JUMPIN' JACK FLASH VOL.4@TSUTAYA O-WEST

JUMPIN' JACK FLASH VOL.4@TSUTAYA O-WEST - アルカラ all pics by Yosuke Kamiyamaアルカラ all pics by Yosuke Kamiyama
年に2回行われている、ロッキング・オンのアマチュア・アーティスト・コンテスト『RO69JACK』、その歴代の優勝者/入賞者が集結するライヴイベント『JUMPIN' JACK FLASH』も今回で4回目。初の大阪開催となった「VOL.3」(今年2月・梅田Shangri-La)を挟んで、「VOL.1」(2011年5月)、「VOL.2」(2013年10月)に引き続きここO-WESTにて開催!(会場の名前だけは「TSUTAYA O-WEST」に変わったが)。忘れらんねえよ(2009年冬・入賞)、宇宙まお(「The宇宙人s」で2010年冬・入賞)、さよなら、また今度ね(2012年夏・優勝)、テスラは泣かない。(2011年冬・入賞)といった過去オーディション参加アーティストに加え、スペシャル・ゲスト=アルカラも参戦しての一大響宴となった『JUMPIN' JACK FLASH VOL.4』の模様を、以下出演順にレポートしていくことにする。
JUMPIN' JACK FLASH VOL.4@TSUTAYA O-WEST - テスラは泣かない。テスラは泣かない。
●テスラは泣かない。
 この日のトップバッターを務めるのは、鹿児島が生んだエモーショナル・ピアノ・ロック突然変異体=テスラは泣かない。! “fuga”で軽快なクラップを巻き起こした後、シングル曲“Lie to myself”の惑星直列級のエネルギーに満ちたメロディを歌い上げる村上学(G・Vo)の熱唱が、渾身のアンサンブルとともに炸裂! ネックを振り回しアグレッシヴに動き回る村上&吉牟田直和(B)。激しいアクションからタイトでグルーヴ感あふれるリズムを叩き出す實吉祐一(Dr)。そして、しなやかな獣のような指さばきでミステリアスなリフやフレーズを奏でる飯野桃子(Piano・Cho)……そのあふれんばかりの闘争心と才気を存分に発揮してみせた、充実のアクトだった。「僕たち、鹿児島で6年前にバンドを結成して。初めて4人で東京に来たのが、ロッキング・オンのオーディションだったんですね。今日、ご縁でまたこういうイベントに出してもらって光栄です!」という村上の言葉とともに、“cold girl lost fiction”“Cry Cry Cry”と6月25日のメジャー1stアルバム『TESLA doesn’t know how to cry.』にも収録される楽曲群を次々に畳み掛けていく。焦燥感と高揚感が渾然一体となったようなダンス・ロック・アンセム“アンダーソン”、妖気に満ちたピアノ・プレイが観る者を狂騒へと煽る“梵”が、最高の一夜の号砲として熱く響いた。

01.fuga
02.Lie to myself
03.cold girl lost fiction
04.Cry Cry Cry
05.Shake your hands saying good bye.
06.アンダーソン
07.梵

JUMPIN' JACK FLASH VOL.4@TSUTAYA O-WEST - さよなら、また今度ねさよなら、また今度ね
●さよなら、また今度ね
 「今日、この日本でも世界でも、イベントがたくさんいろんなところであるけど、地球でいちばんに盛り上げていきましょう!」とフロアを沸かせてみせたのは、さよなら、また今度ね。キーボードと箱ギターという、もはやトレードマーク化した独特の楽器セッティングでもって、“瑠璃色、息白く”“踏切チック”といった楽曲群を次々に歌い演奏していく菅原達也(Vo)。キュートさすら漂うバンド・サウンドの中に濃厚なロックンロール・テイストを注ぎ込む菊地椋介(G)。その出で立ちとは裏腹に実直なドラム・プレイでアンサンブルをぐいぐいリードする渋谷悠(Dr)(後にアルカラ・稲村太佑から「ドラムがカエルやのに、誰も何もツッコまない、我慢プレイ/放置プレイ的な感じがいい!」といじられていた)。そして、「『JUMPIN' JACK FLASH』、私たち出させていただくのが3回目でして。この後出演される忘れらんねえよさんと3回とも一緒だったんですよ。3回目にしてやっとMC上で言えるんですけど……めちゃめちゃファンなんですよね(笑)」といった語りも含めフロアを笑顔で包んでみせた佐伯香織(B)。そのサウンドとメンバーの個性が幾重にも織り重なって、カラフルなポップの楽園を描き出していた。終盤は“信号の奴”から“輝くサラダ”“僕あたしあなた君”で満場のクラップを巻き起こしてフィニッシュ!

01.瑠璃色、息白く
02.踏切チック
03.2秒で手に入る
04.ミルクアイス
05.素通り
06.信号の奴
07.輝くサラダ
08.僕あたしあなた君

JUMPIN' JACK FLASH VOL.4@TSUTAYA O-WEST - 宇宙まお宇宙まお
●宇宙まお
 三番手は、3月に1stアルバム『ロックンロール・ファンタジー』をリリースしたばかりの宇宙まお。「宇宙まおです、よろしく!」と快活にクラップを煽りながら登場、バンド・サウンドを全身で受け止めながら“わたしが死んでも”の《わたしが死んでも この歌だけ残ればいい》という切実なフレーズを、あたかも夏の海風のように爽快かつマジカルに頭と身体に響かせてみせる。そのまま続けて披露した“つま先”のリズミカルな歌に、場内のクラップはさらに熱を帯びていく。そして、アコギを構えての“自転車”、さらに“声”へ、と『ロックンロール・ファンタジー』の楽曲を立て続けに歌い上げたところで、「『JUMPIN' JACK FLASH』、私も何年か前に、バンドの時に入賞したんですけど、バンドは解散しました!(笑)。信じられます? みんな、就職したんですよ!」と「RO69JACK」と自分自身の流れを説明する彼女。「……でも、今日こうやって、みんなに会うことができて、私は何よりも、何よりも、何よりも、最高に幸せです!」という彼女の言葉に、熱い拍手が巻き起こる。「全宇宙で、このライヴハウスがいちばん盛り上がってることを証明しましょう!」というシャウトから、フロアを「あの子がすき」コール&レスポンスで満たしてみせた“あの子がすき”。メンバーが全員退場した後、ひとりアコギ弾き語りで凛として歌い上げた“夜よ”……シンガーとして/表現者としての着実な進化を提示してみせたひとときだった。

01.わたしが死んでも
02.つま先
03.自転車
04.声
05.あの子がすき
06.夜よ

JUMPIN' JACK FLASH VOL.4@TSUTAYA O-WEST - 忘れらんねえよ忘れらんねえよ
●忘れらんねえよ
 松たか子“レット・イット・ゴー~ありのままで~”のSEに乗って意気揚々と登場した柴田隆浩(Vo・G)の「僕、『アナと雪』観たことないっす!」の言葉をきっかけに、“僕らチェンジザワールド”へと突入、あっという間にフロアをOiコールとクラップあふれる激情天国に塗り替えてみせる。そのまま“戦う時はひとりだ”“この高鳴りをなんと呼ぶ”とキラー・ナンバーを連射! 腰を痛めているという梅津拓也(B)は終始椅子に座っての演奏だったが、そんな物理的ハンデを感じさせないほどに、柴田/梅津/酒田耕慈(Dr)のアンサンブルは熱くたぎっていたし、細身の体躯を血の一滴まで振り絞るような柴田の絶唱は、オーディエンス1人1人の魂を震わせる力強いヴァイブに満ちていた。そんな力強いアクトと、「この話しようか迷ったんだけど……チャゲアスは避けて通れないんだよ! 初めて買ってもらったCDが“SAY YES”で。小学5年生の頃に買ってもらって、かあちゃんと一緒に風呂入って――小5にも及んで!(笑)、それで一生懸命歌ってたら『たあちゃん、歌うまかねえ』って言ってくれたとばい! それで歌が好きになってさ」という開けっ広げなMCのコントラストも爽快だったし、6月11日リリースのミニアルバム『あの娘のメルアド予想する』のリード曲“ばかばっか”で「ウォール・オブ・デス」ならぬ「ウォーク・オブ・デス」をフロアに呼びかけ(柴田いわく「小心者バンドだから、安全にいきたい!」)、左右に分かれたオーディエンスがあふれんばかりのテンションでもって歩み寄る(!)という名場面も最高だった。ラスト“CからはじまるABC”で一大シンガロングを巻き起こして大団円!

01.僕らチェンジザワールド
02.戦う時はひとりだ
03.この高鳴りをなんと呼ぶ
04.バンドやろうぜ
05.北極星
06.ばかばっか
07.CからはじまるABC

●アルカラ
 というわけで、忘れらんねえよの時点でクライマックス級の熱量に達していたO-WESTだが、ロック界の奇行師・アルカラの4人が気合い一閃、“踊れやフリーダ”に流れ込んだ瞬間、フロア丸ごとレッドゾーンのさらにその先の狂騒空間へと鮮やかに叩き込まれる! 稲村太佑(Vo・G)のハイトーン・ヴォイスは異世界からの呼び声の如き妖しさと強度に満ちていたし、“チクショー”“おうさまと機関車”の怒濤の爆走感を描き出す稲村/田原和憲(G)/下上貴弘(B)/疋田武史(Dr)の鉄壁アンサンブルは、異形の美とも言うべきアルカラの楽曲に獰猛なまでのヴァイタリティを注ぎ込んで、身も焦がすほどの熾烈な熱狂感と強烈な覚醒感でもって、フロアを圧巻のカオスへと導いてみせる。「テスラから始まって。さよなら、また今度ねでこの世界の中でいちばんの盛り上がりになって。その後、まおちゃんで宇宙一の盛り上がりになって。忘れられない夜になりましたけど(笑)。ロック界の奇行師・アルカラです! どうぞよろしく!」という挨拶の後も、「テスラすごいバンドやなあ、演奏もすごいしと思って『何歳?』って訊いたら、27とか28ぐらいなんで。そんな若ぁないってことで、明日から『テスラは泣かない。』から『テスラは若ぁない。』にバンド表記を変えるって言うてました」などなど出演アーティストを本編/アンコール問わず繰り返しいじって(しかもいちいちオチまでつけて)みせたり、ロック界の奇行師の真骨頂と言うべきアクトだった。“キャッチーを科学する”から、16ビートで会場の熱気を激しくかき混ぜフロアを揺さぶった新曲“アブノーマルが足りない”、そして“半径30cmの中を知らない”のブレーキ壊れた爆速アンサンブルでもって本編終了! アンコールはなぜか「宇宙まおです!」と言いながらウィッグ&ワンピースの女装スタイルで登場、もはや別曲かってくらいにBPM上がりまくりの“交差点”でグランド・フィナーレ! 『JUMPIN' JACK FLASH』が新たな極点を刻んだ、決定的瞬間だった。

01. Aカップ巨乳
02. 踊れやフリーダ
03. チクショー
04. おうさまと機関車
05. グラス
06. キャッチーを科学する
07. アブノーマルが足りない
08. 半径30cmの中を知らない

en. 交差点

 なお、現在進行中の『RO69JACK 2014』は一次選考の結果を発表中(http://jack.ro69.jp)。この後、オーディションはユーザー投票→選考→入賞アーティスト発表、と続いていくので、ぜひ投票にご参加を。そして、『JUMPIN' JACK FLASH』次回開催も今から勝手に待ち遠しい!(高橋智樹)
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