宇宙まお/晴れたら空に豆まいて

宇宙まお/晴れたら空に豆まいて - All photo by 吉澤健太All photo by 吉澤健太

●セットリスト
1. UCHU TOURS
2. 満月の夜
3. つま先
4. 誰も知らない国へ
5. 逢瀬
6. 深海レストラン
7. 夜よ
8. 遠い昔の出来事
9. 未来へ(カバー曲(Kiroro))
10. 愛だなんて呼ぶからだ(新曲)
11. 百年の夢
12. ロックの神様
(アンコール)
EN1. ベッド・シッティング・ルーム


宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
ステージにはハンガーラックに秋物のコートがかけられ、まるで宇宙まおのプライベートルームに招かれたような空間が作りあげられていた。宇宙まおが初めて開催した初のひとり弾き語りワンマンライブ「Wardrobe Songs」。そのコンセプトについて、宇宙まおはMCでこんなふうに説明していた。「毎日着る服のように、死ぬまで関わり続ける服みたいに、わたしは死ぬまでうたを歌い続けていくと思う。一生歌い続けていくっていう決意が、この言葉には含まれています」と。自宅のワードローブに並ぶ音楽のように、身近で当たり前のものとして自分の音楽を感じてほしいという願いが込められたそのライブは、ギター1本と歌のみという最小限の音で構成された。それは1曲ごとに曲に込めた想いを丁寧に説明していくMCの言葉からも、宇宙まおの飾らない人柄が伝わってくるものだった。
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
「ゆったりと楽しみましょう」。フロアのお客さんも着席で聴くというリラックスしたムードのなか、最初に披露されたのは“UCHU TOURS”だった。宇宙まおの中性的な歌声が紡ぐ、どこか懐かしくて美しいメロディがフロアに優しく響き渡る。軽やかに弾むフレーズにのせて、「あんた」を追いかける恋心を鬼ごっこのような遊び心で描いた“つま先”や、大学時代にバイト先の先輩に抱いた淡い想いを丸ごと封じ込めた“逢瀬”。そういうラブソングを歌うとき、宇宙まおは「恋愛はいつでも私にとってはファンタジーです。好きな人の気持ちは空想するしかできない。知りたいような、知りたくないような気持ちもあるし、追いかけたいような、追いかけたくないような気持ちもあるから」と言っていた。そこにある切なくて愛おしい感情はたしかにリアルなのに、どこか別の世界へと連れ出すような宇宙まおのピュアなラブソングは、とても普遍的なファンタジーだった。
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
この日のライブには「眼鏡と真夜中」というタイトルを掲げられていた。昼間はコンタクトレンズで過ごす宇宙まおにとって、眼鏡で過ごすのは夜の時間帯だ。DVDを見たり、本を読んだり……それは、ひとりきりだけど、とてもワクワクする時間だという。そんな意味を込めて、この日のライブでは「夜のファンタジー」へと誘うような、新旧織り交ぜたセットリストが用意されていた。ライブの中盤、アコースティックギターからエレキギターに持ち変えた“深海レストラン”や“夜よ”などは、そのコンセプトには外せない曲たちだった。常識に縛られた現実世界から解放されて、頭のなかだけで繰り広げられる世界では、酸素ボンベなしで深海を泳げるし、羽がなくても空だって飛べる。どこまでも自由な音楽だ。
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
もともと宇宙まおは、歌うこと以上に、自分の想いを楽曲にのせること、つまり曲を作ることに衝動を感じて、音楽を始めたシンガーソングライターでもある。だから、これまでカバー曲を歌うことはなかったが、この日は初めての試みとしてKiroroのカバー“未来へ”を披露した。未来を高らかに歌い上げるではなく、《ほら 足元を見てごらん》と、語りかけるように未来へと導いてくれる名曲は、宇宙まおの声によく似合っていた。
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
「今日という日を迎えるにあたって、ライブで何を伝えたいのかを考えてみたけれど、私は音楽で何を表現したいのか、何を伝えたいのか、その謎からまだ抜け出せていません。でも、こういうもやもやを伝えるのが音楽だと思います」と言って披露したのは、新曲“愛だなんて呼ぶからだ”だった。前日の夜、眠れずに書いた出来立てほやほやの曲だという。「夢」や「愛」という言葉だけでは片づけられない人間の感情を正直に綴りながら、それでも前へ進もうとするその歌は、宇宙まおが歌をうたう理由そのものが表現されていたと思う。
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
ライブのクライマックスには、「究極のファンタジーの世界を歌います。それは死についてです」と言って、“百年の夢”を届けた。大切な人を亡くしてしまったあと、この世に遺された人の悲しみや後悔を包み込むように救いあげるそれは、宇宙まおだからこそ表現することのできる、とても繊細な歌だった。そして、ラストは「残されたものが偉大だけど、それを自分の血をとおして表現できるミュージシャンになりたいと思います」と言って、デビューミニアルバムのリード曲として収録された“ロックの神様”を披露。さらに、アンコールでは「自分の身近にあることこそ歌いたい」と気づくきっかけになった最新アルバム『ベッド・シッティング・ルーム』のなかから、“ベッド・シッティング・ルーム”を披露して、およそ1時間40分ほどのライブを締めくくった。
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて
宇宙まおがシンガーソングライターとして自分のオリジナリティを探すなかで、変わらないものと変わってゆくものがある。この日は、ひとり弾き語りライブというシンプルなコンセプトだからこそ、そんな宇宙まおの「妥協のないいま」がリアルに伝わるライブだった。「Wardrobe Songs」は、このあとも12月14日(木)に「片耳のピアス」(失恋の歌がメインだという)、年明け2月16日(金)には「休日と白いシャツ」というテーマで開催される。そのライブでも新曲を用意するという宇宙まおは、「その瞬間に感じたことを書くことに価値があると思う」と言っていた。宇宙まおの音楽とは何なのか。彼女の探求はまだまだ続きそうだ。(秦理絵)
宇宙まお/晴れたら空に豆まいて

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