2曲を終えて 「今日は今までのクワイエットルームの集大成を見せつつ、新しいクワイエットルームを見せられる日にもできたらと思います」と菊池が言うと、ライブ序盤で早くも新曲“Sunday morning”を披露。シンバルを打ち鳴らし、一段と力強く鳴る演奏と伸びやかなメロディとがぐっと耳に飛び込んできた。そして、「2014年最大のキラーチューンやります」と、RO69JACK 2014で優勝をもぎ取った“Humming Life”では、歌詞の心情に合わせて顔をしかめたり、笑顔を浮かべたり、表情を変えながら歌う菊池。そんな和やかでブライトな会場の雰囲気が一転したのは“tonight is the night”だった。やるせない日々へ「待った!」をかけるシニカルな歌を、鋭い目つきで歌い切る。ミニアルバム『Life is wonder』どおりの流れが再現されたこの2曲は、バンドが掲げる「表情豊かに生きる」というテーマが表れた肝のような部分だった。
「お客さんによくおじいさんと言われるので……」と、ここでボーカル菊池が休憩のために(!)袖に消えると、残されたメンバーによるセッションが始まった。真っ赤な照明を浴びて、大人ぽいムードを漂わせながら、クールに決めるソロ回し。すると、そのまま未発表曲“Landscape”をやるとアナウンス。そしていきなりハンドマイクでフロアに現れた菊池が、お客さんに混じって歌い出すというサプライズに、会場は大いに盛り上がった。菊池いわく、これぞワンマンでやりたかったことのひとつだという。
始まったときは、「長い!」と、弱音を漏らしたライヴだったが、「もう佳境です」と
、気づけば残り3曲。終盤戦だ。メンバー紹介では、うっかり自分を紹介し忘れる菊池に、斉藤が、「自分は言わないの?」と突っ込む場面もあったが、「いままでやってきたのも名曲だったけど、残りも名曲です!」と菊池は強気に宣言。斉藤が踊るようなフレーズを奏でた“スロウダンス”のあとは、「みんなの声を聴かせてほしいな」と、シンガロングを巻き起こした“Hello Hello Hello”。そして、いよいよラスト1曲を前に、菊池はこの日のライブを振り返った。 「なんだかチャラチャラやってしまったけど……今日は力を抜いてやるのが目標だった。感動を隠すのが精一杯でした」。そんなふうに言う菊池の目は少し潤んでいるようにも見えた。そして、「クワイエットルームを続けてよかった。最後は、続けることが1番大事、歩き続けることが大事という歌です」と、ラストナンバー“Walker”。ひとりエレキギターを掻き鳴らして歌い始めたところに、次第にバンドの演奏が加わる。熱唱する菊池の両サイドでは、前田と斉藤が、身体をくの字に曲げてエモーショナルに楽器を掻き鳴らしていた。ふと客席を見ると涙をぬぐってステージを見つめる横顔があった。
最後は客席をバックにフォトセッション、さらにメンバーが手を繋いでバッと上に掲げる挨拶まで。初ワンマンライブでやりたかったお約束ごとはすべてやり遂げたthe quiet room。全てが新鮮で初々しい、歓びと希望に満ちたライブだった。ここから、the quiet roomは全国へと旅に出る。(秦理絵)
■セットリスト
01.Happy End
02.Drops
03.Sunday morning(新曲)
04.Humming Life
05.tonight is the night
06.Lush Life
07.will you love me tomorrow ?
08.雨上がりの午後に
09.Landscape
10.19歳
11.アイロニー(新曲)
12.スロウダンス
13.Hello Hello Hello
14.Walker
(encore)
15.Life is wonder
(encore 2)
16.polka dots