TOTALFAT@新木場スタジオコースト

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「バンドを組んで15年。俺たちの目の前に広がっている景色は、今までで一番いい景色です!」。ライヴ終盤、むせ返るような熱気あふれる満場のフロアにそう語りかけたShun(Vo/B)。汗だくになったキッズたちから力強い拳が突き上がり、バンドとオーディエンスの固い共闘関係が結ばれていく――。

昨年7月に最新アルバム『COME TOGETHER, SING WITH US』をリリース後、夏フェス、対バンツアー、台湾公演とライヴを重ねてきたTOTALFATが、満を持して挑んだワンマンツアーの最終日。半年以上にわたって鍛え上げてきた最新アルバムの楽曲がダイナミックに花開いただけでなく、スペシャルな演出やゲスト満載のステージで、結成15周年の集大成と呼ぶにふさわしいすざまじい熱狂と歓喜に満ちた夜だった。

TOTALFAT@新木場スタジオコースト
機材トラブルにより開演が押したこの日。予定より30分ほど遅れて暗転&SEが鳴り響き、ステージ背後にTOTALFATのバックドロップがせり上がった途端、4人の登場を待ちわびたオーディエンスから熱い歓声が沸き起こる。「待ちすぎてウズウズしちまったぜ!」(Shun)。「歴史的な一日にするぞ!」(Jose/Vo・G)という雄叫びから“Moment of the Show Getting “CRAY””に突入すると、満場のフロアに燦々と降り注ぐJose&Kuboty(G/Cho)のギターサウンド。その後も、オーディエンスの盛大なクラップやOiコールを大きな突破力に変えながら、4人は眩い光の中へと飛び込んでいくような勢いで、次々と最新アルバムの楽曲を叩きつけていく。

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Bunta(Dr/Cho)の祭り太鼓に乗せてフロア中のタオルが旋回した“夏のトカゲ”、孤独にもがく全ての人々の心を優しくノックするような“Walls”、Joseの高速ライムとともに階段をじわじわ上がっていくような“Let It Die ~Come & Get It~”など、聴き手の心と身体の両方に作用しつつもその全てを原始的なダンス熱に昇華させてしまう楽曲の力が凄まじい。それだけで絶頂に達するには十分すぎるほどなのに、“The Saviour”では音源にも参加したZeebraが、 続くBuntaのドラムソロでは盟友・DJ SN-Zがゲストとして現れ、未曾有の狂騒感にダメ押し。一縷の隙もないタイトな演奏とライヴ運びによって、場内の快楽レベルを鮮やかに更新していくさまには目を見張るものがある。

TOTALFAT@新木場スタジオコースト
もちろん、それら1曲1曲には濃密なメッセージが宿っており、“Trend Beat Maker”では時流に左右されないという覚悟に満ちあふれた荘厳な音像が、“We Sing Everyday For Hometown”では世界平和を願うようなピースフルなシンガロングが響きわたる。さらに、「半年間(ライヴの)旅をしてきた今の俺たちにピッタリな曲です」(Shun)と告げ、ShunとJeseの2人で“The Naked Journey”をアコースティックギターで弾き語り、4人のアコースティック編成による“BxAxSxMxT”へと繋げたシーンはとてもドラマティックだった。TOTALFATの楽曲が聴き手をひとり残らず笑顔に変えることができるのは、サウンドの訴求力のみならず、そこに潜む熱いエモーションの賜物であることを強く認識させる珠玉のパートであったと言えよう。

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往年のキラーチューンをメドレー形式で披露し、Kubotyのギターソロでフロアを沸かせた後は、“PARTY PARTY”から待ったなしの徹底攻勢! 冒頭に記述したShunの言葉を合図に、上半身裸になったBuntaのジャングルビートはさらに熱を帯びていき、“Good Bye, Good Luck”“Overdrive”“宴の合図”を怒涛の勢いで叩きつけていく。そして、Dragon AshのATSUSHIが登場し、華麗な舞いを披露した“This Life”で本編終了。

TOTALFAT@新木場スタジオコースト
4月2~3日の「PUNKSPRING 2016」では初のヘッドライナーを務める彼ら。アンコールでは、それを記念して作られた新曲“ONE FOR THE DREAMS”が初披露された。お馴染みのSEをアレンジしたこの曲は、アリーナクラスの大会場で鳴り響くことを想定した壮大なアンセム。初披露にもかかわらず、一糸乱れぬシンガロングを導き出したこの曲に、TOTALFATの輝かしい前途を予感せずにはいられなかった。4月5日には、結成15周年イヤーを締め括る1夜限りのワンマンライヴ「TOTALFAT 15周年おつかれっしたファイナルパーティ」を1年前と同じ会場・下北沢GARDENで開催することも発表。愛すべきファンや仲間とともにバンド史上最大の祝宴をブチ上げたこの日のライヴを節目として、TOTALFATは今後も果てしなき旅路を歩んでいく。(齋藤美穂)

●セットリスト
01. Moment of the Show Getting “CRAY”
02. Ride Your Life
03. Run to Horizon
04. 夏のトカゲ
05. Walls
06. Let It Die ~Come & Get It~
07. The Saviour feat. Zeebra
08. Room45
09. Trend Beat Maker
10. We Sing Everyday For Hometown
11. The Naked Journey(アコースティック)
12. BxAxSxMxT(アコースティック)
13. メドレー(World of Glory/Summer Frequence/Highway Part2/DA NA NA)
14. PARTY PARTY
15. Just Say Your Word
16. Good Bye, Good Luck
17. Overdrive
18. 宴の合図
19. This Life feat.ATSUSHI(Dragon Ash)
(encore)
20. ONE FOR THE DREAMS
21. Place to Try
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