miwa@日本武道館

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年明けにリリースされた『miwa ballad collection~graduation~』を携え、全国18公演で巡る卒業シーズンのツアー。ミワ(3/8)、サンキュー(3/9)の日で迎えた武道館2デイズの2日目、ファイナルの模様をレポートしたい。映像配信サービスdTVでの生配信も行われたので、ご覧になった方も多いだろう。開演時間を迎え場内が暗転すると、お馴染みのバンドメンバーであるバンマス・eji(Key)、いくちゃんこと生本直毅(G)、オバタコウジ(G)、ゆーこーこと柳野裕孝(B)、よっち(Dr)、まゆみっくすこと藤田真由美(Cho)、そしてNonaこと岩村乃菜(Percussion/Cho)が姿を見せて位置に着く。

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SEもなくポエムの朗読が聞こえると、中央でejiが奏でるグランドピアノの美麗な旋律に導かれるようにして、ステージ上手側の階段状になった部分から、ドット柄の白いワンピースを纏ったmiwaが歌いながら降りてくる。穏やかではあるけれど、その凛とした響きが、直前までざわめいていたオーディエンスの集中力を一気に駆り立てる感触があった。その“めぐろ川”では、背景に桜舞う目黒川の情景が映し出され、miwaの足元の階段にも川の流れが映り込んでいて美しい。続いて、サッカー部マネージャー視点のポエム(神戸公演も観たのだが、事前に募集していたmiwa楽曲ゆかりの“泣けるポエム”は、公演ごとに異なるポエムがセレクトされている)が心を込めて朗読され、青春の情景を呼び起こす豊かなサウンドで“ホイッスル ~君と過ごした日々~”が届けられるのだった。

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満面の笑顔で挨拶するmiwaは、ツアーファイナルの感慨や、多数寄せられたポエムから朗読するものを選ぶのが難しかったということを語り、「いろんな思い出を重ねてくれたら嬉しいです。浸ってくれてもいいし、泣いてくれてもいいし。そしてその思い出に、私もふっと登場できたら、嬉しいです」と告げる。バラードコレクションのツアーと言えども、景気の良いバンドサウンドに煽られ熱い歓声を集めた“Chasing hearts”や、コール&レスポンスから傾れ込む“春になったら”のように、元気印のmiwaナンバーも健在だ。今回の武道館公演に、学生が多く来場していることを確認して、miwa自身も学生時代の頃に書いた楽曲を披露しながら学生生活を振り返ることを約束すると、ここからは座席に座って聴いてください、と促す。「失礼しまーす!」と元気よく返答する運動部ボイスが可笑しい。

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学生生活の終わりについてのポエムが切々と朗読され(さすがに近年はナレーターとしても活躍するmiwaである)、校舎内に反響するざわめきやチャイムのSEに続くのは、アコギ3本でフォーキーに織りなす“friend ~君が笑えば~”。ejiの鍵盤ハーモニカや、まゆみっくすのリコーダーの音色がノスタルジックな味わいを添えてゆく。父と死別したファンから寄せられた、思い出を特別な時間にしてくれた楽曲、というポエムの後に披露されたのは“月食 ~winter moon~”。まさに大切な時間を慈しむような演奏だ。そして、恋人との別れ、二度と帰らない時間に触れるポエム(階段上で情緒豊かなヴァイオリンを奏でるのは、ゲストの宮本笑里)に導かれて姿を見せ、オーディエンスをどよめかせるのはシンガーソングライター・ハジ→。ということはもちろん、“夜空。feat.ハジ→”である。個人的に、デュエットに触れるのは昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 15/16」以来だが、今回は三者のスペシャルなコラボとなった。

miwa@日本武道館
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神様に「勇気をください」と切望するポエムを経ると、miwa自身がグランドピアノに向き合って“片想い”を弾き語りする。ejiのグランドピアノ演奏は本当にすごいのだが、miwaの弾き語りは彼女自身の息遣いを大切にした、また別の価値をもたらす名演だ。しかも、そこに再び宮本笑里のヴァイオリンが寄り添ってくる。フィニッシュ直後に大喝采を浴びて、ふたりが「美しすぎる」という感想の応酬で笑いを誘うと、あらためてハジ→も呼び込んで「どうですか、武道館」「ハジ→めてなんですよ!」と語って、ここで一転、全員参加の賑々しい“ミラクル”がテープキャノンと共に弾けるのだった。“ヒカリへ”は、下手側の床に設置されたミラーボールに照明を集める演出が美しく、また紗幕スクリーンを用いて、miwaに光や星々が降り注ぐようなアニメーションをシンクロさせた“あなたがここにいて抱きしめることができるなら”のパフォーマンスでは、小さな命のポートレイトが次々に浮かび上がる。

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「みなさんのおかげで、今までたくさんの夢が生まれました。18歳のときにこの曲を書いてから、夢を追いかける気持ちは今も変わっていません。最後に、この曲を歌います」と披露された本編最終ナンバーは、“つよくなりたい”だ。今のmiwaの歌唱力が描くメロディからすると、当時はこれが精一杯のメロディだったのだな、と感じる。ただ、意志の強さが滲むフックのインパクトは、昔も今も変わらない。この音楽的なコミュニケーション能力の高さは、miwaの最も重要な魅力であり続けている。Tシャツに着替えてのアンコールは、振り付けをがっちりレクチャーする“fighting-φ-girls”を皮切りに、無尽蔵のエネルギーをオーディエンスと分かち合ってゆく。“ストレスフリー”が生み出す高揚感は相変わらず痛快だが、バンドメンバーを見送る際に、miwaは感極まって、笑顔のまま涙をボロボロと零した。

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そして向かうのは、ギターのソロ弾き語り“Delight (English ver.)”。終盤で日本語詞へと繋いで、気高い歌声で会場を圧倒する。《あなたが望むのなら/私を望むのなら》。そう、まさにそのために、リスナーと真っ直ぐに向き合い、ありとあらゆる努力を注ぎ込むツアーだった。この夜のライヴは映像化もアナウンスされていたので、ぜひ楽しみにしていて欲しい。(小池宏和)

●セットリスト

01. めぐろ川
02. ホイッスル ~君と過ごした日々~
03. Dear days
04. Chasing hearts
05. 春になったら
06. 441
07. friend ~君が笑えば~
08. 月食 ~winter moon~
09. 夜空。feat.ハジ→ (with 宮本笑里、ハジ→)
10. オトシモノ
11. 片想い (with 宮本笑里)
12. ミラクル (with 宮本笑里、ハジ→)
13. 君に出会えたから
14. ヒカリへ
15. あなたがここにいて抱きしめることができるなら
16. つよくなりたい
(encore)
17. fighting-φ-girls
18. ストレスフリー
19. again × again
20. Delight (English ver.)
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