あと、何が驚いたって、というか、何が懐かしかったかって、電気が限りなく素に近い状態でステージに立っていたこと。『A』リリース以降ぐらいからだと思うけど、ステージ上の電気は、シリアスにストイックに、音楽に殉じる人達になっていた。だらだらしゃべったりぐだぐだしたりする姿をステージで見せることがなくなった。より正確に言うと、『VITAMINE』『DRAGON』でそうなって、『ORANGE』で一瞬ぐだぐだありに戻りかけたけど、『A』からさらに輪をかけてシリアス&ストイックに戻った、というような感じだったかもしれない。『VOXXX』を笑いのアルバムだ、ライヴもそうだった、と見なす人もいたけど、僕にはまったくそう思えなかったし。あれは笑いというより狂気のアルバムだったし、面白いというより怖いアルバムだった。
それが、今日は昔に戻っていたのです。もうライヴの度に「今回は何を見せるべきなのか」とか考えて構えなくてもいいや、素に近い状態でステージに上がればいいや、という気分に、今の2人がなっているかもしれない。1日きりのライヴだったから、「今日は特別、番外編」みたいな、お祭り気分というか宴会気分なものが、ちょっとあったのかもしれない(卓球、明らかに飲んでたし)。
そのへんの真相は今後の電気を追わないとわからないが、で、電気が素になるとどうなるのでしょうか。ものすごく面白くなるのです。要は、ここ数年……いや、10年ぐらいの電気のライヴというのは、言ってみれば『オールナイトニッポン』をやっていた電気や『メロン牧場』でしゃべっている電気を切り捨てた形で行われていたんだけど、今日はそこも込みでのライヴだったのだ。MCでしゃべるしゃべる、2人とも。で、いちいち死ぬほど面白い。ほんとに『オールナイト』の頃のあの感じ。終演後、キューンレコードの社長に、「よかったですねえ」と言ったら、「うーん、よかったっていうか、面白かった!」と答えられた。それが一番的を射た感想だった気がする。今後のライヴ予定は未定。またすぐ観たい。
それから、卓球もMCで告知してくれましたが、『電気グルーヴの続・メロン牧場 上巻・下巻』、明日発売です。本日、リキッドルームのロビーで先行発売したところ大好評でした。まだの方、ぜひ。血を吐くほど笑えます。(兵庫慎司)
<セットリスト>
1. Mr.Empty
2. 完璧に無くして
3. Expo Hiroshima
4. ZooDesire
5. 半分人間だもの
6. モノノケダンス
M.C.
7. スーパースター
8. 少年ヤング
9. ガリガリ君
10. BBE
11. ママケーキ
M.C.
12.NO
13.カメライフ
14.Cafe de 鬼(カガミmix)
アンコール
M.C.
15.Cafe de 鬼(顔と科学)