never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - All photo by 鳥居洋介/never young beachAll photo by 鳥居洋介/never young beach
never young beachは、メジャー進出後初のアルバム『A GOOD TIME』を携えて全国11公演のツアーをフィニッシュしたのだが、今回はそのエクストラショウとしてスケジュールされた一夜の模様をレポートしたい。東京では10月20日に赤坂ブリッツでツアーファイナルを行ったにも関わらず、平日のスタジオコーストもソールドアウトでパンパン。人々が今のネバヤンに寄せる渇望感の大きさは生半可なものではない。

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - デヴェンドラ・バンハートデヴェンドラ・バンハート
never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - デヴェンドラ・バンハートデヴェンドラ・バンハート
まず感慨深いのは、この大きなステージのゲストに21世紀USフリーク・フォークの雄、デヴェンドラ・バンハートが招かれたことだろう。ネバヤン(特に安部勇磨/Vo・G)は、以前からデヴェンドラに敬愛の念を寄せ続けてきた。今回はチャリティーイベント開催(福島の復興支援)もあって来日したデヴェンドラだが、ネバヤンに感謝の思いを伝えながら、日本語で懸命に「煌めく海の生き物のように、音楽に身を委ねましょう!」と呼びかけて喝采を浴び、3ピース編成のライブに臨む。瞬く間にサイケデリックなフォークロックが立ち上り、実験性と開放感、そしてユーモアがナチュラルに混ざり合っていった。『Ape in Pink Marble』や『Mala』といった近作収録曲を中心に、ラストの“Baby”まで10曲以上が届けられた充実のステージだ。

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - デヴェンドラ・バンハートデヴェンドラ・バンハート
そしてホスト役のネバヤンは、カラフルな照明の中から“どうでもいいけど”でグッと力強くサウンドを立ち上げる。安部は「みんなありがとー!」と景気良く思いを投げかけ、伸びやかなで味わい深いテナーの歌声をフロアに沁み渡らせていった。続いては小気味良いサーフサウンドのギターが弾ける新作曲“気持ちいい風が吹いたんです”だ。阿南智史(G)のクリアなフレーズの鮮やかさもさることながら、トリプルギターのバックで縁の下の力持ち的にドライブする巽啓伍(B)のベースラインも渋い。

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - never young beachnever young beach
自分たちのファンが、デヴェンドラのパフォーマンスに温かい拍手を送っていたことを感慨深そうに振り返る安部は、そこから時空をぐにゃりと捻じ曲げて支配してしまう“夏がそうさせた”や、トロピカルなリフレインと交錯する“なんもない日”に繋げてゆく。彼と阿南が「今年一番楽しい」と口を揃える一方で、松島皓(G)は「まだ上があるんじゃないかと思ってる」とハングリーな姿勢だ。『A GOOD TIME』にバンドアレンジのバージョンが収録された“散歩日和に布団がぱたぱたと”(『YASHINOKI HOUSE』ではチェンバーポップ風だった)は、うっすらとブルースが滲むレイドバック間が心地よい。

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - never young beachnever young beach
“CITY LIGHTS”を起点とするように、ロックなダンス性が熱く加速するさまは素晴らしかった。阿南は“あまり行かない喫茶店で”や“夏のドキドキ”で、踊るようなギターフレーズを弾き倒す。また、一瞬のピンスポに照らされながら、ドラムのブレイクを決める鈴木健人(Dr)もすこぶるかっこ良かった。アンサンブルの充実感に後押しされる“SURELY”の名曲ぶりには、ため息が漏れる思いだ。

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - never young beachnever young beach
はっぴいえんどに由来する日本語ロックとしてのオーセンティシティと、21世紀型インディー/サーフポップの交点で伸び伸びと活躍しているように見えるネバヤンは、気を抜けばすぐにでも生の手応えを見失ってしまいそうな毎日に、渾身の力で音楽を投げかけている。徹底的に夢見心地なサウンドであることと、徹底的に生活感に満ちた歌を歌うこと。一見相反するような二つの要素が結びつき、彼らのロックは大きな支持を獲得した。それはまさに、かつてデヴェンドラ・バンハートがUSシーンでやってみせたことだ。

never young beach/新木場Studio Coast Special Guest:デヴェンドラ・バンハート - never young beachnever young beach
昨年のデヴェンドラ来日公演時に京都で共演を果たし、「言葉は分からないけど、君の歌は伝わる」と告げられたことを嬉しそうに振り返る安部は、「音楽が好きなだけで、生活が変わっちゃってるんですよ。自然と。俺、音楽で変えるぞー、っていう言い方は好きじゃないけど、変わっちゃってる。分かるかなあ」と語っていた。そして本編終盤には、“明るい未来”からパンキッシュに弾ける“お別れの歌”を披露。アンコールでは、松島が実はステージ袖にデヴェンドラの姿が見えてめちゃめちゃ緊張したことを告白したり、メンバーの今年から来年にかけての運気をネタにやいのやいのと言い合ったりしつつ、2曲をプレイしてステージを駆け抜けた。

終始、メンバーの楽しそうな思いがフロアに伝播し続けるステージであった。今回のエクストラショウで晴れて『A GOOD TIME』のシーズンを終えたネバヤンだが、まだ年末には幾つかのイベント出演を控えている。2017年を締めくくるはずのステージはCOUNTDOWN JAPAN 17/18、12月30日(土)のCOSMO STAGE(13:00〜)だ。こちらもぜひお楽しみに。(小池宏和)


●セットリスト
never young beach
1. どうでもいいけど
2. 気持ちいい風が吹いたんです
3. 雨が降れば
4. 夏がそうさせた
5. なんもない日
6. どんな感じ?
7. 散歩日和に布団がぱたぱたと
8. CITY LIGHTS
9. あまり行かない喫茶店で
10. Motel
11. 夏のドキドキ
12. SURELY
13. fam fam
14. 夢で逢えたら
15. 海辺の町へ
16. 明るい未来
17. お別れの歌
(アンコール)
EN1. 白い光
EN2. なんかさ


公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする