【インタビュー】オレンジスパイニクラブのリアルなロックがここに! 3rdアルバム『好きにしろ』に刻みつけた「等身大」の衝動に迫る

【インタビュー】オレンジスパイニクラブのリアルなロックがここに! 3rdアルバム『好きにしろ』に刻みつけた「等身大」の衝動に迫る

タイアップ曲がいちばん攻めてるアルバムって、あんまないかもね(ナオト)

──もうひとつのタイアップ曲、ドラマ『マトリと狂犬』のオープニング主題歌として書いた“blur”も、とてもアグレッシブなロックチューンで、これまでにないサウンド感でした。ナオト 最初、品川(ヒロシ)監督から、「90年代の日本のパンクっぽいイメージ」というオーダーが来て。そのまんまやると俺たちじゃなくてもよくなっちゃうなって思ったので、パンクっぽい要素は入れつつ、オレスパらしいバンドサウンドでドラマの世界観に寄り添えるようにいろいろ考えました。でも、今回のアルバムは「好きに書く」がテーマだったので、“口”と“blur”はアルバムの中では異質な2曲になるんですよね。──“blur”はビートとリズムがダイナミックで、すごく肉体的です。ゆっきー いやあ、かっこいい曲ですよね(笑)。“口”と同じようなテンション感で臨んだ気がします。サウンド面もガツッとしていて。でも、どこかにオレスパっぽさは出しておきたいなと思いながら弾いた記憶があります。ゆりと “blur”はドラムのフレーズがいいねって言われることが多くて嬉しいんですよ。リファレンスが90年代ということもあってか、僕よりちょっと上の世代の人たち、40手前の方に「これかっこいいね」「オレスパってこういう曲もあるんだ」って言ってもらえて、改めていい曲を作れたんだなあって思いました。ユウスケ 音も鋭くて重いし、確かに今までにないロックの図太さみたいなものがあるよね。ボーカルとしては“口”より難しかったけど、サビのシャウトをガールズバンドのボーカルみたいに歌ってほしいって言われたのを覚えています。ナオト ガールズバンドのシャウトがめちゃめちゃ好きなんです。あまり広がりすぎないシャウトっていうか、思い切り出しすぎず、喉から出している感じというか。でも苦戦してたよね(笑)。ユウスケ 言いたいことはわかるんですよ。でもそんなこと言われても僕は男なので(笑)。てっぺんのキーが高いんで、そこも苦戦したところではありますね。サウンドの力強さに負けない歌い方を自分なりに研究しながら歌いました。

──“口”も“blur”もタイアップでなければ生まれてこなかった曲だと思いますか?ナオト 間違いなく、自分から作ろうと思って出てくるものではなかったと思います。でも“口”も“blur”も、最近ライブでもよく演奏する曲になってるんですよね。僕らの中でその2曲がライブでのマイブーム(笑)。ただ、“口”と“blur”を連続でやると、たまにお客さんが引いちゃうときもあるんですよ。シーンってなってたり(笑)。──タイアップというものの概念が変わる2曲かもしれません。ナオト 確かに。タイアップ曲がいちばん攻めてるアルバムって、あんまないかもね。ユウスケ 置きにいかないっていう。──そして、先行リリースされてる“無くしたピックを重ねて月に行こう”は、さっき言っていた「等身大」が色濃く出ている曲で。これもナオトさんの作詞作曲ですね。ナオト 僕、ピックをほんとによくなくすんですよ。そのピックが月にまで届くんじゃないかって思ったのをきっかけに書き始めて。それで、好きな人とふたりでどこかに行くとして最高な場所は「ハワイ」だと思っていて、それを「月」にリンクさせて。でも結局ハワイにも月にも行けず、最後はひとりでギターをかき鳴らしているようなエンディングをイメージしています。だから、「ずっとバンドを続けたいな」という気持ちの曲でもあります。──だからこれ、なんとなくナオトさん自身の感情が滲んでいる気がして。ナオト そうですね。歌詞の《ピッチのズレた/「I LOVE YOU」》も、僕、カラオケで尾崎(豊)の“I LOVE YOU”をめっちゃ歌うんですよ。いつも歌い出しのキーが掴めなくて、ほんとにズレるんです(笑)。そこだけはほんとに自分自身のことです(笑)。

ユウスケ でもこれ、最初に歌詞を見たとき、バンドマンぽくねえ曲だなあって思ったんですよ。ちょっと尖ったあんちゃんが、趣味でギター弾いて歌ってるみたいなイメージ。そういう主人公が思い浮かんできた。ナオト ああ、確かに最初にそうやって伝えたかも。ユウスケ ナオトと第三者がうまく混ざっているように感じました。

いろんな30代の人がいる中で、幸せの形も様々だなあって。誰もに自分なりの「幸せになる方法」を探してもらえたらいいのになって(ユウスケ)

──さらに、1曲目の“リモン”がまた意外な音像で。オレスパの曲の中でも抽象度の高い曲ですが、とにかくメロディがすごくいいんですよね。ナオト ありがとうございます。“リモン”はレモンのことで、《リモンと進む》っていうのは、まあ、お酒のことで(笑)。よくお酒にレモンを入れて飲むんですけど、そのお酒とともに生きてる感じがあって。あと、すごく好きなクレープのお店があって、そこに「レモン」っていうメニューがあるんですけど、それと白ワインがすごく合うんです。めっちゃ音楽の味するんですよ。なぜかそれがずっと頭にあって、その店で歌詞を書いたりしました。ユウスケ へえ。そうだったんだ。──バンドサウンドもどっちかというとミニマルで、リズムも音を刻むというより包む感じなんですよね。いつもとは違った雰囲気でした。ゆっきー こういう曲すごく好きです。そもそもナオトのデモの段階でこの感じができていて、なるべく音数は少なくしつつメリハリはある感じを目指して。ベースがドラムのキックとリンクすることは意識していましたね。ゆりともそうだと思うけど、リズム隊はすごく好きな感じだと思う。ゆりと リズムがタイトで気持ちいいんですよね。あえてなんもしないみたいな感じで作っていったと思います。ユウスケ この曲の1行目《do you like me》がこの秋のツアータイトルになっているので、今後大事な曲になっていくはずです。
【インタビュー】オレンジスパイニクラブのリアルなロックがここに! 3rdアルバム『好きにしろ』に刻みつけた「等身大」の衝動に迫る
──そしてユウスケさんの作った新曲にもリアルにグッとくるものが多くて、“なるべくそばにいるから”はとてもあたたかいラブソング。加山雄三オマージュには驚かされました(笑)。ユウスケ あ、そうなんですよ。よくお気づきで。これ、誰も気づいてくれなかったんですよ。ナオト そうだったんだ! 全然知らなかった。──まず《『君の幸せ見つけたらすぐに帰るから』》のところからそうですよね。ユウスケ ありがとうございます。ほんと誰も気づいてくれないんすよ。ナオト なんで加山雄三なん?(笑)。ユウスケ 単純に好きなんですよ。プロポーズソングを書きたくて、“お嫁においで”が好きな曲なので頭に浮かんできました。この曲はほんとオマージュですね。──《いつかはお互い杖をついて/嘘をつくことも忘れるふたりになる》という歌詞がとっても素敵だなって思って。あと、アルバムラストの“深呼吸”も沁みます。《30、なんて幸せだろう》という歌詞に、いろいろな感情がこもっていて。今年、メンバー全員が30代になる節目の年でもあるから、生まれてきた曲なんですかね。ユウスケ メンバーもみんな30代になる年で、いろんな30代の人がいる中で、幸せの形も様々だなあって。誰もに自分なりの「幸せになる方法」を探してもらえたらいいのになと思って書きました。──ナオトさんとゆっきーさんがもうすぐ30歳になるんですよね? 30代になるっていうことをどう受け止めていますか?ナオト うーん。30歳になってから考えるような気がします。今はまだ29歳を噛み締めているところです(笑)。ゆっきー 僕もまだなんも考えてないです。昔、早く35歳くらいになりたいなと思ったことがあって、どんどんそっちに向かっているのはいいなと思っています。──ゆりとさんとユウスケさんはひと足先に30代に突入しているわけですが、30代になって何か思うことはありましたか?ゆりと 僕も早く歳を取りたいと思っていて。話は変わるんですけど、数日前に親戚のおじさんのお葬式があったんです。自分が歳を取るのはいいとして、周りも一緒に歳を取るわけだから、不幸が増える年代になっていく、それだけが嫌だと思ったんですよね。それさえなければ歳を取ることは悪くないです。30代、ずっと楽しく生きたいなと思いますけどね。ユウスケ ほんと、30代になったからって何も変わんないんですけどね。でもちょっと焦りはあったかもしれない。20代でガンガン売れていくバンドも多いですから、そういう焦りみたいなのはあったけど、実際はそんな変わんないですね。ちょっと自分を鼓舞するくらいかな。──“深呼吸”にもそんな思いが滲んでいる気がしました。それも含めて、今回のアルバムは背伸びもせず、後ろ向きでもなく、とてもリアルな今のオレスパが表現された素晴らしいアルバムになったと思います。10月からこのアルバムを引っ提げたワンマンツアーも始まりますが、どんなツアーにしたいですか?ユウスケ メンバーもみんなきっとそうだと思うんですけど、アルバム全曲好きな曲だし、ツアーではたぶん全曲やると思うので──あ、いや、わかんないけど(笑)。場所によってはセットリストを入れ替えるかもしれないけど、とにかく曲はすべてやると思うので、自分たちもどんどんこのアルバムを好きになって、ツアーファイナルまで連れていけたらなと思います。ナオト これまでライブでは、「ここは音源通りにできないから省くしかないか」みたいな曲もあったり、ちょっと妥協するところもあったんですけど、今回からそれは極力したくないと思っているので、めちゃめちゃ練習します(笑)。楽しみにしていてください! きっといいツアーになると思います。
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