなと個人的には思ってましたし、ちょうどいいタイミングだったんじゃないかなと思います。
──仲のいい友達への片思いを歌う歌詞だったり、ノスタルジーを感じさせるムードはケプラらしいですけど、アレンジの広がりが凄まじく、バンドの奥行きを感じさせる1曲になりましたよね。ストリングスのイメージはバンド側からアレンジャーへ投げた流れだったんですか?
柳澤 そうですね。そこから「ここはもう少しこうしたほうがいい」というアレンジャーさんのアイデアもあり、そこをすり合わせていって、今の形に収まりました。
──バンドのステップアップも感じさせますし、普通はこの曲でメジャーデビューだよな、と思ったりもして(笑)。
一同 ははははは。
ハヤト でも、(メジャーデビュー曲を“キセキ”にするのが)なんかしっくりきたんですよ。あのタイミングで1回仕切り直したかったところもあったし。あと、そういうタイミングで挑戦するのはありがちだから、ストリングスや他の楽器を加えることに抵抗はなかったけど、メジャーデビューでそういう曲を出すことには抵抗があったんですよね。メジャーデビューって言葉が邪魔しちゃう気がして。
──確かに、メジャーデビューだから音楽的な挑戦をしているんじゃないか、みたいに思われるかもしれないですよね。“ずっと前から君に恋してる”以後、秋口から年明けにかけても制作は続けてたんですか?
柳澤 1曲1曲に対してのアプローチをもっと考えたかったので、ライブも少し減らして、制作に重きを置いて動いてました。
ハヤト ワンフレーズだけとかメロディだけだったら、20以上はありましたね。
──そういった中から、“抱きしめて!青春”が新曲として選ばれた理由は?
柳澤 いや、この曲はその時期よりあとに結構ギュッと作ったんですよ。
ハヤト いろんな曲を作ってた中、スタッフチームとも話をして「今までのケプラらしくストレートに青春へフォーカスした曲で、より音楽的なアレンジをしたものをリリースしたらどうだろう?」という意見があって、やってみたらスッとハマりました。
──柳澤さんがバンドへ曲を持ち込んだとき、みなさんはどう感じました?
かず それまで挙がってた曲がテーマに寄せすぎた感もあって、そういう話もしてたんですけど、この曲は律希っぽいし、いいところへ落とし込んだなって思いました。
けんた 新しい感じがしつつ、今までのケプラっぽさもあり、アレンジもちょうどいいところへ行けたのでよかったです。
──これはこれでアレンジの広げ方が難しかったのでは?
ハヤト 律希がデモを送ってくれたときは、ちょっと落ち着いたアレンジだったんですよね。どっちかと言えば、アコースティック寄りな感じ。でも、もうちょっと広がりを見せたかったし、新しさも欲しくて、こうなりましたね。
──鍵盤などの楽器を増やしたり、というのもありますが、それ以上にまた一歩踏み込んだ印象もあります。隙間や余韻を活かしつつ、曲としてのスケール感が今までになく広がったと感じましたよ。
ハヤト 確かにスケール感はいちばん意識してるところですね。ライブハウスよりも広いところでドーンと聴ける音楽、という将来像を考えて、いろんな方向性の曲に対してスケール感を意識して作っています。