Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 1日目 @ 日本武道館

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「今日はお集まりいただきありがとうございます。僕のソロ20周年記念のお祭りに、この会場が分不相応なのは十分承知しています。が、そんな中で多くの友人や先輩が駆けつけてくれました。これもひとえに、僕の人徳の賜物です……嘘です。すばらしい縁と友情に、ただただ感謝です」――オープニング映像で、友人代表=ロンドンブーツ1号2号の田村淳が読み上げた寺岡呼人のあいさつに、笑いと拍手が沸き起こる。今年11月でソロ・デビュー20周年を迎える寺岡呼人が、「自分と同じ世代、若い世代、憧れの先輩の3世代で音楽を楽しみたい」という狙いから2001年にスタートさせた主宰イベント「Golden Circle」。その18回目にして、ソロ20周年を祝うスペシャル版として日本武道館と大阪城ホールで2公演ずつ計4公演が行われるアニヴァーサリー・イベントの初日。桜井和寿(Mr.Children)とゆずという、彼のキャリアを語る上で欠かすことのできない2アーティストを招いて行われたステージには、堅い友情と信頼で結ばれた4人だからこそ放てるフレンドリーな空気感と、ソロ20周年を祝うあたたかな祝祭感に満ち溢れていた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 1日目 @ 日本武道館
1曲目はGolden Circle名義での代表曲“ミュージック”。寺岡呼人を先頭に、桜井和寿、ゆずのふたりがステージに現れると、割れんばかりの大歓声で武道館が震える。北川悠仁→桜井和寿→寺岡呼人→岩沢厚治という贅沢すぎるヴォーカル・リレーで紡がれる煌びやかな音楽賛歌に、客席からの手拍子はみるみる大きくなるばかりだ。そして呼人から司会進行役をムチャ振りされた悠仁の「呼人さん、20周年おめでとうございまーす! 元ベーシストで歌い続けているなんて、矢沢永吉さん以来じゃないですか!?」というハイテンションなMCを経て、ゆず+寺岡呼人のステージへ。“少年”“また明日”と呼人がプロデュースを手がけたゆずの新旧楽曲を3人で披露して、場内をヒートアップさせていく。MCでは出会った当時の思い出話に花を咲かせたり、「もう中年になっちゃったね」と互いをイジり合ったりと、師弟ならではの息の合った掛け合いも。終盤は“栄光の架け橋”、ゆずとのユニット「The Little Monsters Family」で岩沢と共作した“星がきれい”をしっとりと歌い上げ、場内に幻想的な星空を出現させてみせた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 1日目 @ 日本武道館
続いて、寺岡呼人のソロ・ステージへ。翌日の武道館と翌週の大阪城ホール2DAYSを控えているので曲目の掲載は控えるが、少年のようなナイーヴさと、銀河の彼方へ駆け抜けていくような高揚感という、呼人の楽曲世界を支える両輪が鮮やかに浮かび上がるようなセットリスト。親しみやすいメロディは去ることながら、年を重ねるごとに瑞々しさを増しているような鼻にかかった歌声にも、呼人のシンガーソングライターとしての力量を感じる。「今日は20周年なので、(桜井和寿やゆず目当てで来たお客さんも)大いに気をつかって盛り上がってくださいね!」と盛大なコール&レスポンスを展開してみたり、ステージ後方の花道へ駆け出して真後ろのオーディエンスとコミュニケーションを取ったりと、ホストとしてこのイベントを全力で盛り上げようとする献身的な姿も眩しい。“ハローグッバイ”で武道館一面のハンドウェーブを巻き起こした後は、桜井和寿を呼び込んで“マチルダ”を披露。ふたりの掛け合いで歌われる甘美なラヴソングに、武道館のオーディエンスが酔いしれた瞬間だった。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 1日目 @ 日本武道館
そして、そのまま桜井和寿+寺岡呼人のステージへ。呼人と桜井の親交は、Mr.Childrenのデビュー前、呼人の初のソロ・ツアーに桜井がサポートメンバーとして参加していたというエピソードでも知られるほど。桜井はGolden Circleの常連でもあり、今回4公演すべてに出演するにあたって「朝10時にカフェで待ち合わせして、ふたりでパンケーキを食べながら考えた」という、呼人のリクエストに基づいたミスチルの曲を4曲披露していく。誰もが知るあの名曲に交じって、「桜井の歌詞の魅力は、大きいことを言う前にちゃんと身近なことを歌っているところだと思っていて。それがなんか宇宙につながる、その振り幅がすごく好きなんです。次にやるのは、特にそれを感じる曲です」と呼人が紹介した“ラララ”など、渋い楽曲が飛び出すのもこのイベントならではだ。ミスチル初期の呼人プロデュース曲“星になれたら”では、ふたりで肩を組んで熱唱するシーンも。まるで少年のように歓喜を爆発させるその姿が、長年にわたる彼らの友情の深さを何よりも物語っていた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 1日目 @ 日本武道館
クライマックスでは、再びゆずのふたりを呼び込んだオール・キャスト仕様に。“夏色”でこの日いちばんのピークを記録し、2010年にこの4人で共作したGolden Circle名義の“フォーエバーヤング”で本編終了。アンコールでは、まずは呼人のみが登場し、この日のバッグを支えたGolden Circleバンドのメンバー紹介。林久悦(Dr)/林由恭(B)/佐藤健治(G)/磯貝サイモン(Key)/稲葉政裕(G)のお馴染みのメンバーに加え、なんとシンガーソングライターのKがゲスト参加していたことが告げられる。実は「呼人さんの後ろでキーボードが弾きたい」というK本人のたっての希望で今回の出演が実現したとのこと。どよめく場内。そのまま「また桜井とふたりで曲を作りました」と、桜井を呼び込んで本邦初公開の新曲“バトン”を伸びやかに歌い上げると、ゆずのふたりを招いた“サヨナラバス”“名もなき詩”の連打で武道館のヴォルテージは頂点に。ラストは桜井とゆずのふたりが退場し、完成したばかりの新曲“ご贔屓に~for Fan”を呼人ひとりで歌い上げ、3時間弱に及ぶステージは大団円を迎えた。「本当にありがとうございました。また10年20年やっていけそうな勇気を今日はもらいました。これからも寺岡呼人とGolden Circleをご贔屓に!」という最後のあいさつでは、零れ落ちそうな涙をグッとこらえて深々とお辞儀をした呼人。その姿に万雷の拍手がいつまでも鳴りやまない、感動的なフィナーレだった。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 1日目 @ 日本武道館
翌日の武道館公演には、桜井和寿に加え、小田和正と植村花菜が出演。大阪公演では、奥田民生と八木のぶおが登場する。まさしく「呼人」という自らの名を地で行くように、あらゆる世代のミュージシャンを呼び込んで音楽の輪を広げていく寺岡呼人。ソロ20周年という節目を経て、そのGolden Circleがさらに大きく輝かしい輪を描いていくさまを、今後も見守っていきたい。(齋藤美穂)
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