RIP SLYME@日本武道館

RIP SLYME@日本武道館
おなじみ、開演前のカウントダウンのアナウンスは、「10 minutes to go」あたりで会場中がそわそわし始め、「1 minutes to go」で全員スタンダップ。「30 seconds to go」で客電が消え、10カウントのカウントダウンに合わせてメンバーがステージに登場。メンバー全員、ハンディライトを持ち会場中を照らしながら動き回る姿に、客席は一気に沸き立つ。今回のツアーは、10枚目のオリジナルアルバム『10』を引っ提げての全国ホールツアーで、この日はツアー20公演目にして千秋楽。アルバムの1曲目を飾る〝Powers of Ten″でライヴはスタート。

「さっそくですが、いきなりゲストを紹介します!」と2曲目で早くもゲストのchayが登場。キュートにパンチの効いたフックでさらに盛り上げる。曲はもちろん〝JUMP with chay″。「まだまだジャンプできますか?」とRYO-Zが煽れば、アリーナの観客は一層高いジャンプで応える。続く〝POPCORN NANCY″では、総勢18人のダンサー「ナンシーズ」が現れ、DJ FUMIYA含むメンバー全員が揃いの振り付けを披露。すぐに真似できるゆるくて楽しい振り付けは、またたくまに会場中に広がっていく。なんだかすでにこの日のハイライトかのような盛り上がりとハッピー感なのだが、まだ3曲目じゃん。なんて思っていたら、お次はキラーチューン〝楽園ベイベー(DJ Fumiya Remix)″と容赦なく畳み掛ける!

中盤は、「ツアー千秋楽でございます。最後まで燃え尽きることができますか? 知らない曲がかかっても知ったかぶりできますか! あらためまして、俺たちのキングダムへようこそ!」と〝KINGDOM″、そして〝メトロポリス″〝だいたいQuantize″と、アルバム『10』からの曲を連発。そして「ここらで懐かしいROCKなナンバー」と〝Rock it! ″へ。SUとILMARIの低音のヴァースが映える。さらに「もっともっとストンプしてもらっていいですかー!」と、〝TOKYO STOMP″へ。SUが「右足、左足、ストンピン、二階席もできるかな?」と振りをレクチャーしつつ「あんまヘタだと、真ん中の足出すよ?」と、相変わらずの下ネタをはさんでくる。「Say Ho!」のコール&レスポンスの中、そのままの流れで〝STEPPER’S DELIGHT″。なんとも粋なつなぎに一際大きな歓声が上がる。

メンバー紹介のくだりでは、赤いつなぎを着たRYO-Zが「(赤は)関ジャニで言えば誰?」と客席に問いかけると、客席からは「すばる君!」の声。「すばる君だ!俺の大好きな!」となぜか喜ぶRYO-Z。すかさず「すばる君だ!」の声を速攻サンプリングしたFUMIYAが「すばる君だ!すばる君だ!すばる君だ!」と連射。SUがコロコロチキチキペッパーズの「やっべぇぞ」の物まねをしたときも、FUMIYAはばっちりサンプリングしてトラックに乗せて繰り出すと、「ブランニューシングルは〝やっべぇぞ″。カップリングは〝すばる君だ!″で」なんて、メンバー同士で盛り上がっている。このかけあい、最高。もう笑いすぎてお腹痛い。

中盤にさしかかり、ヨースケ@HOMEがブルースハープとウクレレでゲスト参加した〝気持ちいいfor Men″でゆったりとした横揺れを楽しんだ後は、〝黄昏サラウンド″を披露。フォーキーなサウンドにレゲエアレンジのトラックがインサートされ、とても心地好い時間が流れる。続けざまにダンスホールレゲエのようなラップから〝One″が始まり、PESが会場にマイクを向けると客席は完璧なシングアロングで応える。帽子をとって感謝の気持ちを伝えるPESに思わずグッとくる。そして、3人目のゲスト宮原永海が登場すると、またもや『10』から〝青空″を披露してくれた。RIP SLYMEの抑えめのラップに彼女のスウィートな歌声がマッチし、さわやかな切なさを感じさせる名曲。生での演奏はまた格別だった。

SUの「テメエら、揺れたいのか? 遊ばれたいのか? やい、ハマケン!」という渋い口上で呼び込まれた4人目のゲストは、浜野謙太(在日ファンク)。〝Vibeman feat.在日ファンク″で、とびきりファンキーなトラックに乗せてグルーヴィーなシャウトを存分に聴かせる。最後はJB直系のダンスとステップを披露し、嵐のように去っていった。いよいよ終盤。〝JOINT″では恒例の客席&ステージ一体となってのタオル回し、「アリーナ、1階席、2階席、全員でデカイ声を出してくれー!」と、金テープが噴射され、もちろんサビは大合唱。その後は、今日のライヴ、そして今回のツアーを噛み締めるかのような〝時のひとひら″でエンディングを迎えると、名残惜しさが会場中に広がった。

アンコールでメンバーがそれぞれ歩いてステージに出てくる中、ILMARIは最後にセグウェイ(ハンドルなしタイプ)に乗って登場! 颯爽とメンバーを追い越すつもりがうまくスピードに乗れず、しかもバランスを崩して転ぶとか、何やらグダグダな展開。あれ、セグウェイってこんなに遅かったっけ?と、見かねたPESがトライ。さすが「波乗りをこよなく愛する男」とRYO-Zが言うように、素晴らしいバランスで軽快にステージ上を移動。その様子を見て自分のふがいなさに激しく落ち込むILMARI(笑)。「俺、今すげえやなんですけどーー!!!」とボヤく姿に会場中が大爆笑。「ILMARI君、(ラップで)取り戻そうよ」とRYO-Zがやさしく声をかけると、「じゃあ俺、一番手に歌うやついくわ」と返す。「しかも、今の失敗をかき消すくらいのやかましいやつね」と再びRYO-Zが提案し、客席に「やかましくしてくれますか!」と問いかける。観客はそれに応えて大スクリーミング。そして始まったのが〝Super Shooter″。宣言通りILMARIがキレのいいラップで取り戻し、会場全体が大揺れ。そう、この緩急こそRIP SLYMEの真骨頂!

アンコールのラストでは〝この道を行こう″を披露。この曲は、RIP SLYMEとしての静かな決意を歌った名曲である。《さあ行こう/先は長い》の言葉がゆっくりと沁みてくる。楽しすぎて幸せすぎる2時間40分はあっという間に過ぎた。FUMIYAのスゴ腕DJぶりを改めて目の当たりにしたり、4MCの声のバランスの良さにニヤリとしたり、トークで大爆笑させられたり、やはり、RIP SLYMEのライヴは極上のエンターテイメントなのだ。(杉浦美恵)

●セットリスト
01.Powers of Ten
02.JUMP with chay
03.POPCORN NANCY
04.楽園ベイベー(DJ Fumiya Remix)
05.SCAR
06.KINGDOM
07.メトロポリス
08.だいたいQuantize
09.Rock it!
10.TOKYO STOMP
11.STEPPER’S DELIGHT
12.AH! YEAH!
13.気持ちいい for Men
14.黄昏サラウンド
15.One
16.青空
17.いつまでも
18.Happy Hour
19.ピース
20.SLY
21.Vibeman feat.在日ファンク
22.Good Times
23.JOINT
24.時のひとひら
(encore)
25.Super Shooter
26.熱帯夜
27.この道を行こう
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