ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール

ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール - All photo by 太田好治All photo by 太田好治

●セットリスト
1. 日常
2. 眼差し
3. ダスキング
4. もうすぐ30才
5. 旅立ちのナンバー
6. 無力
7. いこう
8. 保土ヶ谷バイパス
9. 天国
10. カナリア
11. ゆずと一緒に謳おう カラオケメドレー
(サヨナラバス/飛べない鳥/いつか/桜木町/恋の歌謡日/少年/栄光の架橋)
12. リアル
13. 恋、弾けました。
14. 夏色
15. タッタ

(アンコール)
EN1. ロンリーカントリーボーイ
EN2. TETOTE(新曲)
EN3. 愛こそ
EN4. ツアーおつかれさまのうた


ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
たくさんの歌声と笑顔に満たされるライブではあったけれど、それ以上に、ずっしりとした手応えを残してゆく内容であった。9月から繰り広げられてきたホールツアー「謳おう」のファイナル、パシフィコ横浜の3日目である。1年前の弾き語りライブを手始めに、ゆずはデビュー20周年にまつわる大掛かりなツアーを行い、それと並行してオールタイムベストやEP、配信シングルなど積極的にリリースも行ってきた。アニバーサリーの祝祭感をファンと共有するだけではなく、今とこれからを強く意識させる攻めの姿勢が感じられていたのだ。

ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
ラジオ体操第一から始まって“夏色”のリピート演奏で盛り上がる、そんなゆずライブの鉄板の部分もさることながら、『謳おう』、『4LOVE』といった近作EP曲を中心に、過去のアルバム曲を散りばめるセットリストがおもしろい。北川悠仁と岩沢厚治の歌声が伸びやかに響き合う“日常”をオープニング曲に据えたステージは、項垂れたり、立ち止まったり、挫折したりといった日々に一瞬で魔法をかける。磯貝サイモン(Key)、佐々木“コジロー”貴之(G)、須藤優(B)、河村吉宏(Dr)という顔ぶれのサポートメンバーは、頑強にして味わい深いロックアンサンブルを轟かせ、“眼差し”の攻撃的なポジティビティや“もうすぐ30才”の泣き笑いに弾けるカントリーサウンドを彩るのだった。
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ピアノに導かれるシリアスなソウルバラード“無力”の後には、ふたりきりで賑々しく“いこう”が届けられる。岩沢の歌唱パートを北川は楽しそうに見つめ、スイッチングボーカルの呼吸をドンピシャで決めていた。“イロトリドリ”が好きな8歳の女の子や、30代の新婚さん(“桜会”の一節をプレゼント)を壇上に上げ、また孫と来場したという80歳女性にも声をかけながら、悲喜交々の濃い歌心を幅広い年齢層のファンの思いと丹念に重ね合わせてゆく。
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そして「新しいことにも挑戦しています」と始まったソロコーナーでは、まず岩沢が地元・横浜で居酒屋のアルバイトに勤しみながらゆずの活動に取り組んでいたことを振り返りつつ、パーソナルな詩情が溢れ出す“保土ヶ谷バイパス”を届けてくる。続く北川のソロ“天国”では、玄妙なコードストロークをループさせ、一人多重演奏で美しく厳かなコーラスを構築していった。そこからふたりで向かう“カナリア”は、哀愁を抱え込みながら不確かな未来を見つめる、まさに「謳おう」というテーマの根幹を伝える名演だ。ただ勢い任せの掛け声で未来に向かうよりも、その歌はどれほどの説得力に満ちているだろう。
ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
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そんなふうに、オーディエンスの心の扉をいっぱいに開かせておいて、贅沢な生演奏によるヒット曲連打のカラオケメドレーが繰り広げられる。ファルセットを効かせたふたりがかりのハーモニーが、無数のオーディエンスから主旋律の歌声を引き出していった。この会場での“桜木町”は感慨もひとしおだし、北川は“少年”で客席通路を駆け抜けて沸かせる。映像がユーモラス過ぎて歌がまともに歌えなくなる、というカラオケあるあるがライブの最中に起こってしまったのも可笑しい。辿り着いた本編終盤には“恋、弾けました。”や“タッタ”といった攻め気たっぷりな近作曲が置かれ、ちびっ子から大人までのダンサーも迎え入れられて最高潮の盛り上がりを描くのだった。
ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
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ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
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アンコールでは、かつて北川がスーパー歌舞伎Ⅱ 『ONE PIECE』のテーマ曲としてシンガーのRUANに提供した“TETOTE”のゆずバージョン(こちらも現在は同舞台のテーマ曲)が披露される。舞台の事故で負傷し、療養中の友人である四代目 市川猿之助へのプレゼントということだったが、なんともえげつないパワーをもったナンバーだ。そして北川は「20周年、いろんなことを振り返りました。今日も、ファイナルを迎えることができて嬉しいです。こんな感じで、いい曲書いて、いいライブやって、たまにカラオケメドレーとかバカなことやって、俺たちのペースで走り続けたいと思います」と告げていた。
ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
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足掻くような日々の積み重ねとしてアニバーサリーがあり、またその先に明日が訪れるということ。とてもタフで尊い「マイペース」が、そこにはあった。また、来春のニューアルバム発売と全国アリーナツアー開催、そして恒例となっていた「冬至の日ライブ」は諸々の事情で今年が最後となることを発表(またやるかもしれない、とも語られていた。詳細ニュースはこちら)。ふたりにとっても辛い決断だったろうけれど、そのぶん「冬至の日ライブ ファイナル」はすごいことになりそうだ。今後のアジアツアー含め、2017年内のゆずの疾走はまだまだ続く。(小池宏和)
ゆず/パシフィコ横浜 国立大ホール
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終演後ブログ
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