『MUSIC TAGS vol.3~先輩、宜しくお願い致します。~』@Zepp Tokyo

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ビクターエンタテインメントのレーベル、Getting Better RecordsとSpeedstar Records主催で、Zepp Tokyo 2daysの日程で行われたライヴイベント「MUSIC TAGS vol.3 ~先輩、宜しくお願い致します。~」の2日目。副題通り、オープニングアクトの夜の本気ダンスからKEYTALKへ、そしてトリのORANGE RANGEへと、キャリアや個性の異なる3バンドが、リスペクトとともにゆるやかに連携しあい、一夜限りのタッグを組む。この夜、鳴らされたサウンドは、ロックの解放感とダンスの興奮に満ちた音の遺伝子となって、Zepp Tokyoを巨大な祝祭空間に変え、いつまでも鳴り響いていた。

『MUSIC TAGS vol.3~先輩、宜しくお願い致します。~』@Zepp Tokyo - 夜の本気ダンス夜の本気ダンス
●夜の本気ダンス
フロム京都の4人組、夜の本気ダンスは、ビクターではなくインディレーベル所属だが、関西のイベントで入場規制を連発させ、バンド名そのままの熱いステージで注目される。フロントマン・米田貴紀(Vo・G)の「踊れる準備はできてますか?」という第一声で始まった“WHERE?”から、スリル満点の四つ打ちビートとエッジの効いた町田建人(G)のギターリフが炸裂。ポストパンクからフランツ・フェルディナンドなどに至るスタイリッシュなビート感と、その対極にあるはずの躍動する肉体と発汗のファンクネス、それら2つがタイトで骨太な演奏により、灼熱のダンサブルなロックンロールに編み上げられていく。最新シングル“By My Side”でさらにテンポアップし、“fuckin’ so tired”では米田がフロアに飛び込み、もみくちゃになりながら歌い煽る。途中、鈴鹿秋斗(Dr)はキャラが立ちまくりのMCで「オレがどんだけORANGE RANGE好きか、みんな知らんやろ?」と“サムライマニア”(ORANGE RANGE)をソロで歌い「実はORANGE RANGEのドラマーの座を狙っている」などと爆笑を誘発。ラストはデビューシングル“戦争”をドロップし、マイケル(B)のソリッドなベースを中心に、「Love&Peace&Fuck」のシャウトでストレートなメッセージを叩きつけた。鋭角的なダンスロックの連打で左右に大きく揺れ出したフロア全体もすでに本気モード。早くもダンスとシンガロングの坩堝と化した。

『MUSIC TAGS vol.3~先輩、宜しくお願い致します。~』@Zepp Tokyo - KEYTALKKEYTALK
●KEYTALK
登場と同時に大きな歓声で迎えられたKEYTALK。“FLAVOR FLAVOR”がスタートすると、会場の雰囲気も明るく華やいだものに変わる。晴れた空を飛翔するようなボーカルメロディを口ずさみ、曲の合間に仕掛けられたさまざまなフックに、手拍子やかけ声で反応するうち、オーディエンスはもう、彼らの目くるめく音楽に取り込まれているのだ。テンポアップしてハードに突き進む2曲目“パラレル”で、パンキッシュに会場を騒然とさせたあと、最新アルバム『HOT!』のリード曲“YURAMEKI SUMMER”へ。ラップにパラパラや祭囃子の要素も詰め込み、真夏の狂おしい恋の心情を強力なダンスロックに仕立てていく趣向は、KEYTALKの真骨頂。めざましく展開する音楽的風景に、クラップや合いの手のシャウト、ハンドコールやダンスで応えるフロアは、いつしか日常を逸脱し、音楽に直接に感応する真の“祭り”の場所に変貌していくように思えた。“パラレル”、“コースター”など、定番となった曲では寺中友将(Vo・G)、首藤義勝(Vo・B)のダブルヴォーカルと小野武正(G)、八木優樹(Dr)のアンサンブルの妙が際立つ。だがMCでは「今日は、先輩方によろしくしまくる日。みなさんよろしく」と挨拶した小野に、首藤も「ぼくは先輩にはヘコヘコ、後輩にはオラオラ、そんな自分を変えたい」と自然体で、力みはゼロ。メンバーの穏やかな雰囲気にも癒される。“エンドロール”、“バイバイアイミスユー”で一息ついて、熱狂の終盤戦へ。“MABOROSHI SUMMER”ではフロア全体が揃って(PVの)幽霊ダンス(?)に笑顔で興じ、“MONSTER DANCE”では《踊れ踊れさあさあ踊れ/騒げ騒げさあさあ騒げ》の歌詞のまま、メンバーとオーディエンスが一体となった凄まじい盛り上がりに。新作を中心に、夏とダンスをキーワードにしたセットリスト。KEYTALKの現在地点を鮮やかに印象付けるパワフルなライヴだった。


『MUSIC TAGS vol.3~先輩、宜しくお願い致します。~』@Zepp Tokyo - ORANGE RANGEORANGE RANGE
●ORANGE RANGE
そしてこの日のトリ、ORANGE RANGEである。新作EP“JIN JIN”のアッパーなミクスチャーロックでスタートした後、一世風靡セピア風&祭囃子ロックの“祭男爵”と、ラテン系の“お願い!セニョリータ”を連打。フロアは、甘美なメロディ&軽快なリズムの抵抗しがたい誘惑に、すぐさま体をゆすりながら笑顔の大合唱になる。夏がテーマのこの3曲は、灼熱のライヴの幕開けにふさわしい。鉄板ダンスナンバー“おしゃれ番長”、“トーキョーガールズからコネクション”、“シティボーイ”、そして最新曲“SUSHI食べたいfeat.ソイソース”の流れをエレクトロ~クラブミュージックのテイストでまとめ、HIROKI(Vo)、YAMATO(Vo)、RYO(Vo)の3人は、自由に位置取りを変えながらボーカルを回しあった。MCではHIROKIが「夜ダンの彼(鈴鹿)、リスペクトは伝わってきたけど、絶対に入れたくないよね」と「先輩」の立場から加入をやんわり断ると、YAMATOは「でも“サムライマニア”は歌えてた」とコメントして爆笑。さらにHIROKIの、KEYTALKをグッドモーニングアメリカと言い間違えるボケに、2階席で見ていたKEYTALKから突っ込みが入るなど和気あいあいの一幕も。ラストはYOH(B)のバキバキのベースとNAOTO(G)のエッジーなギターが暴れる“鬼ゴロシ”からデビューシングル“キリキリマイ”へ。ヘヴィな爆音を轟かせロックバンドとしての剛腕も証明し、多様な音楽を遊び心満点にミックスし楽しみ尽くす先駆者として、存在感を見せつけ本編を終了する。アンコールでは、“ロコローション”のおなじみのドラムパターンでスタートしたはずが、よく見ると夜ダン・鈴鹿が叩いているというネタで再び爆笑に。最後の“上海ハニー”では3バンド全員がステージに集まり、沖縄のカチャーシーを踊ろうと、RYOが客席に手の動きを伝授。会場全体が、波のように優雅に揺れる美しい人の海となっていく光景は圧巻だった。(岸田智)

『MUSIC TAGS vol.3~先輩、宜しくお願い致します。~』@Zepp Tokyo

●セットリスト

《夜の本気ダンス》
01.WHERE?
02.Bitch
03.By My Side
04.fuckin’ so tired
05.戦争

《KEYTALK》
01.FLAVOR FLAVOR
02.パラレル
03.YURAMEKI SUMMER
04.桜花爛漫
05.コースター
06.エンドロール
07.バイバイアイミスユー
08.MABOROSHI SUMMER
09.太陽系リフレイン
10.MONSTER DANCE

《ORANGE RANGE》
01.JIN JIN
02.祭男爵
03.お願い!セニョリータ
04.おしゃれ番長
05.トーキョーガールズコネクション
06.シティボーイ
07.SUSHI食べたい
08.イケナイ太陽
09.鬼ゴロシ
10.キリキリマイ
(encore)
11.ロコローション
12.上海ハニー
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