the quiet room@渋谷eggman

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RO69JACK 2014の優勝バンドthe quiet roomが初の全国流通ミニアルバム『Life is wonder』を引っさげたレコ発ツアーの幕開けとなる、自身初のワンマンライブを渋谷eggmanで開催した。昨年10月にドラムの篠崎くららが脱退して、菊池遼(Vo・G)、斉藤弦(G)、前田翔平(B)の3人体制となったthe quiet roomは、この日サポートドラムのコビキユウジを迎えた新編成でステージに立った。

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定刻を10分ほど過ぎたころ、SEにSPECIAL OTHERSの“AIMS”が流れるなかメンバーが登場した。4人が円陣を組んで気合いを込めると、“Happy End”からライブはスタート。ポップで軽やかなサウンドにズンズンと突き上げるビート、そこに菊池の歌声が軽やかに弾む。続いて、鋭いギターのイントロでワッと歓声が起こったのは、『Life is wonder』に収録されているナンバー“Drops”だった。何よりもメロディを大切にするthe quiet roomというバンドで重要な役割を担うのがボーカル菊池だが、それを支える演奏隊だって負けていない。ベースの前田は時おり激しく頭を振りながら、ギターの斉藤はクールな表情を崩さずに、手数の多い細やかなフレーズを高い集中力で繰り出していく。

2曲を終えて 「今日は今までのクワイエットルームの集大成を見せつつ、新しいクワイエットルームを見せられる日にもできたらと思います」と菊池が言うと、ライブ序盤で早くも新曲“Sunday morning”を披露。シンバルを打ち鳴らし、一段と力強く鳴る演奏と伸びやかなメロディとがぐっと耳に飛び込んできた。そして、「2014年最大のキラーチューンやります」と、RO69JACK 2014で優勝をもぎ取った“Humming Life”では、歌詞の心情に合わせて顔をしかめたり、笑顔を浮かべたり、表情を変えながら歌う菊池。そんな和やかでブライトな会場の雰囲気が一転したのは“tonight is the night”だった。やるせない日々へ「待った!」をかけるシニカルな歌を、鋭い目つきで歌い切る。ミニアルバム『Life is wonder』どおりの流れが再現されたこの2曲は、バンドが掲げる「表情豊かに生きる」というテーマが表れた肝のような部分だった。

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MCでは「まだ5曲か……」と少し息を切らし気味に口にした菊池。この日が初ワンマンのthe quiet roomは、これまで15~30分くらいで終わるライヴしか経験がない。本編14曲が用意されているこの日のライヴは、まだまだ序盤だ。ここからは最近のライヴではやることが少なかった自主制作盤からの楽曲“Lush Life”“will you love me tomorrow ?”を立て続けに披露。緩急をつけながら、変則的に展開していくリズムのなかで、あくまで歌を主役に聴かせるバンドの姿勢には1本筋が通っている。
 
「お客さんによくおじいさんと言われるので……」と、ここでボーカル菊池が休憩のために(!)袖に消えると、残されたメンバーによるセッションが始まった。真っ赤な照明を浴びて、大人ぽいムードを漂わせながら、クールに決めるソロ回し。すると、そのまま未発表曲“Landscape”をやるとアナウンス。そしていきなりハンドマイクでフロアに現れた菊池が、お客さんに混じって歌い出すというサプライズに、会場は大いに盛り上がった。菊池いわく、これぞワンマンでやりたかったことのひとつだという。

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「自分にとって19歳は大切な1年だった」と、しんみりとした口調で振り返った菊池が、当時の等身大を込めた“19歳”を絞り出すように歌い切ると、新曲“アイロニー”へ。この日は2曲の新曲が披露されたが、この曲は特に印象深かった。賑やかなギターとベースの演奏に、軽やかに弾むポップなメロディは、どこか切なさをを掻き立てる懐かしさもあって心地よい。

始まったときは、「長い!」と、弱音を漏らしたライヴだったが、「もう佳境です」と
、気づけば残り3曲。終盤戦だ。メンバー紹介では、うっかり自分を紹介し忘れる菊池に、斉藤が、「自分は言わないの?」と突っ込む場面もあったが、「いままでやってきたのも名曲だったけど、残りも名曲です!」と菊池は強気に宣言。斉藤が踊るようなフレーズを奏でた“スロウダンス”のあとは、「みんなの声を聴かせてほしいな」と、シンガロングを巻き起こした“Hello Hello Hello”。そして、いよいよラスト1曲を前に、菊池はこの日のライブを振り返った。 「なんだかチャラチャラやってしまったけど……今日は力を抜いてやるのが目標だった。感動を隠すのが精一杯でした」。そんなふうに言う菊池の目は少し潤んでいるようにも見えた。そして、「クワイエットルームを続けてよかった。最後は、続けることが1番大事、歩き続けることが大事という歌です」と、ラストナンバー“Walker”。ひとりエレキギターを掻き鳴らして歌い始めたところに、次第にバンドの演奏が加わる。熱唱する菊池の両サイドでは、前田と斉藤が、身体をくの字に曲げてエモーショナルに楽器を掻き鳴らしていた。ふと客席を見ると涙をぬぐってステージを見つめる横顔があった。

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アンコールでは、ほとんどインターバルを置かずにメンバーが再びステージに。まずは4月13日に渋谷WWWで行なう自主企画の出演者のうち1組がSHE'Sであること発表。菊池は「アンコールなんて用意してなかったね(笑)」とおどけながら、まだ披露されていなかった大事な曲“Life is wonder”へと繋いだ。「人生って素晴らしいと言えるきっかけにしたい」という想いを込めたそれは、光いっぱいの客席に希望の歌として降り注いでいた。ダブルアンコールには、高校生のころに作ったという知る人ぞ知る“polka dots”を、どうしても歌いたいと再登場したメンバー。サビの《筆でかき混ぜる空の色》というフレーズを会場みんなで歌った。菊池は高校生っぽい歌詞が恥ずかしいと照れたが、その場で初めて聴いた誰もが歌える、こんなにもワクワクさせる魔法のメロディを、すでに高校生のときに作っていたのだから、やっぱり菊池のポップセンスは本物だ。リラックスした雰囲気のメンバーも、客席を眺めながらこの日1番の良い表情で演奏をしていた。

最後は客席をバックにフォトセッション、さらにメンバーが手を繋いでバッと上に掲げる挨拶まで。初ワンマンライブでやりたかったお約束ごとはすべてやり遂げたthe quiet room。全てが新鮮で初々しい、歓びと希望に満ちたライブだった。ここから、the quiet roomは全国へと旅に出る。(秦理絵)

■セットリスト

01.Happy End
02.Drops
03.Sunday morning(新曲)
04.Humming Life
05.tonight is the night
06.Lush Life
07.will you love me tomorrow ?
08.雨上がりの午後に
09.Landscape
10.19歳
11.アイロニー(新曲)
12.スロウダンス
13.Hello Hello Hello
14.Walker

(encore)
15.Life is wonder

(encore 2)
16.polka dots
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