All photo by Viola Kam (V'z Twinkle Photography) 04 Limited Sazabysがまだライブをしたことのない土地を巡ることを主旨とした対バンツアー「Human Communication tour」の東京編が、TSUTAYA O-EASTで行われた。この日のゲストは
yonigeと
岡崎体育だったのだが、GEN(B・Vo)も今回のブッキングを自画自賛していたように、とてもバランスの良い3マンだった。3組同士の面識はあったもののこうしてツアーに呼んで呼ばれて対バンをするのは実は初めてとのことだったが、ぎこちなさや恐縮した様子は一切なく、同年代らしいフラットでラフなスタイルで各々が自由に自分たちの色をしっかり出していたし、音楽がもたらす力の多様性に改めて気付かされた一夜だった。
トップバッターのyonigeは、牛丸ありさ(Vo・G)の「大阪寝屋川のyonigeです」との挨拶をきっかけに“さよならプリズナー”をプレイ。さらに、今年4月にリリースしたEP『Neyagawa City Pop』から“our time city”や、盛り上り必至のキラーチューン“アボカド”を堂々と連発。臆することなく語られる赤裸々な恋愛事情や男女間に渦巻く生々しい感情を独特の言い回しで歌い上げられるその曲たちに、身体を揺らし手を挙げて反応するオーディエンスもいれば、まるで自分の恋愛を重ねているかのようにじっと聴き入るオーディエンスもいた。
“さよならアイデンティティー”の≪愛していた/恋していた/無理していた≫のように、思わず目を背けそうになる核心を遠慮なく突いてくる彼女たちのサウンドに丸裸にされたような気持ちになりながら、ラストの“最愛の恋人たち”に至るまで耳も心も掴まれっぱなしだった。
テクノテイストの“Explain”に乗って登場したのは、2番手の岡崎体育! お立ち台とパソコンのみがセットされた至ってシンプルなステージに岡崎が現れた途端に沸き上がった歓声には、今日の彼は一体どんなパフォーマンスを繰り広げてくれるのだろうか?というオーディエンスの期待感が満ち溢れていた。
そんなフロアの高揚感をさらに高めるように、「もう夏フェスシーズンですけどどっか行きました? あ、ロッキンですか?どうせB’z観たんでしょ?」と先日の
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017での自身のアクトに触れつつ、「そこでのお客さんのノリ方でひとつ気になったことがあって……ウォールオブデスってあるじゃないですか?」というフリから“Walk Of Death”をプレイ! ラストには会場全員でのシンガロングとヘドバンを巻き起こした“Q-DUB”を爆裂投下! 渾身のネタの猛攻を終始食らった結果笑い過ぎて涙が止まらなかったし、アクトが終わった時には腹筋が痛かった。「2ちゃんねるでは死ねとか言われてる」と話して笑いを取ってこそいたが、彼の音楽やライブを観ると音楽で腹の底から笑ってノッて、終わった頃には嫌なことなんてどうでもよくなるくらいに頭がすっきりしていた。そんなステージに、ライブの新たな可能性を垣間見ることができたのだった。
そしてラストに登場したのは、主催の04 Limited Sazabys! メンバーが登場するや否や上がった特大の歓声の勢いに乗って“Letter”を伸びやかに歌い上げたGENは、「『Human Communication tour』東京編、始めまーす!」と開会宣言を高らかに放った。そこからの“climb”、“fiction”、さらに“escape”という爆裂ツービートチューンを畳みかけてくるもんだから、フロアはしっちゃかめっちゃかのお祭り状態! 二階席にまで立ち上ってくるむわっとした熱気がフロアの爆発力を物語っていたし、そんな強気な序盤を終えた後のMCでGENが「今回リリースを伴わないツアーなので、オールタイムベスト的なライブになっています!何が飛び出すか分からないから、臨機応変に対応してね」と自信に溢れた様子で語ると、そのまま“days”やコール&レスポンス巻き起こした“labyrinth”、さらに豪快なKOUHEI(Dr・Cho) のドラミングに目を奪われる“ghost”を遠慮なくぶっ放した。
そんな自由度の高い今回のツアーを経て新たな出会いや発見があったことを振り返り、自分の為に始めたバンドが少しずつ「誰かの為の」バンドになっているという実感を噛みしめるように語った。そしてGENは闘病中の友人がいることを告白し、「俺は言霊の力を強くしたい。生きる力がない奴は生き返らせたいし、病気だって治したい。それくらい一音一音に気持ち込めてそっち側に飛ばすんで、何か感じたらキャッチして持って帰って下さい。俺たちはまだ発展途上でこれからもっとかっこよくなる。その自信があるから!」と未来への意志を真っ直ぐ伝え、≪ただ先へ進め≫と力強く歌う“Feel”、そして音楽と共に生きる誓いを歌った“monolith”を投げかけて本編を終えた。熱望されたアンコールでは「これからも皆さんの光になれるように」と約束し、未来への期待と再会を歌った“Horizon”、“Terminal”をプレイした彼らの姿はまさしく「希望」そのものだった。
GENは「昔の曲は歌詞が暗いけど、最近は明るい曲も書くようになったでしょ?」と話していたが、彼らが迎えたそんな前向きな変化は、今回のツアーのように未踏の土地へ赴くことを決め、そこで新たな人と出会い、さらに今まで対バンをしたことのなかった仲間とステージを共にするというその尽きぬ向上心や好奇心の賜物なのだろう。「待つより先に行動した方が、良い未来を迎えることができる」――人生におけるそんな大切なことを、この日の彼らのライブから学ばせてもらった。(峯岸利恵)
●セットリスト
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yonige01.さよならプリズナー
02.our time city
03.アボカド
04.センチメンタルシスター
05.さよならアイデンティティー
06.最愛の恋人たち
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岡崎体育01.Explain
02.Walk Of Death
03.Voice Of Heart2
04.FRIENDS
05.Q-DUB
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04 Limited Sazabys01.Letter
02.climb
03.fiction
04.escape
05.days
06.nem…
07.labyrinth
08.ghost
09.Night on
10.mahoroba
11.Grasshopper
12.imaginary
13.Feel
14.monolith
EN
01.Horizon
02.Terminal
終演後ブログ
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