全国11ヶ所を巡るMY FIRST STORYの全国ワンマンツアー「WE ARE NOT ALONE TOUR 2015」のファイナル公演。開演時刻を少し過ぎた頃、Zepp Tokyoのフロアは突如暗転。大歓声が沸き起こるなかステージを覆う紗幕に映し出されるのは、カウントダウンしていく数字と、Hiro(Vo)/Sho(G)/Teru(G)/Nob(Ba)/Masack(Dr)のシルエット。「史上最強の景色見せてやる!」というHiroの絶叫を機に幕が落ち、“ALONE”炸裂! むせかえるような音圧が、フロアを満たす人々の耳と目と心を一切残さずかっさらっていく。MVをもとに制作された映像、ステージ前方で上がるスモーク&炎、上空を行き交うレーザー光線。初っ端からフル動員の演出と、それらを決して「大袈裟」と感じさせないほどスケールのデッカいバンドの音に、オーディエンスも興奮必至。モッシュやクラウドサーフ、ヘドバンが入り乱れてフロアはもうぐっちゃぐちゃだ。
「お前らが『WE ARE NOT ALONE TOUR』のファイナルを作ってくれ! お前らひとりひとりに言ってんだよ!」(Hiro)と熱く煽り数々のハイライトを生み出した前半戦。本ツアーでのライヴ写真を使用したスライドショーを挟み、“Still”以降の3曲はアコースティックスタイル(Hiro、Sho、Teruの3人編成)で披露された。一際優しいアコースティックギターの音色と、このスタイルだからこそより伝わってくるHiroの歌の息遣い。先ほどまで大きく身体を動かしていたオーディエンスたちもじっと聴き入っているようだ。「僕自身捻くれた人間なので『絶対に夢は叶う』とか『君のことを信じてる』とか信用できなかった。でも徐々に変われました。ここには自分を受け入れてくれる人が3000人もいる。みんなが普段溜めている想いを一瞬でも忘れてくれれば満足です」。そうHiroが笑い、“「花」-0714-”へ。まっすぐな愛が響く曲にバンドの演奏が丁寧に重なっていく。
“monologue”が鳴り響くなか、「証明してやるよ、俺らがナンバーワンだってことを!」という堂々たる宣言にこの日一番の歓声が轟いたところでライヴは終盤へ。Hiroがマイクを掲げ、オーディエンスに歌を託した“虚言NEUROSE”、開放感たっぷりのサウンドともに《I will be Forever with you》と歌う“失踪FLAME”と、先のMCでも触れたオーディエンスへの「信頼」を体現するような場面が続く。HiroがかつてこのZepp Tokyoでワンマンを観たという、マイファスを組むきっかけにもなったというバンドへ“Someday”“Calling you”を捧げ、ラストは“不可逆リプレイス”。こんなライヴを食らったあとだ、「いつか一緒に行こうよ、武道館!」という言葉が実現する日も遠くないと感じた人も少なくないのでは。ツアーを振り返っての感想を語りながらも「楽しかったよね」と顔を見合わせるメンバーの様子からも「今」の充実っぷりが伝わってきたアンコール。この日のラストを飾ったのは“ALONE”。「最初からやり直そうぜ、Zepp Tokyo!」と同じ曲を2度もやるところは相変わらず彼ららしくて憎めないが、ライヴの始まりも終わりも任せたくなるほどかけがえのない曲なのだろう。《We are not alone》というフレーズがバンドを強くさせたのだという証明のような夜だった。(蜂須賀ちなみ)
●セットリスト
01.ALONE
02.The Story Is My Life
03.最終回STORY
04.FAKE
05.Awake
06.Zero Gravity
07.Black Rail
08.Still
09.21 Miles
10.We Are Never Ever Getting Back Together
11.「花」-0714-
12.monologue
13.虚言NEUROSE
14.失踪FLAME
15.モノクロエフェクター
16.Someday
17.Calling you
18.Second Limit
19.不可逆リプレイス
(encore)
20.Take it Back!!
21.ALONE