【インタビュー】ケプラ、今だからこそ開花した音世界の広がり。鮮烈なメジャーデビューから新曲“抱きしめて!青春”に至るまでをメンバー全員で語る!

【インタビュー】ケプラ、今だからこそ開花した音世界の広がり。鮮烈なメジャーデビューから新曲“抱きしめて!青春”に至るまでをメンバー全員で語る!
昨年9月、これまでのバンドサウンドではなく、アコギ1本に4人の歌声のみで奏でた“キセキ”でメジャーデビューを飾ったケプラ。奇をてらったわけではなく、あくまで曲が最大限に活きるアプローチを考えたうえでのことだったが、その後どういった道を歩んでいくのか、と動向を注視していたところ、年末に届けられたのが“ずっと前から君に恋してる”だった。友達への片思いという切ない恋心はケプラらしい切り口ではあるが、ストリングスを導入し、緻密に構築されたアレンジワークが秀逸。すっきりとしながらも温かく、バンドとしてのネクストステージを十分に感じさせる出来栄えであり、そのままいい流れでツアーへと進むかと思いきや、そのモードをさらに深化させた“抱きしめて!青春”を2月19日にリリース。卒業にまつわる別れにフォーカスしたストレートな視点でありつつも、揺れ動く思いが巧妙に投影された幅とスケール感が素晴らしい。バンド史上最大規模となるツアー直前、メンバー4人にその胸の内を語ってもらった。

インタビュー=ヤコウリュウジ


以前は「急な変化はお客さんを置いていっちゃうかなって」気にしてたけど、「今ならなんでもイケるでしょ」って(ハヤト)

──メジャーデビューで何が変わるのか、ドキドキとワクワクがあると言っていましたけど、実際に過ごしてきてどうですか?

けんた(G) やっと実感が湧いてきてますね。僕ら、高校生バンドのイメージが強かったので、そこからひと皮むけたいな、というところで新しく動き始めてることも多いし、また違ったステップに進めてるなと思えてます。

ハヤト(Dr) 曲作りにかける時間も増えましたね。クオリティの高いモノを出していこう、という空気感があって。以前だったら「急な変化はお客さんを置いていっちゃうかな」みたいなことを気にして、見定めつつやっていたところも、今ならなんでもイケるでしょ、みたいな。“キセキ”は引き算だったけど、そこを足し算にしてもやれるよね、って。

かず(B) メジャーデビューを機にそうやって変えた部分に慣れてきた感じはあって。半年ぐらい続けてみて、こっちのほうが性に合ってるなと思ってます。

──そうなると、曲の発端を作る柳澤さんとしても考え方が変わったり?

柳澤律希(Vo・G) でも、意外と根本は変わってないかもしれないです。みんなでアレンジしていく中で目線が変わったというか。前よりも柔軟になって「アレンジャーさんを入れてみよう」とか「ストリングスやピアノがあってもいいんじゃないか」とか、視野を広げたアプローチが増えただけで。

──“キセキ”は振り切った曲だったじゃないですか。あそこまでやったからなんでもできる、みたいな感覚もあったと思いますけど、そこから“ずっと前から君に恋してる”へはスムーズに辿り着いたんですか?

ハヤト それで言うと、曲の大元は以前からあったんですよ。

柳澤 “キセキ”が去年の3月か4月ぐらいにできて、9月にリリースすることが決まったあと、年内にもう1曲出したいという話がチーム内であって、作ったのは夏ぐらいですかね。“キセキ”ありきの曲作りだったので、最初はバンドだけでやってみたんですけど、どうせなら他の楽器も入れたいと思うようになって。

──けんたさんは以前からストリングスを入れてみたい、とおっしゃってましたよね。

けんた 華やかな感じもケプラに似合うなと個人的には思ってましたし、ちょうどいいタイミングだったんじゃないかなと思います。

──仲のいい友達への片思いを歌う歌詞だったり、ノスタルジーを感じさせるムードはケプラらしいですけど、アレンジの広がりが凄まじく、バンドの奥行きを感じさせる1曲になりましたよね。ストリングスのイメージはバンド側からアレンジャーへ投げた流れだったんですか?

柳澤 そうですね。そこから「ここはもう少しこうしたほうがいい」というアレンジャーさんのアイデアもあり、そこをすり合わせていって、今の形に収まりました。

──バンドのステップアップも感じさせますし、普通はこの曲でメジャーデビューだよな、と思ったりもして(笑)。

一同 ははははは。

ハヤト でも、(メジャーデビュー曲を“キセキ”にするのが)なんかしっくりきたんですよ。あのタイミングで1回仕切り直したかったところもあったし。あと、そういうタイミングで挑戦するのはありがちだから、ストリングスや他の楽器を加えることに抵抗はなかったけど、メジャーデビューでそういう曲を出すことには抵抗があったんですよね。メジャーデビューって言葉が邪魔しちゃう気がして。

──確かに、メジャーデビューだから音楽的な挑戦をしているんじゃないか、みたいに思われるかもしれないですよね。“ずっと前から君に恋してる”以後、秋口から年明けにかけても制作は続けてたんですか?

柳澤 1曲1曲に対してのアプローチをもっと考えたかったので、ライブも少し減らして、制作に重きを置いて動いてました。

ハヤト ワンフレーズだけとかメロディだけだったら、20以上はありましたね。

──そういった中から、“抱きしめて!青春”が新曲として選ばれた理由は?


柳澤 いや、この曲はその時期よりあとに結構ギュッと作ったんですよ。

ハヤト いろんな曲を作ってた中、スタッフチームとも話をして「今までのケプラらしくストレートに青春へフォーカスした曲で、より音楽的なアレンジをしたものをリリースしたらどうだろう?」という意見があって、やってみたらスッとハマりました。

──柳澤さんがバンドへ曲を持ち込んだとき、みなさんはどう感じました?

かず それまで挙がってた曲がテーマに寄せすぎた感もあって、そういう話もしてたんですけど、この曲は律希っぽいし、いいところへ落とし込んだなって思いました。

けんた 新しい感じがしつつ、今までのケプラっぽさもあり、アレンジもちょうどいいところへ行けたのでよかったです。

──これはこれでアレンジの広げ方が難しかったのでは?

ハヤト 律希がデモを送ってくれたときは、ちょっと落ち着いたアレンジだったんですよね。どっちかと言えば、アコースティック寄りな感じ。でも、もうちょっと広がりを見せたかったし、新しさも欲しくて、こうなりましたね。

──鍵盤などの楽器を増やしたり、というのもありますが、それ以上にまた一歩踏み込んだ印象もあります。隙間や余韻を活かしつつ、曲としてのスケール感が今までになく広がったと感じましたよ。

ハヤト 確かにスケール感はいちばん意識してるところですね。ライブハウスよりも広いところでドーンと聴ける音楽、という将来像を考えて、いろんな方向性の曲に対してスケール感を意識して作っています。

【インタビュー】ケプラ、今だからこそ開花した音世界の広がり。鮮烈なメジャーデビューから新曲“抱きしめて!青春”に至るまでをメンバー全員で語る!
次のページ思ったよりも早くみんなに名前を知ってもらえたのもあって、未完成の状態で聴かれてるような、そこに実力が追いついてない感じがすごく引っかかってた(ハヤト)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする