the HIATUS@新木場STUDIO COAST

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「『Keeper Of The Flame Tour』ファイナルへようこそ! 俺たちの旅も、一旦ここで終わり。明日から、また新しい季節が来る。今日は夏の到来を、めいっぱいお祝いしようぜ!」。序盤から“Roller Coaster Ride Memories”“Thirst”と最新アルバム『Keeper Of The Flame』モードで挑むthe HIATUSの研ぎ澄まされた音像と細美武士(Vo・G)の快活な言葉が、満場のオーディエンスの魂と熱く響き合って、雄叫びの如き大歓声を噴き上がらせていく――3月26日にリリースされた4thアルバム『Keeper Of The Flame』を引っ提げて、5月8日・千葉LOOKを皮切りに計41公演にわたって開催されてきたthe HIATUSの全国ツアー『Keeper Of The Flame Tour 2014』のファイナルにして東京・新木場STUDIO COASTでの2DAYS公演の2日目。およそバンド・アンサンブルというフォーマットが描き得る最高レベルでは?というほどの高揚感を体現する細美武士/masasucks(G)/ウエノコウジ(B)/伊澤一葉(Key)/柏倉隆史(Dr)の一音一音と、不屈の闘争心を伸びやかに輝かせる細美の歌とが高次元でスパークし、終始フロアに力強いシンガロングと拳が突き上がる、圧巻のステージだった。

the HIATUS@新木場STUDIO COAST
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エレクトロ要素の強いサウンドが濃密なヴァイブと肉体性をもって響く“Something Ever After”、《Singing a silent song to myself/Revolution needs a soundtrack》という決然としたフレーズがカントリー系のアレンジとともに熱気あふれるフロアを爽快に吹き抜けた“Horse Riding”をはじめ、アルバム『Keeper Of The Flame』のほとんどの楽曲をセットリストの軸として組み込みつつ、“Deerhounds”“Superblock”など3rdアルバム『A World Of Pandemonium』期の楽曲、“Monkeys”“Insomnia”といった2nd『ANOMALY』収録曲、“Storm Racers”“Silver Birch”など1st『Trash We'd Love』曲まで織り重ねて、フロア丸ごと熱狂の頂へと導いてみせたこの日のアクト。細美自身、「ウエノ(コウジ)さんがずっと『41本もライヴやりゃあ絶対すげえ変わるから』って最初から言ってて。『変わった後に夏フェスに出るのが楽しみだ』って。俺は最初、『41本のライヴぐらいで、このずっと変わらない俺が変わるんだったら、それに越したことはねえや』って思ってたけど……すげえ変わった!」とMCで話していた通り、これまでのアルバムの楽曲がアレンジ/演奏含め格段にブラッシュアップされていたのはもちろんのこと、『Keeper Of The Flame』の最新楽曲群までもが見違えるほどの極限進化を遂げていたことが、観客ひとりひとりの無上の驚きと感激、そして会場一面の怒濤の熱量を呼び起こしていた。

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「ピアノ、伊澤一葉!」という細美のコールに続いて鳴り渡った伊澤の流麗なピアノの調べから雪崩れ込んだ“The Flare”の熾烈なダイナミズム。“Unhurt”の高純度なメロディに、ハンドマイク・スタイルの絶唱で目も眩むようなスケール感を与えていく細美の、躍動感の化身の如きエネルギー。ゲスト・ヴォーカル=ucary valentineを呼び込み、細美:アコギ&ウエノ:ウッドベース編成でしなやかに奏でた“Tales Of Sorrow Street”。masasucksの痺れるようなギター・サウンドから雄大な音風景が広がった“Burn To Shine”。圧倒的な生命力に満ちた大合唱が、どこまでも激しくSTUDIO COASTを震わせた“Insomnia”……音楽はどこまで淀みなく揺るぎなく人間に作用し鼓舞し得るか?という命題と向き合い続けるかのようなthe HIATUSの足跡が、最高にアグレッシヴで美しく結実した、感動的なライヴだった。そんな中で、ツアー41本のうちゲストとして参加した4バンド=「気仙沼の高校を卒業したthe Nice Frankfurt」「大阪の俺らの仲間のバンド・Xmas Eileen」「必死こいて福島で闘ってる福島サイコビリー重鎮・内郷げんこつ会」「今日も来てる、RACCOちゃん率いる岡山のIdol Punch」へ静かに、真摯に感謝の言葉を伝えていた細美。「鉄砲でも何でもなくて、タマも何も出ない音楽で、この世界に対してケンカ売っていこうっていうのにさ、同じ塹壕に入ってる連中が頼りないのだけは耐えられんと思ったけど……最高の仲間に恵まれた、いいツアーでした。ありがとうございました」。熱い拍手が湧き起こる。

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『Trash We'd Love』の“Lone Train Running”を披露する前、「この曲書いてる時にさ、『もうどっか、誰も知らないところに消えちまいたい』と思ったけど……どこにも行く必要がなくなった。ありがとうございました!」と語っていた細美。未踏の地を音楽で切り開いてきたthe HIATUSの試練を、心の深淵も感情の極致も描ききるような名盤『Keeper Of The Flame』として結晶化した今だからこそ、彼らの音楽を愛する満場のオーディエンスとの絆を改めて噛み締めることができたのだろう。“Insomnia”で大団円かと思われた至上の熱狂空間を、さらに“紺碧の夜に”でエモーショナルに爆発させて……本編終了。アンコールを求める高らかなクラップが響き渡り、再び5人がオン・ステージ。「13,630km走って、新木場に帰ってきました」と、全行程を車で回ってきた今回のツアーを振り返る細美。「うちのバンドはスタッフ多い方だけど、楽器も多いから、搬入からメンバーみんなで手伝って、車を運転して。『すごい大変そうですね』、『体調大丈夫ですか』、すげえいろいろ言われたけど、絶対に最後のこの瞬間にこれ言ってやろうと思って――楽勝だ、こんなの!」。超弩級のライヴ本編を終えてなお意気揚々と宣言する細美の言葉に、会場の温度がさらに高まったところへ、“ベテルギウスの灯”が炸裂! 轟々たるシンガロングが超満員のフロアに満ちあふれていく。最高の光景だ。

the HIATUS@新木場STUDIO COAST
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時にギターをかき鳴らしながら、時にハンドマイクで、この日のステージ上で何度もガッツポーズを決め、ツアーの充実感を露にしていた細美。「このツアーで日本全国回ってきて、いろんな土地の連中に出会って、いろんなものをいただきました。その恩返しの手紙みたいな作品を、来年作るから」……そんな細美の言葉からも、今回のツアーがthe HIATUSにとって、細美自身にとって重要な意味を持っていたことがリアルに伝わってくる。アンコールの最後に『Keeper Of The Flame』から“Waiting For The Sun”を演奏、5人がステージを降り、客電が点いて終演SEが流れても鳴り止まないアンコールの手拍子――に応えて、三たび登場した5人。ツアー初日:千葉LOOKから(2日を除いて)同じTシャツでライヴに臨んでいた、と細美。「次の曲が終わって、このツアーが終わったらゴミ箱行きかなと思ってたわけよ。でも、すげえいいツアーだったから、追加公演やるかっていう気になって……1回だけやる。その時までは着ねえ」という言葉に、フロアが期待感にざわつき始める。そして細美の口から飛び出したのは――「12月22日、日本武道館!」。STUDIO COASTが割れんばかりの大歓声で包まれる中、ラスト・ナンバー“Shimmer”がひときわ美しく、鮮烈に響き渡っていく。ツアーの最終地点にthe HIATUSが刻んでいった壮大な「始まり」への予感に胸が震えて仕方がない、壮絶にして祝祭的な一夜だった。(高橋智樹)


■セットリスト

01.Roller Coaster Ride Memories
02.Thirst
03.Deerhounds
04.Storm Racers
05.Something Ever After
06.Horse Riding
07.Superblock
08.Silver Birch
09.The Flare
10.Monkeys
11.Unhurt
12.Tales Of Sorrow Street
13.Sunset Off The Coastline
14.Lone Train Running
15.Burn To Shine
16.Insomnia
17.紺碧の夜に

(encore 1)
18.ベテルギウスの灯
19.Waiting For The Sun

(encore 2)
20.Shimmer

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