0. 悪戯されて
1. ダーリン
2. 本当は怖い愛とロマンス
3. 悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)
4. 鏡
5. 飛べないモスキート(MOSQUITO)
6. エロスで殺して(ROCK ON)
7. 東京ジプシー・ローズ
8. SO WHAT?
9. それ行けベイビー!!
10. 月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)
11. 愛のプレリュード
12. 大河の一滴
13. あなたの夢を見ています
14. 傷だらけの天使
15. Yin Yang(イヤン)
16. メンチカツ・ブルース
17. 風の詩を聴かせて
18. JOURNEY
19. 君への手紙
20. 真夜中のダンディー
21. ROCK AND ROLL HERO
22. 波乗りジョニー
23. EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~
24. ヨシ子さん
ENCORE1. 幸せのラストダンス
ENCORE2. 白い恋人達
ENCORE3. 祭りのあと
開演と同時にスクリーンに映し出されるのは、広末涼子が出演した“悪戯されて”の歌謡サスペンスビデオ。豪奢な階段状セットに姿を見せたタキシードの桑田佳祐が、このムード歌謡を切々と歌い出す。段上には河村”カースケ”智康(Dr.)、竹下欣伸(Ba.)、山本拓夫(Sax,Flute)、西村浩二(Tp.)、片山敦夫(Key.)、深町栄(Key.)、佐藤嘉風(Cho.)、TIGER(Cho.)、斎藤誠(G.)というバンドメンバーが横並びとなり、フルートを奏でる山本以外はポーズを決めてコーラス参加していた。
さて、初日の緊張を正直申告しながらの“鏡”では歌詞を飛ばし苦笑いしていたが、詩人・桑田佳祐が炸裂する“飛べないモスキート(MOSQUITO)”、先鋭的なジャズ/ロックのアンサンブルをもって力強く描き出す“東京ジプシー・ローズ”(ギターとフルートの絡みが凄い)や“SO WHAT?”では、往年の楽曲群が2016年現在のアートとして刺激をもたらす。ピアノを核に重厚なサウンドで届けられる“月光の聖者達”も、音楽と共に年齢を重ね、時代の移り変わりを見つめる心情をじっくりと浮かび上がらせていった。
駄洒落混じりの“メンチカツ・ブルース”を熱唱した後には、初代・林家三平よろしく「どーもすいません」の台詞を残し、最近は周囲のスタッフにも、若くて、頭の回転が早く知識も豊富なスタッフがたくさんいる、と女性スタッフ1名をステージに招いて紹介する。そして柔らかなアコースティックサウンドの“風の詩を聴かせて”や“JOURNEY”を披露すると、いよいよ“君への手紙”だ。入場時に配布されていたリストバンド型の「年の瀬ライト」が一斉に煌めき、《ひとり 夢追って 調子こいて/こんな男のために/小粋なバカが集まったな》の歌に揺れるのだった。
そして本編クライマックスは、“真夜中のダンディー”、“ROCK AND ROLL HERO”と、毒っ気を帯びた極上のロックソングが連発される。“波乗りジョニー”では水着のセクシーダンサーや巨大バルーンも投入されて最高潮だ。そこから、ギラついたエレクトロサウンドが絡む“EARLY IN THE MORNING ~旅立ちの朝~”を経由し、記憶とエロス、反骨心を煮詰めた恐るべきナンバー“ヨシ子さん”へと持ち込む。音楽カルチャーのトレンドについていけないフリをしながら、これこそ世界にも類を見ない最先端のトリップ/ダンスチューンだろう。力士や、幽霊(?)のヨシ子さんもステージに登場する、混沌としたサイケデリアの凄まじいパフォーマンスだ。