オープニングはアストル・ピアソラとエンニオ・モリコーネのナンバーを2曲続けてプレイするという、ゆったりエレガントな出だしとなったこの日のショウ。ちなみに彼らは一昨日のサントリーホール公演で日本では初となるクラシック・セットのショウを敢行しており、この冒頭2曲はそんな一昨日の流れを汲むものだったりする。ただし、それ以降のU2の“Where The Streets Have No Name”からコールドプレイの“Viva La Vida”への流れ、前半にバラッド系のナンバーを集め、まずはじっくり座ってオーディエンスに彼らのアンサンブルを堪能させるというセットリストは、昨年のツアーと全く同じだった。
「コンバンワ、トキオ!今回のツアーは東京でたくさんショウをやれて嬉しいよ。昨日はサントリーホールでクラシック・セットをやったんだ。あそこはクラシックの殿堂なんだよね? でも、今日はクラシック・コンサートじゃないからリラックスして! 後でパワフルな曲をやるから叫んで欲しい。みんな、叫べるよね?」とルカ。この「2CELLOSはクラシック・バンドじゃない」発言もまた、彼らのライヴの冒頭におけるお約束的なステートメントだ。そしてマイケル・ジャクソンの“Human Nature”からの“Smooth Criminal”へのスイッチングを号令として一気にチル・アウトから総立ちのロック・ライヴへ急転換していく演出も、ほぼ前回の流れを踏襲したものになっていた。つまり、新作『チェロヴァース』をベースに全く新しいコンセプトを立ち上げたライヴと言うよりも、彼らのライヴの基本フォーマットに『チェロヴァース』の収録曲が組み込まれていたのが、今回のライヴだった。しかし面白かったのは、プレイされる演目にさほどの差はないにもかかわらず、彼らのプレイ自体には前回と比べて大きな差があったことだ。
腰を据えて黙々と弾きまくるクールなルカに対して、ステファンはショウマンシップの面でも意識改革があったのだろうか、顔芸のレベルでカメラ目線をキメまくり、足を大きく広げた仁王立ちでチェロを構えるその出で立ちはほとんど「イケメン化したジャック・ブラック」状態で、観ていて途中から面白くなってきてしまった。ガンズ・アンド・ローゼズの“Welcome to the Jungle”では弓を口に咥えてチェロの弦とボディをタップしまくり、AC/DCの“Thunderstruck”では床に寝転がってギュワギュワ弾きまくる。
1. Oblivion
2. Gabriel's Oboe
3. Where The Streets Have No Name
4. Viva La Vida
5. The Book of Love
6. Resistance
7. With or Without You
8. Human Nature
9. Smooth Criminal
10. Welcome to the Jungle
11. Thunderstruck
12. Voodoo People
13. Mombasa
14. They Don't Care About Us
15. Smells Like Teen Spirit
16. You Shook Me All Night Long
17. Highway To Hell
18. Satisfaction
En1. The Trooper
En2. Back in Black
En3. Bach Air