──4つ目のターニングポイントは、2021年12月24日にリリースした“タイミング 〜Timing〜”のSNSバズ。TikTokで流れてこない日はないというくらい、ものすごい広がりでしたよね。みんな(yonkeyを)見つけんの遅すぎんだろ、って感じです。「なんでバズってないんだろう」と思っていたから(かと)
やすだ 1ヶ月くらいは特に大きな反応があったわけでもなかったから、最初にyonkeyから「TikTokで再生数が伸び始めてる」って聞いた時は、急すぎてびっくりしました。
かと 投稿が増えたのは、ローカルカンピオーネさんのダンスからだよね。
SimiSho 作っている時は、それまでの「Midnight Session」とあまり変わらなかったイメージがある。
──コロナ禍より前からいち早く、楽しみながらリミックスも映像制作もやってきたことで自分たちの経験値も蓄積されて、それがバチンと時代にハマって現象を起こした、という言い方もできそうですね。
yonkey そうですね。この辺りから自分たちの軸がまとまってきて、こういうカラー感を出したらKlangっぽいよね、みたいなものができかけていた時の出来事だったのかなって思います。「Midnight Session」を経て、「懐かしいけど新しい」が僕らのバンド全体のコンセプトになったんです。懐かしい楽曲を、サウンドや設計そのものをモダンにすることで、懐かしいけど新しいものにするという。たとえばメロや歌詞は平成を感じるんだけど、サウンド自体は、2021年当時だったら、海外ではデュア・リパだとかディスコポップが流行っていた時代だったから、そのサウンドプロダクションを僕らなりにうまく昇華しようとしたり、そういうことをやっていましたね。
──その発想が、2023年、新しい学校のリーダーズの“オトナブルー”が世界的に広がったことにつながっていると思います。そもそも“オトナブルー”は、2020年にリリースしていた曲で。“オトナブルー”は間違いなく、新しい学校のリーダーズが世界的に活躍するようになったきっかけであり、その後の世界の舞台でも重要な役目を担っている曲をいくつも作っているのが、yonkeyさんである。5つ目のターニングポイントとしては、「Klang Rulerの首謀者・yonkeyの“オトナブルー”以降の世間的な評価」を持ってきました。
yonkey “オトナブルー”もリリースしてすぐに何かあったわけじゃなくて、3年くらいのディレイがあって評価されたので、自分がいいなって思うプロダクションをその都度作っていけば、どこかしらのタイミングが合わさった時点でしっかり評価されるんじゃないかと思うきっかけにもなった出来事でした。ああいう組み合わせをしたグループは間違いなく唯一無二だったので、どこかで評価されたら嬉しいなという思いで作っていましたね。
──新しい学校のリーダーズの活躍はyonkeyさんなしではあり得ないと言っても過言ではないと思うんですけど、他のメンバーはyonkeyさんの活躍をどう見ていますか?
やすだ “オトナブルー”、“タイミング 〜Timing〜”が評価される前から、「なんでこの人がバズってないんだろう」とずっと思っていたので、「だよね」みたいな。勝手に誇らしい気持ちでした。
Gyoshi yonkeyのソロの曲もすごく好きで。だからyonkeyがプロデュースした曲がバズると、同じバンドとしてすごく誇らしいです。
SimiSho “オトナブルー”が出るちょっと前くらい、新しい学校のリーダーズのバンドセットのサポートをKlangの楽器陣でやっていた時期があって。確か、“オトナブルー”もできたてくらいの時に演奏したんですよ。そうしたらやっぱり構成とか流れがyonkeyの自然な感じで、すげえ演奏しやすくて。
──“オトナブルー”は奇を衒った曲ではなく、ずっとyonkeyさんがやってきたことが自然と出ている曲だということですよね。
かと みんな見つけんの遅すぎんだろ、って感じです。ちひろさんが言ったように、「なんでバズってないんだろう」と思っていたので。yonkeyは、海の向こうのランキングに入っている流行りの要素をちゃんと自分の中で咀嚼して、日本のマスに対して変換しながら作れる人になったと思います。「天才」とか言われるけど、めちゃくちゃ努力してこうなっているっていうのはみんなに知ってほしい。まだまだ評価されるべきだと思っているよね。
──最後のターニングポイントには“Teenage Blue”を持ってきたのですが、それまでに「実はあれがターニングポイントだった」みたいなことが他にあったりしますか?私がどういう人間で、どういう考え方をしていて、何に価値を感じているかを共有できたのがすごく大きかった(やすだ)
やすだ それこそ、“Teenage Blue”ですね。“Teenage Blue”に向かう時期に制作スタイルが変わって、より自分たちらしさをアウトプットしやすくなりました。この数年間で構築したKlang Rulerらしさに、自分たちがもともと持っている良さや強みを楽曲に活かしていこうという流れにグッと変わったのが大きかったなって思います。あと、ライブ思考になっていったというのもあると思います。コロナが明けて、ライブの回数が増えていくにあたって、もっとライブで自分たちの楽曲を届けたいし、ライブでより表現しやすい方向に楽曲を持っていった感覚があって。ありのままの自分たちをアウトプットできるようになった感覚があります。
──それまでは、楽曲の世界観に合わせて演じるようなところがあったけど、より自分らしさをそのまま出せるような楽曲へと方向転換した、という言い方が近いですか?
やすだ めっちゃそうです。私はボーカルとして、たとえば“ジェネリックラブ”、“ちょっとまって”とかは、ひとつの物語やキャラクターに対して自分が演じにいくような感覚があったんですけど、“Teenage Blue”以降の楽曲は自分の言葉として歌いやすくなった感覚がすごくあります。
──最新EP『NEW AGE POP MIX』を聴いて、ちひろさんの声ってこういう表現にバチッとハマるんだな、というのがより明確に見えた気がしたんですよね。それこそ“Teenage Blue”みたいな、青色のイメージで、早朝の風が吹いていて、青春っぽくて、焦燥感とかがあって、という曲ですごく活きてくるんだなって。
やすだ 私も“Teenage Blue”で思いました(笑)。yonkeyがすごく考えて作ってくれたんだと思うんですけど、その辺どうですか?
yonkey 僕が詞を書いてはいるんですけど、確かに“Teenage Blue”辺りから、僕単体の感覚じゃなくてちひろさんが思っていることとか、もしくは他のメンバーが思っていることとか、そういうものを通してアウトプットできるようになってきて。それもちひろさんのボーカルの活かし方を見つけられた要因のひとつでもあると思います。アルバム『Space Age』はコンセプチュアルに作ったんですけど、さっき言ったようにちひろさんがボーカリストとして等身大でどういうことを歌いたいか、ちひろさんを通して何をアウトプットすべきかみたいな視点で考えるようになってから出たのが“Teenage Blue”で。今回の『NEW AGE POP MIX』はより等身大の詞やメロ、歌い方でやったよね。
やすだ yonkeyにマインドノート的なメモをちょうだいって言われて、その日中に2000字くらい送ったんですよ。普段こういうことを考えていて、こういうのは嫌いで、こういうのが好きで、みたいな。楽曲が上がってくるたびに、それをうまく咀嚼してくれてるなって感じました。私がどういう人間で、どういう考え方をしていて、何に価値を感じているかとか、そういうものを共有できたのが私的にはすごく大きかったなって思います。
──方向性を見つめ直して、きっとその過程ではいろんな話し合いを経て、そのうえで作った“Teenage Blue”がSNSにデモを上げた段階から数百万再生された時は……「よっしゃ!」という感じでした?
やすだ 私は「よっしゃ!」でした。次はどうしても、カバーじゃなくてKlang Rulerとしてたくさん聴いてもらいたいという気持ちが大きい時期でもあったので、めちゃくちゃ嬉しかったです。しかも次に何をリリースするかが決まってない段階で、でもyonkeyが上げてくれていたデモの中でメンバー全員が「次はこの曲を出したい」ってなっていたのが“Teenage Blue”で、大人の方たちを説得するためにも数字に残したい気持ちがあって。あの動画を出した時はまだレコーディングもしてなかったよね?
SimiSho うん。yonkeyが「とりあえず動画{/link}を撮ろう」って言ってくれて、ちひろさんが「自転車の下のアングルどう?」ってアイデアを持ってきて、俺がそれを撮るのに必要な機材を持っていって、yonkeyの家の近くで撮ってみて、色味とか世界観は曲を作ったyonkeyが編集して。あれを撮影していた時はまだフル尺もなくて、動画が回ったからリリースしましょうっていうことで、すごいスピード感でyonkeyがフル尺を作って、レコーディングもして、という感じでした。
@klangruler 大都会でやばいくらい夢見たい #klangruler #band #teenageblue #music ♬ Teenage Blue - Aメロ Demo ver. - Klang Ruler
yonkey 初期にMVを作っていたみたいに、自分たちの感覚に合うことをやってみようよ、みたいな。素直にいいって思うことをやってみようという感覚だったよね。考えてみたら、“オトナブルー”も“タイミング 〜Timing〜”も“Teenage Blue”も、いい意味で力が抜けていたんですよね。「よし、やってやるぞ」「バズらせてやるぞ」って思えば思うほど、人の心に届かなくなる。バンドとして続けていくには数字というのは目を離せないものだし、どうしても意識してしまうんだけど、そこから遠ければ遠いほど人の心に届くっていう、この距離感が難しくて。でも今こうやって振り返った時に、変に力が入ってなくて、素直にいいなと思って作れたから評価されたのかなって思いました。
──最後にものづくりの真髄みたいな話に着地しましたね。今「Klang Ruler 2026 『Magnet+TOUR』」ツアー中ですが、ライブではどういう手応えがありますか? 等身大のまま歌える音楽へと方向性が変わると、ライブもガラッと変わりそうですよね。
やすだ そうですね、MCも変わりました。楽曲もMCも、Klang Rulerとして何を伝えたいかが明確な言葉として出てくるようになった感覚があります。最近、ライブをするごとにめっちゃ変わっているなと思っていて。メンバーのエネルギーの昇華の仕方とか、自分たちの中でフィットする見せ方が、見えてきている感覚がすごくあるんですよね。この先どういうライブになるのかが正直わからないくらい毎回進化できているから、ツアーのどの場所も、Klang Rulerとしてのベストを必ず見てもらえる自信があります。
Gyoshi お客さんを巻き込んで、今までなかった泥臭さみたいなものも出せたらいいなって思います。