KANA-BOON@Zepp DiverCity TOKYO

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KANA-BOON初のワンマンツアー「KANA-BOONのご当地グルメワンマンツアー2014」追加公演のファイナルが、Zepp DiverCityで行われた。5月17日の新木場STUDIO COASTを皮切りに始まった、全国のご当地グルメを堪能しながらツアーを廻るという企画のおかわり公演。全国の美味しい食べ物だけではなく、初の全国ワンマンツアーという経験が、しっかりと4人の血となり肉となり音となったことを感じたツアーファイナルだった。

開演を今か今かと待ち望む観客で埋め尽くされた会場には、BGMでQueenの往年の名曲たちが流れていた。中でも“We Will Rock You”が流れると、リズムに乗せて観客がハンドクラップをし始め、こちらは全員準備万端だというような一体感を開演前から露わにしていた。そんな熱気溢れる会場正面のステージバックにはツアーロゴがプリントされたフラッグが堂々と掲げられており、グルメツアーというタイトルに合わせて、ご飯の盛られたお茶碗と空のお茶碗(おかわり公演にちなんで)の可愛らしいイラストもしっかりプリントされていた。

KANA-BOON@Zepp DiverCity TOKYO
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開演時間を過ぎ、会場は暗転。照明もSEも一切ない静かなステージに4人が登場すると、会場からは歓声と拍手とネームコールが沸き起こる。しかし、そんな賑やかな会場をすっと静まらせたのは、古賀隼斗(G)の鳴らす真っ直ぐ突き抜けるギターのハウリングだった。そして小泉貴裕(Dr)のシンバルを合図に真っ白なストロボが高速で瞬くと、“1.2. step to you”のイントロへと導かれ、会場一体の「ワン、ツー、スリー、フォー!」のカウントと共にテンションは一気に頂点へ!「ファイナルいくぞー!」という谷口鮪(Vo・G)の力強い叫びにファイナルへの気合いを見せつけられ、そのエネルギーに圧倒される間もなく“ワールド”へ。スタートからアクセル全開、フル回転。そのままノンブレ―キのまま突っ走っていくのか?と思いきや、続く“MUSiC”では谷口の少し落ち着きを持った中性的なハイトーンが空間いっぱいに響き渡った。

KANA-BOON@Zepp DiverCity TOKYO
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「正真正銘のファイナルでございます、楽しみにして待っていてくれたんでしょうかね?」という谷口の投げかけた質問に会場が満場の歓声と拍手で応えると、谷口は「僕らもこの日を楽しみに…って言っても、寂しいけどね。終わっちゃうのが」と喜びと寂しさが混在する気持ちを素直に表した。そんな寂しさを払拭すべく飯田祐馬(B)が、前日に入ったスタジオ前でファンに話しかけられた時の話をして会場を笑いで包む。さすが大阪人!というような話のテンポの良さと絶妙な緩さは、勢いのある楽曲が連続する本編の心地良いブレイクになっていた。

そして「誰も倒れたりすることなく、水分とって最後まで宜しくお願いします」との谷口の声に続いたのは“ミミック”! ハイテンションでキレのある古賀のギターサウンドが、谷口の伸びやかなハイトーンと絡み合って聴く者の耳を刺激していく。そこからの“白夜”“クローン”と続くダンスビートの応酬に、満杯の会場は縦に横にと自由に踊りまくる。

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続いて「昔からある、そんな気持ちを詰め込んだ曲をやります」と始まったのは、“見たくないもの”。《二つ目を開いてかかってこないとさ/なんだか僕だけ馬鹿みたい》と歌うこの曲をあのMCの後に聴くと、ステージの光景をより一層真剣に受け止めたいという気持ちになった。そして続く“東京”のノスタルジックなメロディーと、《そうです、ボクはバカなんです》と感情的に歌い上げる谷口の込めた熱に目頭が熱くなるのを感じた。メロディーで身体を踊らせるだけではなく、聴く者の感情そのものを揺さぶる力を持つ谷口のヴォーカル。時にあどけなく、時に力強く。そういった歌声の多彩さが、メジャーデビュー1年目の初のワンマンファイナルで、Zepp DiverCityという大きな会場へとバンドを導く大きな武器となったのだと感じた。

ここからは、古賀トークが炸裂。ツアーを通して一番印象に残ったグルメを発表するという場面では、谷口・飯田・小泉が北海道で食べた鮭てんこ盛りの鍋〈鮭なベイベー〉を推す中、一人仙台の蔵王チーズをゴリ推しし、その魅力について熱弁する古賀。そんな古賀に対して「だから何?」と冷たくあしらうメンバーにも負けず、さらにモノマネまで披露し始める古賀。「先に名前を言わなきゃ分かってもらえない」というようなクオリティーの古賀のひとりモノマネ大会では、観客に正解を当ててもらうクイズ形式のもと、本多圭佑選手とドラゴンボールのミスターサタンのモノマネを披露。ラストは江頭2:50のモノマネをしながら「後半戦行けんのかー!」とコールするという、なんとも前衛的な入り方で、後半戦を“ウォーリーヒーロー”からスタート! サビで同じ歌詞を繰り返すことで言葉が持つリズム的な魅力を引き出すと共に、覚えやすさという点でも効果を表してる“ストラテジー”、そして“かけぬけて”“さくらのうた”の持つ緩急のある柔らかい音色に、「(Zepp DiverCityは)あくまで通過点」と話す谷口が、そしてKANA-BOONが目指す大きな未来を垣間見た。

KANA-BOON@Zepp DiverCity TOKYO
「ステージに立てばKANA-BOONですけど、それ以外は普通の人間というか、みんなとなにひとつ変わらない生き物です。僕らをミュージシャンにしてくれてありがたいです」という、等身大な姿勢を崩さない彼らの次なる決意は、「いい思い出をたくさん作らせてもらったから、今度は皆さんの思い出をたくさん作っていく」ことだ。「次に3年前に作った曲を演るんですが、たった3年で人生は変わるんですよね。日本の1DことKANA-BOONやから(笑)」と歌った“結晶星”。煌めく星の瞬き感じさせるこの曲に、彼らの更なる飛躍を感じずにはいられなかった。3年間結晶星に願っているだけでは辿りつくことができなかったであろうZepp DiverCityのステージに彼らを立たせたのは、彼ら自身の努力と、ライヴを通じて終始感じられたファンへの感謝と思いやりの心があってこそだ。そんな彼らの軌跡と未来の両方を強く感じた今回のツアーは、“盛者必衰の理、お断り”“フルドライブ”の爽快なスピード感と共に走り抜けていった。

そして会場に響く「おかわり!」コールに迎えられ再び登場した4人は、「上京する時に作った曲を」と新曲“生きてゆく”を披露。「普段4つ打ちばっかりやから、気持ちいいねん」と谷口が話すように、小泉の柔らかいドラミングと飯田のベースの上に心地良く響く古賀のギターリフと谷口のヴォーカルが、新しいKANA-BOONの魅力を存分に引き出していた。そしてラストは「僕たちにはこの曲なしには終われないっていうのがありますよね?このグルメツアーで中華を食べれなかったと。だから最後はみんなで○○を食べて終わろうかと」というMVに掛けた振りから、「皆さんのお腹をいっぱいにして終わろうと思います」という谷口の掛け声に始まった“ないものねだり”! 今まであんなに踊り狂っていたのにまだやれるのか?というほどのエネルギッシュな会場は、この日最高のテンションを迎えた。《ゆらゆらゆらゆら僕の心》というラストサビのコール&レスポンスでは、各メンバーひとりひとりの美声(?)も披露。(古賀のターンでは《こがこがこがこがこがこがはやと》に歌詞を変えて全員でシンガロングをするというおまけ付き) そうして大円団で迎えたグルメツアーラストは、会場全員で手を合わせての「ごちそうさまでした!」の声に幕を閉じた。

アンコールで披露された“生きてゆく”は8月27日にシングルとしての発売が決定されており、さらに8月30日には「KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス」が開催される。お腹いっぱいで今回のツアーが終わっても、今年の夏は各地フェスでまたお腹を空かせた彼らに会えることだろう。グルメ的にも音楽的にもひとまわりもふたまわり大きくなった彼らの躍進劇は、これからも続く。(峯岸利恵)

■セットリスト
01.1.2. step to you
02.ワールド
03.MUSiC
04.ミミック
05.白夜
06.クローン
07.夜のマーチ
08.見たくないもの
09.東京
10.羽虫と自販機
11.レピドシレン
12.ウォーリーヒーロー
13.ストラテジー
14.かけぬけて
15.さくらのうた
16.結晶星
17.盛者必衰の理、お断り
18.フルドライブ

(encore)
19.生きてゆく
20.ないものねだり

 
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