今夜のゲストは北海道発、ノーザン・ハードコアの雄:SLANG(ツアー最大キャパのハコにこんな濃ゆいアクトを呼んでしまうところに、ファイナルに賭けるlocofrankの並々ならぬ意気込みとSLANGへのリスペクトを感じました!)。さすがは歴戦のライブ・バンド、意識を歪ませるようなツイン・ギターの低音リフと怒涛の重量級ドラム、そしてドスの効いたスクリームが織り成す衝撃値は並大抵のもんじゃない。強面のストロング・スタイルなステージにただただ圧倒されて立ち尽くすオーディエンスも少なからず見受けられたが、フロア前方ではサークル・モッシュも勃発。その存在を強烈なインパクトでもって観衆の眼に焼き付けたSLANGだった。
時刻が20時になろうかという頃、突然に場内が暗転。と同時に、2,800人のオーディエンスから怒号のような歓声が沸きあがった。盛大なOiコールと手拍子に迎えられ、意気軒昂に登場したlocofrankの3人。Idol Punch・Racco画伯によるイラストを刻んだ巨大なバック・ドロップを背に、“little wish”、“My own place”と速射砲的にメロディック・チューンを投下していく。情感も豊かにバツグンの声量で歌い上げる木下、飛んだり跳ねたり足を蹴り上げたり、デカいアクションでギター弾き倒す森、鼻っ柱の強いリズムをドカドカと叩き出す笹原――それぞれの持ち場で持ちうる限りのエネルギーを一音一音に注ぎ込み、ペース配分ファッキン度外視で突っ走るロコ。「ようこそ!来たで、もう終わりやで。今日はやってしまおう。余計なこと考えんでエエ、最高のライブを作ろう!!」と木下のMCもアツい。キッズも負けじと激烈なモッシュ&ダイブで応戦(フロアのそこここで同時多発的にヘッド・サーフが巻き起こる様はマジ圧巻っ!)。そのような熱狂のもと、「BRAND-NEW OLD-STYLE TOUR 2008」ファイナルはいささかの弛緩も停滞もなく、まさしく\"全編がクライマックス\"と言える80分となった。
なかでも中盤の“RISE AND FALL”→“START”、そして終盤の“Recall”→“It’s Over”→“across time”と、リミッター振り切って果敢に未体験ゾーンへと踏み込んでいった怒涛の連打にシビれまくった。間違いなく、locofrank史上最高値と言える\"魂の露出度\"だったと思う。すべてを曝け出すバンドだからして、オーディエンスからのリアクションも忌憚なくダイレクト。時には「まだまだ足んねーぞ!」という挑戦的な声援も飛び交い、そんなバンドとオーディエンスのガチンコな拮抗のもと、ダブル・アンコールの“STORY”までCOASTの熱量は幾度となく更新されていくのだった。
なぜlocofrankのライブはこんなに楽しくも死にもの狂いで、生き急ぐようなエネルギーに溢れているのか?その問いにダブル・アンコールで木下自らが答えていた――「1回でもいいから生きた心地がしたい…・・・死ぬまでに1回でも多く、心の底からそう思いたい。俺たちはそんなバンドです。生きた心地がしたかったらライブ・ハウスでまたお互い成長して会おう!」。燃焼し切ってほとんど足元もおぼつかないほどだが、去り際に何度も「ありがとうございました!」と感謝を告げ、深々とお辞儀を繰り返すメンバー。普段はおバカで調子のいい連中だけれど、ホント、どこまでも律儀で実直な3人なんだよなあ。だからこそ信頼するに足るパンク・バンドだし、これからも生の実感を求めて全力で突っ走っていくのだろう。ツアー終わったばかりで気は早いけれど、locofrankの“ネクスト”に今から期待大っす!(奥村明裕)