贅沢な生演奏カラオケメドレーの遊び心はまさに「謳おう」のテーマど真ん中だが、ただ楽しい祝祭感に満たされるライブではない。戸惑いや挫折、諦観、離別、居直りや空元気といった、日々につきまとう苦い体験をしたためた楽曲群によって、歌が必要とされることの根本を問いただしてゆくライブだった。
今年のEP曲のチャレンジングな作風も、いちいち「歌われなければならない歌」の切迫感を宿していた。なぜゆずは、徹底的に歌の力を引き出す作品を生み出し、ライブをし続けるのだろう。たぶん、フォークデュオとして始まったときに、歌の力を信じなければならなかったからだ。我々がゆずに求めてきたものもまた、一貫して歌の力だった。
北川は「これからもマイペースで走り続けます」と告げていた。その言葉には、何度躓いても、立ち止まっても、絶対にへこたれない、そういう歌を謳い続けるという重みがあった。「攻めるアニバーサリー」は真にその証明と言えるだろう。後日、あらためてしっかりとレポートします。(小池宏和)