HAWAIIAN6 @ 新木場スタジオコースト

「特別なことは何もしません。だけど、特別な夜にします!」。ショウの途中で、ドラムのHATANOがMCでこう言っていたけれど、まさにそんな夜だった。昨年11月から行なわれている最新作『RINGS』を引っ提げたツアーの67公演目となるファイナル。会場となった新木場スタジオコーストは超満員。けれど、着飾った雰囲気などまったくない。日本人の琴線に触れる歌謡曲を彷彿とさせる旋律、そんなグッド・メロディーを持ったメロディック・パンクが連射の如く披露されていくだけだ。しかし、このバンドの場合、そうしたストレートなパフォーマンスこそライブ・ハウスで培ってきたものであり、だからこそ常にモッシュ・ピットを揺らし続けることができる。

基本的にはメロディック・パンクの楽しさを最上の形で提示してくれるライブなのだが、一方で彼らは自分達が言うべきだと思ったことは正面から発言する。“A CROSS OF SADNESS”前の恒例となったMCでHATANOはこう語る。「67回目の反戦の歌です。ずっと歌ってきました。だけど、歌ったところで戦争はなくなりはしないし、明日誰か死ぬでしょう。ミュージシャンは言います。戦争がなくなったらいいですね。僕たちも言います。だけど心の底ではなくならないと思っています。明日死ぬのが、あなたたちの仲間や友達ではないことを祈るしかありません」。前半はアグレッシヴな楽曲でオーディエンスを牽引し、後半は名曲連発となった2時間。特に本編最後の“The Pride”“EVER GREEN”“I BELIEVE”は圧巻。この日の会場には、昔からの彼らの写真がパネルで飾られていたのだけど、まさに10年を超える歩みの集大成を見るようなライブだった。(古川琢也)
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