THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST

THE STARBEMS 待望の2ndフルアルバム『VANISHING CITY』のリリースツアー、「VANISHING CITY TOUR 2014」のツアーファイナルが渋谷TSUTAYA O-WESTで行われた。東名阪を回った今ツアーを締めくくる舞台にゲストとして呼ばれたのは、Northern19。正真正銘、正々堂々の一騎打ち。両者の熱く激しいライヴアクトが共鳴し昇華した、一切の文句のつけようのない素晴らしいツアーファイナルとなった。

THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST - all pics by Shin Ishiharaall pics by Shin Ishihara
THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
<Northern19>
SEに合わせて起ったハンドクラップに呼ばれてステージに登場した、笠原(G・Vo)/井村(B・Vo)/馬場(Dr・Cho)。3人がドラムの前に集合し、拳を突き合わせた後正面を向くと同時にSEが止まる。音を無くした会場に再度響いたのは、笠原が鳴らした“TRUTH”のイントロだった。井村が伸びやかに歌い、笠原が「渋谷行こうぜ!」と喝を入れると、オーディエンスも拳を突き上げてそれに応える。さらにその力強さを持ったまま、馬場が高らかに叩き鳴らしたシンバルに導かれ“GO”へ続くと、サビでは笠原がマイクを離れステージのセンターまで歩み寄り、会場を煽りシンガロングを巻き起こす。さらにそこから“START AGAIN”に繋げ、ツービートを基調とした勢いのなかにどこか哀愁を感じさせるメロディーで会場を包み込む。「もう年末だけど、寒い中こうやってみんな集まってせっかくやるんだから、俺たちはぶっ放していこうと思う! 一分一秒無駄にしないように、刻みこんでいきましょう!」と笠原が挨拶すると、「もっといい顔見せてよ!」と“ANSWER”を叩き込む。そしてここで雰囲気を一変すべく、真っ赤な照明に照らされた会場にはスリリングな“Q”が掻き鳴らされた。

THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
彼ら自身先月にアルバムツアーを終えたばかりということもあり、そこで得た経験と自信が選曲やプレイに現れているなとひしと感じた。彼らの十八番とも言える、シンガロングを携えたパンク色の強い楽曲で感じられるスピード感や高揚感はもちろんのこと、こうした変化球的に投下される楽曲が抜群に効いている。ただ速く、ただ激しいだけではない、メロディックパンクという括りに一切囚われないNorthern19の進化が、ここまでの流れで強く感じられた。そんななか、鈴の音をバックに「もうすぐクリスマスがやってくるね!楽しみにしてる? 普段色々あるだろうけど、年末にやってくるこのクリスマスだけは楽しく過ごしたいよね! 俺たちからのメリークリスマスソング!」との笠原の合図でプレゼントされたのは、“SNOWBLIND”の煌びやかな音色だった。会場を包むスモークが照明に照らされている様子はまるで、冬の朝もやが朝日に照らされているかのようで美しかった。続いて演奏されたのは“STAY YOUTH FOREVER”。笠原がサビのフレーズを「ウォーウォーウォー」とゆったり歌い出すと、待ってましたと言わんばかりに会場からは歌声に被せるように大きなシンガロングが起こる。「青春を忘れんじゃねぇぞ! THE STARBEMSの日高さんも、ずっと青春を忘れてねぇんだよあの人は! ぶち込んでいけ!」と笠原が叫びイントロが鳴り出すと、会場のテンションは頂点に! キラーチューンを終えた後のMCでは、THE STARBEMSの日高や後藤との思い出に触れ、「廻り廻った色んな縁で、レコ発・東京のO-WESTのステージに立たせてもらっていること、そしてTHE STARBEMSに感謝しています」と今日の共演への感謝を告げる。そして「最後の歌! みんなの歌!」とラストの“NEVER ENDING STORY”でフィニッシュ。「最後まで楽しんで!(笠原)」と、熱気溢れる会場を続くTHE STARBEMSへしっかりと導いた。

THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
<THE STARBEMS>
Northern19の熱演により既に温まった会場にウルトラセブンのテーマが流れると、越川和磨(G)/菊池篤(G)/高地広明(Dr)/後藤裕亮(G)、そしてサポートベースを務める山下潤一郎が続々とステージに登場する。互いに顔を見合わせながらセットに入ると、ステージ脇から「東北ライブハウス大作戦」のタオルを頭上に掲げた日高央(Vo)が堂々とした足取りで登場! 待ってましたといわんばかりの大歓声で6人を迎えた会場に「いこうぜ渋谷!」と日高が吼えると、高地の4カウントで“Working Youths”へと雪崩れ込む。菊池の鋭いシャウトが炸裂し日高もマイクを客席に向けてシンガロングを促したりと、のっけから会場を煽り倒す。そんな爆発寸前なテンションの会場に「渋谷、さ・わ・げ!(日高)」とぶっ放したのは“Let Lights Shine”。目も眩むようなストロボと高地の踏み鳴らす爆裂ツービートが、聴く者の興奮をこれでもかと駆り立てる。そこから間髪入れずに “Pitfalls”“ Pig Ministry”を続けて叩き込み、開始15分弱で会場の熱気はピークを迎えていた。そして日高が「最後まで騒いで、日々のストレスを発散しなきゃ嘘だろ!? ここは“Vanishing City”!」とコールすると、高地&山下の重厚リズム隊の音弾が炸裂。越川がステップを踏んで軽快にプレイしている反対側では後藤がセンターに出てきてプレイし、続く“The Midnight Sun”では後藤が華麗な背弾きを披露したりと、白熱のパフォーマンスを繰り広げた。「泣いても笑ってもレコ発ファイナル。正直今日はライバルが多いよ、向かい側(O-EAST)はflumpoolだよ。ルックスは結構近くねぇか? え? 誰がおじさんバンドだよ! おじさんだってロックできるんだよ!」と日高が叫ぶと、「THE STARBEMSはこの一曲から始まりました」と投下したのは“THE CRACKIN’”! 越川渾身のギターソロが火を噴き会場が沸くと、そのまま“ARE U SURE?”“Sublime”“Vengeance Sea”と連続で叩きつけ、会場一体となったシンガロングの勢いは曲を追うごとに強くなっていった。

THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
「ロック最高じゃね? なんでみんなバンドやんないの? 46歳でもやってるよ。何で家族でバンドやんないの? 恋人とバンド、友達とバンドやるのも最高だね!」と日高が会場に誘いかけ、Mano Negraのカヴァーである“KING KONG FIVE”を繰り出す。菊池もハンドマイクで応戦し、「そのまま手上げとけ!」と煽り、“Burning Heart”“FORGIVENESS”を豪快に鳴らした。ずしっと腹にくるようなへヴィーメタル調なイントロでも、サビに入った途端に伸びやかで哀愁漂うサウンドに変化する。「音楽業界も不景気だとか言ってます。でも、46歳だよ? 人のせいにしたくねぇんだよ! 黙ってぼさっとネットの向こうで調子のいいこと言ってる奴にはなりたくねぇんだよ! やるかやらねぇかなんだよ! 死ぬまでやるぞ、お前らも死ぬまで音楽聴け!」と振り絞るように叫ぶ日高の姿から、音楽と本気で真正面から向き合うバンドの強さを見ることができた。常に全力、常に全身全霊。6人の熱く強い意志は音となり空気となって会場全体に充満し、“Sweet Nothing Blues”“DESTINY”を経て、ラストの“Everybody Needs Somebody”では特大シンガロングを巻き起こした。

THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
THE STARBEMS×Northern19@渋谷TSUTAYA O-WEST
鳴り止まないクラップに呼ばれて再度ステージに戻った6人。早々に“Dinosaur Boy
”を掻き鳴らし、「まだまだ踊り足りないってか? ロックンロール最高だよ!」との日高の声で“MAXIMUM ROCK’N'ROLL”を投下! 続く“GOOD-BYE LOVE”では、スペシャルゲストとしてNorthern19の笠原がハンドマイクを持ってステージに登場! ラストで後藤と肩を組み、さらには笠原が後藤に頬ずりをするというおまけつきだ。後藤の顔に塗られた白いドーランを自身の頬に付けたまま笠原がステージを後にすると、菊池が「あんなアプローチ初めてすぎて、ステージ上若干引いてます!」と愛のある言及で笑いを誘った。そして日高から年内のライヴ告知がされ、「来年もがんがんライヴするよ! メンバーにも言ってないけど来年にもなんか出すよ! 毎年CD出すよ! できればアナログとか出しちゃうよ! 配信でもなんでもいいよ、新曲がんがん作ればいいんだろ!?」との来年への意気込みを込めつつ、“Evening Star / Morning Star”の痛快爆裂サウンドを響かせた。さらにダブルアンコールでは、越川がひとりでステージに登場し「バンドってライヴしないとだめなんだよ。お客さんが入らんとか色々問題はあるんだけど、今日みんな来てくれて本当に感謝しています」「愛しています」との率直な気持ちを述べる。この越川のソロコメントは打ち合わせにはなかったのだと後の菊池のコメントで判明したのだが、越川の切実な思いが裏付けられるようなシーンだった。そしてツアーを締めくくる正真正銘のラストは“FUCKIN’ IN THE AIR”で大団円! 「おじさんたちも頑張るから、若い奴らも騒いでいけよ」との日高の激励の言葉に背中を押された会場とステージが最高の一体感を演出して、リリースツアーは幕を閉じた。(峯岸利恵)

■セットリスト

<Northern19>
01.TRUTH
02.GO
03.START AGAIN
04.ANSWER
05.Q
06.SNOWBLIND
07.STAY YOUTH FOREVER
08.TONIGHT, TONIGHT
09.BLUE SKIES,BROKEN BIKE...SAME FAVORITE SONGS
10.NEVER ENDING STORY

<THE STARBEMS>
01.Working Youths
02.Let Lights Shine
03.Pitfalls
04.Pig Ministry
05.Vanishing City
06.The Midnight Sun
07.HUMAN RIGHTS
08.THE CRACKIN’
09.ARE U SURE?
10.Sublime
11.Vengeance Sea
12.KING KONG FIVE (Mano Negraカバー曲)
13.Burning Heart
14.FORGIVENESS
15.Sweet Nothing Blues
16.DESTINY
17.Everybody Needs Somebody

(encore)
18.Dinosaur Boy
19.MAXIMUM ROCK’N'ROLL
20.GOOD-BYE LOVE
21.Evening Star / Morning Star

(encore2)
22.FUCKIN’ IN THE AIR
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