バンドじゃないもん!@代官山UNIT

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「ワンマンやる度にメンバーが違うじゃないかって言われて……2歩進んで3歩下がってたけど、1歩前に進めたのが嬉しい」アンコール前、恋汐りんご(Castanet)がそう語ったとおり、正に次のステージへの大きな一歩を踏み出す瞬間を目撃するような、特別な一夜だった。バンドじゃないもん!、6人体制初となるシングル『ツナガル!カナデル!MUSIC』を引っ提げてのワンマン「バンドじゃないもん!ワンマンライブVol.2『カサナルイズム!カナデルリズム!〜自称無敵編〜』」。目標として掲げていたソールドアウトを達成した代官山UNITでのライヴは、彼女たちの武器である、「やりたいことを自由に楽しむ」という理念を体現し、それをオーディエンスが全力で楽しみ尽くす、理想郷のような場所になった。

バンドじゃないもん!@代官山UNIT
開演前から既に熱気立ち上るフロアは、鈴姫みさこ(Dr)の熱っぽいドラミングが冴えわたる“雪降る夜にキスして”で早くも熱狂。バンもんは6人それぞれに担当楽器を持っているが、たとえばみさこは座ったり立ったり叩きながら踊ったりドラムセットから飛び出してきたり――と、とても自由で、ある意味目まぐるしいほどの展開を繰り広げる。しかし、それでも1曲の中でイメージがバラバラになるということはなく、その幅広さ、多彩さがあくまでも「バンドじゃないもん!」というグループ自体の特長としてひとつのイメージを作っていることがすごい。彼女たちはグループの方向性を常に話し合い、それに基づいて歌詞、曲のイメージやアレンジ、振り付けに対してなど、すべてに意見を出すという。6人の意識が細部に宿るステージでは、1曲の中に「見せ場」が何度も出てくる。いわゆるギャルバンでもなければ、アイドルがバンドをやるという企画でもなく、アイドルやバンドというジャンルを超越する、ある種異色の存在として活動する彼女たちだからこそなしえる、実に自由なスタイルだ。

バンドじゃないもん!@代官山UNIT
6 曲目の“バンもん!のテーマ”のラストでは、ライトの中に浮かぶ6人のシルエットが、単にバランスが良いというだけじゃない、6人の「無敵感」を象徴しているようでたまらなくかっこいい。はじまりはツインドラムユニット、そして何度ものメンバー加入・脱退を経て現在の6人体制にたどり着いたバンもん。「この6人で最後」「この6人で終わる」インタヴューでもこの日のライヴでも何度もそう口にする彼女たちの結束は固いし、このメンバーで売れてやるんだ、という覚悟が、振り切ったパフォーマンスの随所からひしひしと伝わってくる。その思いの強さが、彼女たちの今の無敵さ、何か起こしてくれるのでは?という期待感に繋がっていると改めて感じさせられた。
バンドじゃないもん!@代官山UNIT
髪を振り乱してのメンバー渾身のヘドバンと望月みゆ(B)の「かかってこいよー!!」という煽りで、フロア一面をヘドバンの嵐に導いた“タカトコタン-Forever-”のあとはソロ・コラボコーナーへ。まずはりんごがひとりで登場、自身がかつてソロアイドルとしてリリースした楽曲“こい☆まほ ~恋する魔法少女~”を披露し、まさに「アイドル」という王道のパフォーマンスを見せる。続く、天照大桃子(Tingsha)、七星ぐみ(Shaker)による「ブルーツインズ」はBiSの“Fly”を熱唱しながらお互いのTシャツを破き、スクール水着になって客席を煽る。最後に登場した、みさこ、甘夏ゆず(Key)、みゆによる3ピースバンド「バンドだもん!」は、ゆずがギターをかき鳴らすという編成で、“学園天国”を演奏。プリミティヴな衝動を客席に叩き付け、コール&レスポンスを巻き起こした。このコーナーひとつとっても、さまざまな経歴、特技を持つ6人の持ち味を活かしたエンターテインメント性の高さを見せてくれる。

バンドじゃないもん!@代官山UNIT
終盤、“プリズム☆リズム”は、ライヴでは2回目の披露ということでメンバーによるコールのレクチャーも行われたが、客席からコールの提案が飛び出し、その場で採用しようかという一幕も。そもそも「バンドじゃないもん!」という、ジャンルレスな活動形態を象徴するグループ名もファンからの公募によって決まったが、普段からファンを7人目のメンバーとして、共に歴史を作り上げていこうと呼びかけているバンもんらしい場面だった。本編ラストは“ツナガル!カナデル!MUSIC”。客席全体に煌めく6色のサイリウムを目にした6人は、満面の笑みでステージを去った。

バンドじゃないもん!@代官山UNIT
アンコールに応えて再登場した6人は、ここで涙ながらに万感の思いを述べるも、「今日来てくれたことを皆が自慢できるように、これから頑張ります」(みゆ)「皆が来てくれてすごく幸せ。何倍にもして還元したい」(みさこ)と、一様にここが到達点じゃない、ここまで連れてきてくれたファンと共に、もっともっと先に進んでいくという意思を掲げる。そして披露された、5人時代の歌詞を6人バージョンにした“UP↑ぷらいむ”。中盤の“バンもん!のテーマ”でも感じた、この6人ならどこまでも行ける、という無敵さを感じさせてくれるエモーショナルなパフォーマンスだった。
バンドじゃないもん!@代官山UNIT
大団円を迎えようとしたその時、客席からかかる「ちょっと待ったー!」という声。UNITソールドアウトという目標を達成した彼女たちへファンからのサプライズプレゼントとして、ひとりひとりに花束とファンたちが写ったチェキくじ、メッセージアルバムが贈られる。突然の出来事に涙ぐみ喜ぶメンバーに、更にスタッフから、来年2/7の新宿BLAZEワンマンライヴ開催が告げられた。さまざまなバックグラウンドを持つ、強い個性を持った6人。それぞれの個性を削って枠にはめ均すのではなく、すべてを活かしたまま、強い個性同士がうまく共存し合うという特殊なグループである彼女たちは、これからも常識を覆し、どんどん進化していってくれるだろう。(塚原彩弓)

■セットリスト

01.雪降る夜にキスして
02.イヌイットディスコ
03.ショコラ・ラブ
04.お姫様ごっこ
05.アイの世界
06.バンもん!のテーマ
07.タカトコタン-Forever-
08.こい☆まほ ~恋する魔法少女~/恋汐りんご
09.Fly/ブルーツインズ(七星ぐみ・天照大桃子)
10.学園天国/バンドだもん!(鈴姫みさこ・望月みゆ・甘夏ゆず)
11.プリズム☆リズム
12.Back in you
13.もっと愛しあいましょ
14.パヒパヒ
15.ツナガル!カナデル!MUSIC

(encore)
16.UP↑ぷらいむ
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