●セットリスト
1.Squall
2.climb
3.Warp
4.Remember
5.capture
6.fiction
7.cubic
8.happiness
9.Any
10.medley
11.compact karma
12.labyrinth
13.Night on
14.mahoroba
15.未来の破片
16.Lost my way
17.Letter
18.Wednesday
19.soup
20.Buster call
21.swim
(アンコール)
EN1.midnight cruising
EN2.monolith
《きっと間違えられないな 初めてのZepp 2デイズ・1日目のステージを》(“monolith”より)
メジャー3rdシングル『Squall』のリリースに伴って開催された、「04 Limited Sazabys "Squall tour"」、その終盤戦にあたるZepp Tokyo 2デイズの1日目。初めてZepp DiverCityでワンマンをした約2年前は「Zeppワンマンなんて想像すらしてなかった」と感慨深そうに話していたけど、今やフォーリミは東名阪のZepp 2デイズを含めたツアーをまわるようになった。多くの人に求められたことによってツアーの規模も拡大、そうしてあの頃描いていた夢のさらに向こう側に辿り着いたのだという事実は、この4人に何をもたらしたのだろうか。
ラジオDJ風のSEをバックにステージに登場したGEN(B・Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G・Cho)、KOUHEI(Dr・Cho)。4人は定位置につくとまず、“Squall”を鳴らし始めた。王道のど真ん中を行くサウンドを前に、フロアからは早速手拍子が起こり、前方ではダイバーも続出。HIROKAZの繰り出すリフ、「行こうぜー!」というRYU-TAの頼もしい煽動にさらなる歓声が上がり、“climb”に入るや否やKOUHEIが持ち前の2ビートでフロアを豪快に搔き回す。そうして突入した“Warp”ド頭、4人揃って鳴らした初めの一音の堂々とした存在感たるや。そして「ワンマンに来てくれるみなさんのことを信用しています。だって俺たちのこと好きだから来てくれたんでしょ?」(GEN)と不敵な言葉とともに“Remember”、“capture”とショートチューンでかっ飛ばしてから“fiction”投下。急上昇したオーディエンスのテンションを、“cubic”終盤の加速がさらに押し上げていく。
ここでGENが、ストリート風の大規模なステージセットや照明等の演出、さらにはこの日のセットリストについて「みなさんをいろいろな方向から攻めていく」と言及。その後続いた“happiness”(『Squall』収録)、“Any”(2012年リリースの限定シングル『ANTENNA』収録)、“medley”(2015年リリースのアルバム『CAVU』収録)、“compact karma”(2013年リリースのミニアルバム『sonor』収録)の流れもそうだが、この日は全体的に、リリース時期に偏りのない選曲をしているようだった。その背景にあるのは、「昔の曲がポケモンみたいに育ってきている」というメンバー自身の実感であろう。
サビのフレーズをコール&レスポンスした“labyrinth”まで、12曲を約40分で終えるという爽快なテンポ感で前半戦が終了。そしてオーディエンス4人+RYU-TAで炭酸飲料の『スコール』を一気飲みする「『スコール』早飲み選手権」なる愉快なコーナーを経て、HIROKAZのギターソロで再び空気を締めてから、後半戦へ突入。ソロ回し的な間奏やHIROKAZ&RYU-TAのツインギターが揃って躍り出た場面に沸いた“Night on”。HIROKAZの妖しげなフレーズから“mahoroba”へと繋げる、『eureka』(2016年リリースのアルバム)の曲順を踏襲した流れ。例えば地声とファルセットの切り替え方など、細かいポイントにリスペクトが感じられる“未来の破片”(ASIAN KUNG-FU GENERATIONカバー)――。身体を大きく動かし、思い思いに楽しんでいたオーディエンスにとってはMCがある意味休憩時間になりえるはずだが、演奏が再開した瞬間、ムワッとした熱気が2階席まで上がってきたから驚きだ。そんななか、木曜夜にライブハウスに駆けつけたオーディエンスに対し、GENは「こんなド平日に来てくれて」というふうに伝え、「ライブハウスにいる間だけは(みんなの)ネガティブを削除したい」と何度も口にしていく。オーディエンス参加型のお楽しみコーナーを設けたことに関してもそうだが、明るい方へ、楽しい方へ、という温度感があったこの日のステージ。制作時の苦悩や悶々とした気持ちさえも綴った“Wednesday”のような曲を、CD発売曜日になぞらえ、「毎週水曜日はバンドマンが誰かしら幸せ」と紹介していたこともまた象徴的だった。
“soup”を歌い上げたあと、GENは、自己満足的にやってきたこと(=バンド活動)を応援してくれる人が増えた実感があるのだということ、最近は曲が出来た時に「あ、これは誰かにとって役に立つ曲が出来たなあ」とまず考えるのだということを明かしていた。この言葉を聞いて思い出したのが、主催フェス「YON FES」のことを彼らが「どこにも属せなかった僕たちがやっと見つけた居場所」というふうに言っていたこと。多くの人に求められることによって生まれた大切な空間を、オーディエンスにとっても居心地のいい空間にするために。いろいろな想いを抱えながらライブハウスにやってきた人の「居場所」を作ろうという意思、ライブハウスのヒーローであるために挑戦者であり続けようという覚悟が滲み出ているから、今のフォーリミが鳴らす音はとてつもなく懐が大きい。
「KOUHEIが入る前からやっていた曲」、「KOUHEIが入ってからもっとカッコよくなった曲」と紹介された“Buster call”、そして“swim”で幸福感を最高潮に膨らませて、本編終了。
「知ってくれて、好きになってくれて、現場まで来てくれるみなさんのことを世界で一番信じています。一緒にもっとカッコよくなって、歳をとっていきましょう」というGENの言葉が、これからのフォーリミの戦い方をよく表しているように思えた。(蜂須賀ちなみ)
終演後ブログ