フロアを見渡せば、特攻服、リーゼント、サングラス、真っ赤なセーラー服…現役学生のような若い子から、平日は恐らくスーツに身を包んでいるであおうナイスミドルまで、今日は祭りだ!と言わんばかりの衣装の派手さ!その徹底した懲り様には、思わず「イカしてるぜ!」とウインクしながら親指を立てたくなった。
そして開演時間を過ぎた18時20分、会場の電気がふっと消えるとステージだけが赤く不気味に照らされ、“THE KNIGHTS”の壮大な音楽が流れ出す。まるでミュージカルが始まる前かのようなワクワク感を抱いていると、フロアの拍手に迎えられながら西園寺瞳(Gt/通称トミー)、白鳥松竹梅(Ba/通称テリー)、星グランマニエ(Gt/通称ランマ)がステージに現れ各ポジションにセット。そして満を持して早乙女光(Dance&Scream)と翔やんが登場すると、すぐさま鳴らされたシンバルの4カウントから“夢見る頃を過ぎても”の「ウォーウォーウォー!」の大合唱で大演壇のスタート!続く“~ENGINE~”ではメンバーがステージ中央に集まりそのタイトル通り円陣を組むと、そのままトミー、テリー、ランマも前線に出てきて“勇気”へと繋ぐ。この曲のサビの「ウォーウォーウォー、ウィ―アー氣志團」の部分には振り付けがある(というより、この曲に限らず氣志團の曲の大半には振り付けがある)のだが、2階席から観る限り、一人残らず全員が当たり前のようにマスターしていて寸分の狂いもなく手を動かしていた。その迫力といったら!KISSESにとっては当たり前なのかもしれないが、この光景の壮観さと「私もやりたい!」と思わせる一体感は驚くべきものだった。これを何万人も動員するような野外フェスで見ることができたら気持ち良いのだろうな…なんて考えながら、お次はバイクのエンジンの効果音に乗って微熱DANJI(氣志團の弟分ダンサー)が登場し、“俺達には土曜日しかない”に突入。会場一体となった「DOYOUBI(土曜日)」の人文字や、ラストの翔やん渾身のエビ反りジャンプで会場も白熱。
そしてここからは氣志團渾身のミュージカルチックなステージングが本領発揮。“氣志團はじめてものがたり”と題されたこのターンでは、最近氣志團のことが気になっているというサセ娘姉さんと、タイムスリップ能力を持つきしたん(ピンクのカバのキャラクター)が、9年前の『愛羅武勇』発売当初の氣志團に会いに行くというストーリーが展開されていく。当時の衣装に身を包んだメンバーの登場に、フロアからは懐かしさも込められた感嘆の声が上がった。サセ娘姉さんからDJ OZMA(翔やんのソロ活動)が誕生するということと、それに連動して氣志團が活動を休止するという未来が告げられ、混乱するメンバーと翔やんとの論争の末、なぜか出てくるMC KOREAによる“愛のKOREA”オンステージ。さらにはビンコンさんまで登場して、ステージ上が大騒ぎ。てんやわんや、という言葉を使うタイミングがあるとしたら私は「よし、ここだ!」と躊躇わずに使うだろう。それでもキャストが捌けるタイミングやバンドサウンドに戻るタイミングは寸分も狂わないのがやはりプロだと言わざるを得ない。エンターテイナー兼演出家。盛り上げ方を知っている。
“萌え萌えROCK'N'ROLL”から“族”まで変わらずにトラック順に演奏し、佳境ともなる“俺とおまえとGood Luck”はアコースティックバージョンで披露…するのかと思いきや、ここでトミーのアコギが鳴らないアクシデント発生。そこで一切焦らないのが漢、トミー。潔すぎるほどの速さで口から飛び出した「エレキにしちゃおっか」発言には思わず笑った。そんなハプニングもありつつ、無事にラストの“You & Me Song”まで終え、本編は終了。
アンコールでは本編でも色を添えてくれた微熱DANJIの3人による“TEENAGE PIRATE”が披露され、さらには翔やんから今秋に微熱DANJI10周年記念全国ツアーを行うというビッグサプライズが!(「俺達3曲しか歌えないっすよ、不安しかないです」という正直すぎる輝矢の発言が、本当にサプライズであることを感じさせた。) その後はルシアンルーレット(カインとアベル、さらに新メンバーのカゴッシー、トオル、なお)も登場し、“The Great Satsumanian Death Rock”を熱奏。彼らの登場には、往年のファンは大歓喜の様子だった。
9月13日(土)、14日(日)、15日(月)の3日間にわたる異例の規模での開催が決定した「氣志團万博2014~房総大パニック!超激突!!~」についてもアナウンスされ、「奇跡しか起こさない!」と堂々宣言する氣志團に、今後も目が離せない!(峯岸利恵)