THE ORAL CIGARETTES/pic by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)山中拓也(Vo・G)の声帯ポリープ摘出手術後初の全国ツアー「THE ORAL CIGARETTES 唇ツーマン TOUR 2016 ~復活・激突・BKW!!の巻~」。全10ヶ所で10組のバンドと熱演を繰り広げたツーマンツアーは、新木場STUDIO COASTにてツアーファイナルを迎えた。
THE BAWDIES/pic by 鈴木公平
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THE BAWDIES/pic by 鈴木公平この日のゲスト=THE BAWDIESは、登場するや否や「ホットドッグ、めしあがれ!」と “HOT DOG”から始まる気合い漲るセットリスト。時代劇風の小芝居のあと“NO WAY”へ突入し、“SING YOUR SONG”へ。四輪駆動が勢いよく走り出すかの如く、汗と歓喜が迸るパーティータイムが幕を開けると、オーラルのTシャツを着たキッズでぎゅうぎゅう詰めのフロアも序盤にしてドカンドカンと揺れまくる。「はじめましての人も多いかと思いますが、お祭り野郎の大宴会とでも覚えていただければ。クールなバンドだと思ったら大間違いだぞ!」というROY(Vo・B)の挨拶にも、「今日はオーラルとのツーマン、お前ら思いっきり楽しめー!」というTAXMAN(G・Vo)の男気溢れる煽りにも大きな歓声が集まった。
THE BAWDIES/pic by 鈴木公平
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THE BAWDIES/pic by 鈴木公平ここでROYによるMC。息子のように可愛がってきたMARCY(Dr・Cho)のことをオーラル・あきらかにあきら(B・Cho)が「兄貴」と呼びながら慕っていること、さらに同じ事務所の後輩であり弟分のgo!go!vanillas・牧達弥に「その日は拓也のバースデーパーティーで……」と予定をキャンセルされた経験があることを暴露。「うちの家族を取られてたまるかっ!」とオーディエンスの笑いを誘いながらも、爆発する嫉妬心とは裏腹に、“SUNSHINE”の牧歌的な幸福感へと繋げたのだった。「我々の言うロックンロールとは音楽のジャンルではなく、感情の爆発のことであります。最後にみなさんのロックンロールを飛ばして、オーラルを呼び込もうじゃないかと」「周りは関係ない! 自分のスタイルを貫いて!」と“KEEP ON ROCKIN’”で凄まじい声量のシャウトを巻き起こし、恒例の「わっしょーい!」コールで締めたこの日のTHE BAWDIES。まっすぐに向き合うバンドとオーディエンスが生み出していく熱狂はとても清々しいものだった。
THE ORAL CIGARETTES/pic by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)「初っ端からキラーチューン祭り始めてもいいですか?」という宣言通り、“起死回生STORY”でスタートしたオーラル。前傾姿勢のバンドサウンドを背負いながら「お前ら全員かかってこい!」と早速フロアへマイクが向けられると、オーディエンスも大きな歌声でお返し。それを受け止めながらメンバーも「めちゃくちゃ気持ちええわ」と笑顔を見せたのだった。人と人とがぐっちゃぐちゃに入り乱れ沸騰状態のフロア。2階席にいても少し息が詰まるほどの凄まじい熱気と湿度だ。
THE ORAL CIGARETTES/pic by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)
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THE ORAL CIGARETTES/pic by 鈴木公平この日誕生日を迎えたオーディエンスのひとりに因んで「17歳、メガネ顔!」のコールを起こした“32歳童顔”や、「女子は腹筋が割れていない方が良い」とメンバーが好みを語り合うMCなど、リラックスした調子で進む場面もありつつ、最新アルバム『FIXION』収録の“通り過ぎた季節の空で”では艶やかなメロディラインをしっとりと響かせ、“嫌い”では「お前らにひとつ問いたい。楽しいだけで十分ですか?」とその轟音でバンドの気迫を見せる。元々一色では表せない人間の濁った感情と向き合い続けてきたバンドではあるが、『FIXION』のリリースやそれに伴う今回ツアーを経て、曲それぞれが持つ色がより鮮やかに鳴るようになった印象。
THE ORAL CIGARETTES/pic by 鈴木公平後のMCで対バン相手のことを「仲間」と呼んでいた彼らだが、信頼できる相手とステージ上で本気でやり合ったからこそ、オーラル自身も自らの武器を理解し、向き合い、それを磨いていくような日々が続いたツアーになったのではないだろうか。そして「『FIXION』には留まれない」と話す彼らはここで初解禁の新曲も披露。数曲分のアイデアを詰め込んだんじゃないかというほど多展開のこの曲は、これまでのオーラルのどの曲にも似ていない。それでも、濁流のような展開を経て最後には力強く光を手繰り寄せるようなこの曲は、酸いも甘いも噛みしめながらも進むことを決して止めないバンドの現在と未来を映し出しているようだった。
THE ORAL CIGARETTES/pic by Viola Kam (V'z Twinkle Photography)THE BAWDIESの“SING YOUR SONG”のサビが鈴木重伸(G)の呼び名「しげさん」に聞こえる、ということで「しげさーん♪」のコール&レスポンスを起こしたアンコールでは、本編では演奏されなかった計6曲をひとつにまとめたメドレーも披露。3時間超の濃密なライヴのラストを飾ったのは、目の前の「君」との繋がりを願う“Everything”だった。「いつ悪いことが起こるかなんて誰にも想像がつかないけど、そのときにどれだけ這い上がれる力を持ってるかが大事で。だけどそれはひとりだけの力ではありません」――自分たちは周囲の仲間やファンのおかげで今日もステージに立てていること、だからこそ仲間と肩を組みながらシーンを盛り上げたいんだという意志を伝えるため、復帰後初のツアーをツーマン形式にしたのだと語っていた山中。この日のステージで彼らが見せたのは、「仲間」をまるごと引き連れながら次へと向かっていくんだという決意に他ならなかった。4月からはワンマンツアーも始まるし、ツアーファイナルには地元・奈良でのホールワンマンも控えている。オーラルと共に見る次なる景色に想いを馳せながら、引き続き彼らを追いかけていきたい。(蜂須賀ちなみ)
pic by 鈴木公平
pic by 鈴木公平●セットリスト
・THE ORAL CIGARETTES
01. 起死回生STORY
02. A-E-U-I
03. Mr.ファントム
04. STARGET
05. MIRROR
06. モンスターエフェクト
07. 32歳童顔
08. 通り過ぎた季節の空で
09. マナーモード
10. 嫌い
11. 気づけよBaby
12. mist...
13. 新曲
14. カンタンナコト
15. 狂乱 Hey Kids!!
(encore)
16. メドレー(大魔王参上、N.I.R.A、机上の空論に意味を為す、ハロウィンの余韻、See the lights、エイミー)
17. Everything