all pics by 浜野カズシ「ロックンロールってこんなに自由でワクワクするものなんだ!」ということを、全身で体現するようなステージだった。昨年11月5日に1stアルバム『Magic Number』でメジャー・デビューを果たした注目の4ピース・go!go!vanillas。そのアルバム・ツアーの最終日=渋谷クラブクアトロ公演である。11月17日の浦和KYARA公演を皮切りに対バン形式で行われてきた当ツアーだが(11月22日の仙台PARK SQUARE公演のみワンマン)、1月9日の名古屋APOLLO BASE/1月10日の梅田Shangri-La/そしてこの日は堂々のワンマン。ファンはもちろん多くの関係者でごった返した場内には、開演前からむせ返るほどの熱気が立ち込めている。
そんな期待値の高さをものともせず、両手を高々と突き上げた牧達弥(Vo・G)を先頭に威勢よく飛び出したバニラズの4人。向き合って挨拶代りの音鳴らしをすると、牧の「渋谷ー!」というシャウトから、清々しいほどの高揚感に満ち溢れた3コードのアンサンブルを走らせる。“セルバ”だ。色とりどりのライトがステージを照らす中、熱のこもったプレイで場内の温度を引き上げていく4人。間髪入れずに突入した“ハイテンション”では、曲名どおりの怒涛のテンションでフロア一斉のハイジャンプを導いていく。そして長谷川プリティ敬祐(B)の「飛ばしていくぞー!」の絶叫を合図に“ドアー”へ。牧が歌い上げるスウィートなメロディと、堰を切ったように押し寄せるごっつい音塊とのバランスがとにかく痛快である。
その後も、真冬の渋谷を常夏ムードに染め上げた“サマータイムブルー”、MVにも登場するスクールガールダンサーが乱入しての熱いダンス・タイムに突入した“エマ”と、パーティー・チューンを連打。“ミスタースウィンドル”のブレイクでは「バニラズのお祭り男」ことジェットセイヤ(Dr)の爆裂ドラム・ソロが炸裂し、オーディエンスをやんやと沸かせていく。随所で軽妙なトークを繰り広げる牧&プリティにしろ、ただ一人寡黙にギターを掻き鳴らす宮川怜也(G)にしろ、4人のキャラクターがステージのそこかしこから滲み出るのもバニラズのライヴの醍醐味。何よりメンバー4人がロックンロールと戯れることを心の底から楽しんでいるようなオープンな空気感がいい。中盤の“トワイライト”では一転してノスタルジックな情景を描いた彼らだが、そこに感傷的なムードはなく、未来へと向かうポジティヴな推進力が感じられたのも、彼らが放つ陽性なヴァイブスの賜物なんだと思う。
つんのめったビートで後半戦一発目からオーディエンスを豪快に揺さぶった“人間讃歌”、コール&レスポンスならぬコール&ウィスパーで会場をひとつにした“ホラーショー”、こんがらがった恋心をポップなメロディで解き放った“非実在少女”、ノイジーなロックンロールと牧のソウルフルな歌が炸裂した“デストロイヤー”……スウィンギン・ロンドンなムードと和製ロックンロールならではの奥深い抒情を兼ね備えながら、何より楽しむことに忠実な自由で眩いサウンドが力強く飛翔していく。ジェットセイヤが立ち上がってドラムを叩いた“アクロス ザ ユニバーシティ”では会場一丸のシンガロングを招き、「魔法にかかる準備はいいですか!?」(プリティ)と雪崩れ込んだ“マジック”では一糸乱れぬクラップ炸裂! バンドとオーディエンスが一体となって歓喜を爆発させながら完全無欠のロックンロール・ユートピアを築き上げてしまった。
このままラストまで猛ダッシュかと思いきや、神妙な面持ちで口を開いたプリティ。楽しいだけじゃなく苦労やメンバー間の言い争いも絶えなかった『Magic Number』の制作秘話を明かし、アルバムの中で最初にできた曲だという“ティーンネイジャーズノイズ”へ繋げていく。さらに「バンドマンって孤独なんですよ。音楽作っているときは仲間内でしか自分たちの音楽のよさが分からないから。でも今回のツアーでこれだけの人に僕らの音楽が伝わったってことが分かって嬉しいです」という牧のMCを経て、本編ラストの“オリエント”へ。《僕を駆り立てるここは東京/涌き出る言霊に身を任せ/これからも生きていくと決めた》という歌に、大好きなロックンロールに身を任せながら希望を鳴らしていこうとする彼らの意志がヴィヴィッドに映し出されているように思えた。あくまで無限大の楽しさを鳴らすことでシリアスなメッセージを届けていくバニラズの音楽。その真髄がハッキリと見て取れた、素晴らしいクライマックスだった。
アンコールでは怜也ひとりがオン・ステージ。たどたどしいMCを行う怜也を見かねて(?)3人が現れると、プリティの口から5月5日のgo!go!の日に自主企画イベント「go!go!vanillas presents READY STEADY go!go! vol.02」を新代田FEVERにて開催することを発表! さらにビタースウィートな新曲を瑞々しくブチかまし、“ライクアマウンテン”“ビッグモンスーン”と畳み掛けて2時間弱に及ぶステージは大団円を迎えた。最後は「ゴー!バニラズゴー!」の合図でオーディエンスと記念撮影。そのシンプルかつピュアなロックンロールでオーディエンスを楽園へと導いたライヴの圧勝感を物語るように、退場間際にジェットセイヤが放った「ロックンロォーーール!!!」という絶叫がいつまでも胸に残った。(齋藤美穂)
■セットリスト
01.セルバ
02.ハイテンション
03.ドアー
04.サマータイムブルー
05.エマ
06.ミスタースウィンドル
07.春眠
08.ニューエイジ
09.トワイライト
10.人間讃歌
11.ホラーショー
12.非実在少女
13.デストロイヤー
14.アクロス ザ ユニバーシティ
15.マジック
16.ティーンネイジャーズノイズ
17.オリエント
(encore)
18.新曲
19.ライクアマウンテン
20.ビッグモンスーン